「メディアミックスとは?」「メディアミックスのメリットとデメリットを知りたい」「メディアミックスの注意点は?」
メディアミックスの導入を検討しているものの、このような悩みをお持ちではないでしょうか。
メディアミックスは、複数のメディアを利用して商品やサービスを宣伝する広告手法です。幅広いターゲットに繰り返し情報を提供できるので、商品やサービスの認知度を上げる効果が期待できます。
ただし、メディアミックスの導入には莫大な費用がかかることも事実です。売り上げが伸びたとしても、結果的に赤字となるケースもあります。
費用対効果をふまえたうえで、最も宣伝効果が高いメディアの組み合わせを選ぶことが成功の秘訣です。
本記事では、メディアミックスの概要やメリット・デメリット、注意点などについて解説します。成功事例もあわせて紹介するので、ぜひご覧ください。
メディアミックスとは、テレビやインターネット、新聞など複数のメディアを使って商品やサービスを宣伝する広告手法のことです。同じ情報を同時期に繰り返し提供することでターゲットに強い印象を与え、商品やサービスの認知拡大を目指します。
漫画や小説などを映画化したりアニメ化したり、さまざまなメディアに展開する手法もメディアミックスと呼ばれています。
メディアミックスと似た言葉にクロスメディアがありますが、ターゲットへのアプローチ方法や目的が異なります。
利用する媒体 | ターゲット | 広告の内容 | 目的 | |
---|---|---|---|---|
メディアミックス | 複数 | 不特定多数 | 同じ | 認知度向上 |
クロスメディア | 複数 | 特定 | 媒体ごとに異なる(別の媒体につなげる) | 購買促進 |
メディアミックスは不特定多数のターゲットに対し、同じ内容の広告を複数の媒体で繰り返し発信して認知度向上を図る手法です。
一方、クロスメディアは、あるメディアで宣伝を見たターゲットを別のメディアに誘導し、情報を伝え続けます。テレビCMの最後にある「続きはWebで」などの誘導が代表例で、最終的に商品やサービスの購入や検索といった行動を促すことが目的です。
メディアミックスの最大の目的は、複数のメディアでターゲットに繰り返し情報を与え、商品やサービスの認知拡大を図ることです。広告が何度もターゲットの目に留まったり耳に入ったりすることで、強い印象を残すことを目指します。
複数媒体で展開すると接触回数を増やすことが可能です。接触回数が増えれば広告の効果が出やすくなりますが、その根拠は3ヒット理論にもとづいています。
3ヒット理論とは、広告は最低3回以上の接触で効果が出るとするものです。
効果には個人差がありますが、メディアミックスにより複数の媒体から繰り返し接触を図ることで、高い広告効果を得られると考えられます。
メディアミックスで得られる効果・メリットは以下の3つです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
メディアミックスは複数のメディアを使うことから、単独のメディアで宣伝するより多くの人に情報を提供できます。メディアごとにリーチする層は異なり、単独のメディアだと訴求できる人が限られるためです。
代表的なメディアと各媒体のターゲット層を以下にまとめました。
メディアの種類 | 媒体 | リーチできる層 |
---|---|---|
マスメディア | テレビ | 老若男女幅広い |
新聞 | 中高年(シニア層)に強い | |
雑誌 | ジャンルによってターゲットを絞りやすい | |
ラジオ | 放送する時間帯や地域によってターゲットを絞りやすい | |
ソーシャルメディア | SNS(InstagramやX、Facebookなど)やYouTube | 登録情報(年齢・性別・地域など)からターゲットを絞りやすい |
インターネットメディア | ニュースサイトやポータルサイト(GoogleやYahoo!など) | ジャンルによってターゲットを絞りやすい |
メディアを利用した宣伝活動は、ターゲット層に合った媒体を利用することで宣伝効果を高めましょう。
メディアミックスを活用すると、発信した情報がユーザーの記憶に残りやすくなります。メディアミックスはさまざまなメディアを通じて繰り返し情報を発信するので、広告に触れる機会が増加するためです。
広告は、一度見たり聞いたりしただけではなかなか記憶には残りません。
伝えたい情報をターゲットの記憶に残すことで、商品やサービスの認知度を上げられるでしょう。
複数のメディアを利用することで、各メディアの弱点を補完できます。
たとえば、テレビCMは時間尺が決まっているので情報量が限られており、商品の詳細を伝えにくいことが弱点です。そこで、情報量の多い新聞や雑誌とあわせて宣伝すると、テレビCMでは伝えられない商品の詳細を伝えられるようになります。
各メディアのメリットとデメリットを以下にまとめました。
媒体 | メリット | デメリット |
---|---|---|
テレビ | ・ほとんどの世帯に普及しているメディアのため、社会的な影響力が強い ・視覚的インパクトが強い | ・他の媒体と比較するとコストが高い ・尺が限られているので情報の詳細を伝えにくい ・効果測定が難しい |
新聞 | ・社会的信用力が高く、企業のステータスにもなる ・エリアを限定できる | ・情報の速報性が低い ・若年層へのアプローチは難しい |
雑誌 | ・ファッション・金融・スポーツなどジャンルが豊富で、特定の層に確実に情報を伝えられる ・手元に残るので、繰り返し目にしてもらえる ・情報量が多く、商品の詳細を伝えられる | ・情報の速報性が低い ・市場規模が縮小傾向にある |
ラジオ | 地域性が強く、コストを抑えられる | 音声のみの情報なので視覚的インパクトを与えられない |
ブログ広告 | コストが低い | ステルスマーケティングに該当するおそれがある |
SNS(InstagramやX、Facebookなど) | ・低コストで、世界中に情報を発信できる ・ユーザーとコミュニケーションを取れる | 表現や内容によって炎上リスクが伴う |
YouTube | テレビCMのように動画を利用できるので視覚的インパクトが強い | 多くのユーザーの目に留まるように、高度なクリエイティブ制作能力が必要 |
1次メディア | ニュースサイトなど公的な情報を発信するメディアのため、情報の信頼性が高い | 情報が埋もれてしまいやすい |
2次メディア | 1次メディアによる情報を独自に発信するメディアで、閲覧数が非常に多い | 情報が埋もれてしまいやすい |
1次メディアとは、自らが取材した情報にもとづいて発信するメディアで、主に新聞社や通信社が中心です。
2次メディアは1次メディアの情報をもとに発信するメディアで、Yahoo!JAPANなどのポータルサイトが挙げられます。
メディアの運用には、かならずメリットとデメリットがあるため、上手に組み合わせることで弱点を補いましょう。
メディアミックスの問題点やデメリットは、以下の2点です。
メディアミックスを導入する前に、デメリットもしっかり確認しておきましょう。
メディアミックスには莫大な費用がかかります。複数のメディアを利用するためです。
利用するメディアの数が多いほど宣伝効果は期待できますが、その分コストはかさみます。メディアミックスの活用で認知度が向上し、売り上げが伸びたとしても、費用がかさんで結果的に赤字になれば本末転倒です。
目的やターゲットに合わせて、最も宣伝効果があるメディアの組み合わせを検討する必要があります。
原作をアニメ化や映画化などメディアミックスするケースでは、ファン離れの可能性があります。原作とのギャップを受け入れられず、印象が悪くなるためです。
とくに、原作と内容が大きく異なると、原作ファンが離れやすくなるので注意しましょう。
ストーリーはもちろん、登場人物など原作に大きな変更を加えず、ファン離れを回避することが重要です。
メディアミックスの注意点は以下の3つです。
メディアミックスで失敗しないよう、かならず事前に確認しましょう。
メディアミックスは費用対効果をふまえて検討しなければいけません。やみくもにメディアを利用するだけでは、費用がかさみ赤字を出すおそれがあるためです。
広告効果を測る際、一般的にはCPA(Cost Per Acquisition)とよばれる指標が用いられます。CPAは、1件のCV(商品購入、成約などの成果)を得るために要した広告費です。
CPAが高いと費用対効果が悪く、反対にCPAが低いと費用対効果は高いと判断されます。
通常の広告はCPAが高いメディアを打ち切りますが、メディアミックスの場合はCPAのみで判断するべきではありません。メディアミックスには複数のメディアを利用するため、特定のメディアのCPAを出すのが難しいのです。
CPAはあくまで評価基準として捉え、利用するメディア広告全体の費用対効果で判断しましょう。
メディアミックスを成功させるためには、適切なメディアを選択しなければいけません。やみくもにメディアを利用するだけでは、費用がかさむだけで十分な効果が期待できないためです。
それぞれのメディアの特徴を理解し、効果的な組み合わせを選びましょう。基本的には、お互いの弱点を補完できるメディアを選ぶと失敗する可能性が低くなります。
メディアミックスを実施するなら、ユーザーに伝えたい情報やメッセージを明確にしたうえで、利用するメディアを選びましょう。
以下に、目的別のおすすめの媒体をまとめました。
目的 | おすすめの媒体 |
---|---|
認知度の向上 | テレビやラジオ |
新商品の案内 | テレビやSNS |
商品やサービスの詳細を伝える | 新聞や雑誌 |
とにかく認知度を上げたい場合は、不特定多数に情報を発信しやすいテレビやラジオがおすすめです。ターゲットが若者であれば、SNSを活用してみるのもよいでしょう。
ある程度認知度が高い商品やサービスであれば、詳細を伝えやすい新聞や雑誌が効果的です。
メディアミックスの成功例を2つご紹介します。
不動産情報を提供するアットホーム株式会社は、テレビCMの広告とYouTube動画の広告を活用し、成功しています。
当初は2つの媒体で同じ素材を利用していましたが、それぞれ特性に違いがあることに注目し、内容を見直しました。具体的には、YouTube動画のテンポアップと、メッセージのシンプル化です。
メディアミックスには複数のメディアを利用するので、すべて同じ素材を使うほうがコストは抑えられます。ただし、メディアに合わせて素材を変えると商品やサービスの世界観が活かされ、より高い効果を期待できるケースもあるのです。
YouTube動画に適した素材に変更した結果、YouTube動画広告接触者による検索数は3.2倍にまで向上しました。
参照:Think with Google「段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW」
引用:ポケットモンスターオフィシャルサイト「 ANIME TVアニメ」
©2024 Pokémon.©1995-2024 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
ポケットモンスターは、メディアミックス総収益世界ランキングで第一位になるほど大成功しています。メディアミックス戦略を効果的に展開した成果です。
ポケットモンスターは1996年2月27日にゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター赤・緑」から始まりました。子どもを中心に圧倒的な人気を集め、その後はアニメや映画、カードゲームなど幅広いメディアミックスを展開しています。
引用:文部科学省「メディア・ミックスの推進」
原作が大ヒットした場合、アニメ化や映画化することでファン離れするケースも少なくありません。そんななか、ポケットモンスターは原作を尊重したアプローチがファンを魅了し、世界的に大ヒットにつながりました。
ゲームの面白さはもちろん、原作の魅力を活かしつつメディア独自の要素を加えてポケモンの世界観を表現したことが成功の秘訣です。
2月27日は、「PokémonDay」として日本記念日協会に認定されるほど、多くのファンから愛され続けています。
参照:TITLEMAX「The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time」
引用:サントリー食品インターナショナル「働く人の相棒"サントリーコーヒー「BOSS」ブランド 2018年年間販売数量が大台の1億ケースを突破 | ニュースリリース一覧」
COPYRIGHT © SUNTORY BEVERAGE & FOOD LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
サントリーホールディングス株式会社は第51回フジサンケイグループ広告大賞でメディアミックス部門グランプリを受賞しました。1992年8月に発売されて以来、多くの人から愛され続けているコーヒー飲料のBOSSの広告によるものです。
ハリウッド俳優のトミー・リー・ジョーンズが、宇宙人ジョーンズを演じたテレビCMを思い出す方も多いでしょう。
サントリーは、伝えたい情報に合わせてテレビCMやSNSなどの媒体を使い分け、メディアミックスを積極的に取り入れています。時代の変化とともに利用する媒体や手法は見直していますが、「働く人の相棒」というコンセプトは発売以来変わっていません。
最近では「ウマ娘」や「推しの子」とコラボするなど、あらゆるメディアを巻き込んだマーケティングで注目を集めています。
参照:フジサンケイグループ広告大賞「第51回 受賞作品一覧」
メディアミックスによって、複数のメディアでターゲットに繰り返し情報を与えることで、効果的に商品やサービスの認知拡大を図れます。
メディアミックスで成功するためには、効果的なメディアの組み合わせを取り入れることが重要です。大きな費用がかかるため、各メディアの特徴をふまえ、効果を最大化できるよう組み合わせを検討しましょう。
自社に適したメディアミックスの手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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