IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。
「VTuberマーケティングとは?」「マーケティングにVTuberを起用したい」「VTuberの宣伝効果を知りたい」
このようにVTuberを起用したマーケティングが気になっている方も多いのではないでしょうか。
VTuberを起用したマーケティングは、特徴やメリット・デメリットを理解して、自社とマッチした相手を選定することが大切です。
この記事では、VTuberマーケティングとは何か、メリットや注意点、実際にVTuberを起用した事例を紹介します。
VTuberを起用して効果的なマーケティングを実施したい方はぜひご覧ください。
VTuberマーケティングとは、VTuberを起用して企業の商品・サービスの魅力をSNSや動画配信プラットフォーム上などで発信し、販促・宣伝することを指します。
VTuberとは、バーチャルユーチューバーの略で、2Dまたは3Dのキャラクターやアバターを用いて活動する配信者です。代表的なVTuberとしては「キズナアイ」さんが挙げられます。
引用:Kizuna AI「NEWS | ページ 7 | Kizuna AI official website」
© Kizuna AI
現在はVTuberのタレント事務所もあり、VTuberの数は増え続けています。
VTuberはYouTuberと違い、アバターにより自身の素顔を出さずに配信を行うため、匿名性・覆面性が高いことが特徴です。また、アニメキャラクターのようなアバターの動きや声から、親近感を抱くコアなファンを獲得しやすいコンテンツといえます。
マーケティングにVTuberを起用することで、認知獲得や売上向上に役立つでしょう。
VTuberを自社のマーケティングに活用するメリットは、主に以下の3点です。
VTuberマーケティングは、Z世代などの若年層を取り込みやすいメリットがあります。
VTuberのファン層は若年層、特に10〜30代男性、10〜20代女性のZ世代が中心であるためです。この世代には、好きなものを応援する「推し活」の文化が広がっており、推しているVTuber関連の商品・サービスへ強い関心を持つ傾向があります。
VTuberの起用により、若い世代にアプローチでき、新たな顧客を取り込めるでしょう。
参照:矢野経済研究所「VTuberに関する消費者アンケート調査を実施(2023年)」
VTuberマーケティングは、SNSにおける話題性や拡散性が高いことが実施するメリットです。それはファンなどに拡散されやすいコンテンツであるためです。
VTuberのライブ配信は長尺になることが多い性質上、動画を切り抜きして発信する文化があります。個々人が切り抜き動画をYouTubeやSNS上にアップすることで、さらなる認知獲得が期待できるでしょう。
SNSネイティブ世代に刺さるVTuberのコンテンツを作成できれば、SNSを通じて多くの人へ拡散できます。
VTuberには独自の魅力があり、コアなファンを獲得しやすいというメリットがあります。
VTuberはキャラクターIPの特性とインフルエンサーの特性の双方をあわせもつコンテンツです。キャラクターIPの魅力に、一個人の性格が強く反映されるリアリティのある点が独特で、熱狂的なファンが生まれやすい特徴があります。
新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要をきっかけに市場規模が拡大しており、推しのグッズを購入する、投げ銭(スーパーチャット、スパチャ)を行うなどエンゲージメントの高いファンが多いです。
参照:ITmedia NEWS「2023年、最もスパチャを集めたVTuberは? 1位はホロライブのあの人 総額は22年よりも“4割減”」
キャラクターマーケティングについて知りたい方は以下の記事もご確認ください。
VTuberマーケティングのデメリットとして、以下の2点を意識しておく必要があります。
VTuberマーケティングは、起用するキャラクターが自社の打ち出すイメージと合わない場合、ブランド毀損につながる可能性があります。
VTuberはそれぞれが独特のキャラクター性や世界観を持っているため、そのイメージが強く印象に残ります。ブランドの雰囲気に適していない場合、イメージ低下につながるおそれがあるでしょう。
突飛なキャラクター性を売りにしているケースも多く、自社の顧客がVTuberのキャラクター性が受け入れられずに離れる可能性もあります。その場合はVTuberの起用が結果的にブランドイメージを壊すリスクがあるため、注意が必要です。
VTuberマーケティングを成功させるには、VTuber文化の理解が必要になることも注意しましょう。
VTuber業界には独特な文化があり、起用する場合はその知識がないと視聴者層に対して効果的なプロモーションを打ち出しにくいためです。
VTuberのファンは、個々の世界観やキャラクター性を大切にしています。起用する際には、VTuberの特徴や設定を理解したうえでマーケティングする必要があります。
ファンの熱量が高いVTuberだからこそ、自社商品の売り込み感が強い企画にしてしまうと、満足度が下がりかねません。
拡散のしやすさとも相まってネガティブな印象が広まってしまう可能性もあるため、VTuber文化を理解し、相性のよい企画の検討やキャスティングを行うことが大切です。
企業がVTuberマーケティングを始める際の流れは、以下のとおりです。
VTuberマーケティングを成功させるためには、まず以下のような目的を定めることが重要です。
また、ターゲット層を定めたうえでVTuberやプラットフォームなどを選定すると、マーケティング効果を最大限に発揮できるでしょう。
定めたマーケティングの目的・ターゲット層に合ったVTuberを選定します。
VTuber選定には、主に以下の3つの方法があります。
選定方法によって料金やVTuberとの交渉方法が変わるため、自社の目的に最適なVTuberを依頼できる方法を選択しましょう。
VTuberとのコラボレーション内容やプロモーションのアイデアなどを企画して、コンテンツを制作します。
ライブ配信、動画、キャンペーン、広告、イベント出演など、多方面のプロモーション手法などから最適なコンテンツを選択しましょう。
制作したコンテンツを適切なチャンネルで公開、複数のプラットフォームでコンテンツを展開していきます。
ライブ配信や動画、SNSによる商品・サービスの紹介や広告クリエイティブに採用するなどが挙げられます。
配信後は、効果の検証と改善に取り組みます。結果を定量的・定性的に分析し、はじめに設定した目的に対する達成度合いを評価しましょう。
主に以下の点に焦点をあて、分析・検証します。
たとえば、目標よりも同時接続数が少ない場合は「告知が十分ではなかった」「動画内の商品・サービスの打ち出し方が不自然で面白みに欠け、離脱につながった」などの原因が考えられます。
配信後に視聴者の発信などをチェックすることで原因を明らかにし、改善に取り組むことが望ましいです。
より効率的かつ効果的なアプローチを計画するため、問題点や改善点を特定し、戦略の改善を実施しましょう。
VTuberマーケティングを成功させるためには以下の2つのポイントを意識しましょう。
自社のターゲットとマッチしたファンをもつVTuberの起用がポイントです。
VTuberは個々のキャラクター性が強く、それぞれの世界観・価値観が異なるため、ファン層も違います。自社商品のイメージや世界観にマッチしたVTuberを起用すると、効果的なマーケティングができるでしょう。
逆に、商品とVTuberのファン層が不一致しているとPRが不発に終わり、双方のファンを減らしてしまうおそれがあります。VTuberのキャラクターイメージを理解して、自社商品にマッチするか検討したうえでの起用が大切です。
ライブ配信などの双方向コミュニケーションで人気を得ているVTuberだからこそ、UGCが生まれるような企画を検討すると効果的です。
UGCはUser Generated Contentの略で、ユーザーによって作られたコンテンツのことです。たとえば、SNS上での反応や口コミといった投稿やライブ配信の切り抜き動画などがあります。
コメントやSNSでの言及が活発だからこそ、UGCが増えるような企画を検討することで、成功につながりやすいでしょう。
UGCを生むためには、起用するVTuberの魅力をよく理解したうえで、自社とマッチする企画を検討する必要があります。
VTuberマーケティング実施時の注意点は以下の2点です。
VTuberを起用したマーケティングにおいては、炎上のリスクに備えることが大切です。起用したVTuberが炎上した場合には、企業に飛び火してイメージダウンになりかねません。
たとえば、ライブ配信中やSNSでの失言、いわゆる「中の人」の素行不良が明らかになるといったことが炎上につながると考えられます。
VTuberは匿名で活動しているため、スキャンダルなどのリスクは低いものの、炎上リスク自体はあります。企業は配信・SNSでの投稿内容について事前にルールを定めて契約することが必要です。
VTuberとのコンテンツ制作の際、ステルスマーケティングにならないよう注意しましょう。
2023年10月1日から消費者庁により景表法が改正され、広告であるにもかかわらずその事実を隠すステルスマーケティング(ステマ)がより厳しく規制されるようになりました。
たとえば、商品・サービスの紹介動画やSNS投稿には、販促や宣伝であることを明記しなければ規制の対象になります。商品・サービス紹介の案件であることが視聴者に理解できるよう、忘れずに「PR」や「プロモーション」などの表記をするようにしましょう。
VTuberを活用したマーケティング事例として以下の3つを紹介します。
引用:志摩スペイン村「志摩スペイン村×周央サンゴ」
©ANYCOLOR Inc.・SHIMA SPAIN VILLAGE
三重・志摩市にあるテーマパーク「志摩スペイン村」は、VTuber 事務所「にじさんじ」の「周央サンゴ」さんとのコラボイベントを実施し、来場者を多く伸ばしました。周央サンゴさんが志摩スペイン村について紹介した動画がきっかけになったようです。
コラボイベントとして書き下ろしパネルをチェックポイントとしたスタンプラリーや、オリジナルグッズなどの販売を行いました。
2〜3月のイベント期間中の来場者数は23万6,000人で、前年の2〜3月の来場者数と比較し約1.9倍にまで増加しています。また、周央サンゴさんが紹介したチュロスは一日平均で1,000本(例年の約33倍)という驚異の売り上げを記録しました。
2023年の反響から、2024年には周央サンゴさんに加え「壱百満天原サロメ」さんも志摩スペイン村の「バーチャルアンバサダー」を務めています。
参照:BUSINESS INSIDER「来場者23万人超…志摩スペイン村×周央サンゴさんコラボ、なぜ大成功した?企業担当が知っておくべき「愛」と「リスペクト」のあり方」
参照:志摩スペイン村「周央サンゴ×壱百満天原サロメ×志摩スペイン村」
引用:カバー株式会社 公式note「ホロライブプロダクションのVTuberが「東京観光大使」に就任!?企画担当者に裏側を聞いてみた!」
©COVER Corp・TokyoConvention&Visitors Bureau
東京都が、事務所「ホロライブプロダクション」に所属する「さくらみこ」さん、「がうる・くら」さん、「森カリオペ」さんを「東京観光大使」に任命しました。観光大使にVTuberが起用されたのは初めてであるため、注目を集めています。
東京都とのコラボとして、2023年11月から2024年1月まで東京駅のキャラクターストリートにホロライブの限定ショップが展開されていました。そこでは限定のグッズに加えて、観光大使の3人と東京駅がコラボしたグッズも発売されました。
また、がうる・くらさん、森カリオペさんは英語圏で活躍する「ホロライブEnglish」のメンバーでもあるので、2人が東京の魅力を伝えることで、国内だけでなく海外での影響力も期待されています。
参照:カバー株式会社 公式note「ホロライブプロダクションのVTuberが「東京観光大使」に就任!?企画担当者に裏側を聞いてみた!」
参照:ホロライブ公式サイト「『東京キャラクターストリート』に「ホロライブプロダクション」の期間限定ショップがオープン!」
引用:H2O「にじさんじ×ululis スペシャルセット」
© ANYCOLOR
VTuber事務所「にじさんじ」の「椎名唯華」さん、「不破湊」さん、「叶」さんの3人が若年層女性向けシャンプー「ululis」とコラボ動画配信を実施しました。
3人のVTuberのイメージカラーに合わせたヘアケアセット商品を用意し、それぞれが説明することで、特徴をイメージしやすいよう工夫されています。
コラボ動画ではライブ配信同時接続1.8万人超えを達成し、配信後わずか10分で1,200個の限定セットが完売しました。
参照:PR TIMES「株式会社FinTが、株式会社H2Oが展開するヘアケアブランド「ululis(ウルリス)」× にじさんじのVTuberマーケティング支援事例を公開」
VTuberは若年層をはじめとした顧客を取り入れるマーケティングの手段として有効です。
VTuberマーケティングはSNS上で話題になりやすく商品を広く拡散しやすくなるため、活用できれば企業にとって大きなメリットになります。
ただし、VTuberは個々のキャラクター性が強く、それぞれの世界観を持ちます。自社ターゲットとマッチしないVTuberの起用はブランド毀損につながる可能性があるため、慎重に検討しましょう。
VTuberの特性やファン層を理解したうえで、自社商品とVTuberの双方が活きる企画を実施することが大切です。
IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。