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「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの仕組みを詳しく知りたい」「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与された作品を、どうやって使うか知りたい」
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)について、詳細を知りたいと思われている方もいるのではないでしょうか。
CCライセンスは、作者が著作権を所有したまま他者も使用できるように特定の条件をつけるルールです。
本記事は、CCライセンスの仕組みの詳細や構成する要素、種類、保護期間、作品の使い方まで解説します。CCライセンスが付与された作品の使用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、法律による強制力がないパブリック・ライセンスです。以下3つの項目に分けて、どのようなライセンスか説明します。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)とは、著作権者が「どのように作品を使ってほしいか」の考えを示すためのルールです。定められた条件を守れば、CCライセンスがついた作品を自由に使用できます。
以下の図に示す4つの条件の単体または組み合わせで、作品の使用時にユーザーが守らなければいけない事項を著作権者が決定します。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ よくある質問と回答」
クリエイティブ・コモンズとは、イラストや楽曲など著作権が発生する作品の使用を促進し、流通させるための活動のことです。また、活動の中心になっている非営利団体の名称でもあります。
本部はアメリカにあり、50以上の国と地域に組織が存在します。日本においては、特定非営利活動法人コモンスフィアがCCライセンス促進の活動の中心になっています。
2007年にNPO法人の認可を受け、2013年にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンから法人名を「コモンスフィア」に変更しました。本部であるアメリカの次に、CCライセンスを日本がリリースしています。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ よくある質問と回答」
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)と著作権の違いは、法律による強制力の有無にあります。創作時点で自然発生する著作権の扱いは、すべての権利を所有するか放棄するかどうか、2つの選択肢のみです。
CCライセンスは、非営利団体の活動によって付与されるパブリック・ライセンスで、著作権を守ることが大前提です。
インターネットの技術が発達しスマートフォンが広く普及している現在、作者は自由に作品を発表でき、ユーザーも簡単に作品に触れられます。このような状況で、著作権者としての権利を維持しつつ、広く作品を利用してほしい作者の意思を尊重できる仕組みがCCライセンスです。
なお、著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)は、以下3つの要素により、その効果を保証する仕組みです。
各要素がどのようなものか、順に見ていきましょう。
コモンズ証は、ライセンスの内容を誰でも把握できるようにわかりやすく伝えるアイコンです。
著作権にかかわるため、法律家でなければCCライセンスの内容の理解が難しいこともあります。しかし著作権者もユーザーも、法律に詳しい人材ばかりとは限りません。
コモンズ証によって内容を簡単に理解できれば、適切な方法で作品を使用できるでしょう。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ よくある質問と回答」
利用許諾(ライセンス)は、法律家向けにCCライセンスの詳細が記された「利用許諾条項」です。訴訟などに対応できるよう、法律に関わる具体的な事項が記載されています。
CCライセンスの利用にあたり不明点がある場合は、利用許諾の確認が必要です。利用許諾を確認したうえで作品を使用することにより、誤用を防止できます。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ よくある質問と回答」
メタデータは、インターネット上に公開した作品が、検索エンジンの検索結果に表示されやすくするための情報です。「CCライセンス選択エンジン」を使用する際、メタデータのHTMLコードが自動で付与されます。
HTMLは、Webサイトを作成する際に使用する言語の一つです。メタデータをWebサイトの内部に記載することで、検索エンジンに作品を掲載していると認識され、閲覧されやすくなります。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ よくある質問と回答」
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの条件の組み合わせの種類は、以下の6つです。
種類別に守るべき事項を解説しますので、作品を使用する際の参考にしてください。
表示(CC BY 4.0)は、作者のクレジットを表記することが、作品を使用する条件のCCライセンスです。
表示(CC BY 4.0)のアイコンは、以下です。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
クレジットを表記していれば、作品の内容を変えたり再配布したりできます。クレジットの記載方法のルールは定められていませんが、以下3つの表記が一般的です。
条件が「表示」のみのため、作品の商用利用も可能です。ただし再配布する作品に、他の条件を持つCCライセンスはつけられません。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
表示-継承(CC BY-SA 4.0)がつけられた作品の使用条件は、以下の2つです。
表示-継承(CC BY-SA 4.0)のアイコンは、以下のとおりです。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
クレジットの記載と、同じ種類のCCライセンスをつけるルールを守っていれば、商用利用の二次利用も可能になります。他の種類と比較すると、作品を使用する際の自由度が高いCCライセンスです。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
表示-改変禁止(CC BY-ND 4.0)がつけられた作品の使用条件は、以下の2つです。
表示-改変禁止(CC BY-ND 4.0)を表すアイコンは、以下のとおりです。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
作品の内容を変えなければ、営利目的の商用利用の場合も、複製や再配布が可能です。内容を変えた状態で作品を使用した場合、作者から訴えられる可能性があるため、ルールを正しく理解し守る必要があります。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
表示-非営利(CC BY-NC 4.0)がつけられた作品の使用条件は、以下の2つです。
表示-非営利(CC BY-NC 4.0)のアイコンは、以下のとおりです。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
営利目的の使用でなければ、作品の改変や再配布ができるCCライセンスです。
作者に直接交渉すれば、商用利用の場合も作品を使用できる可能性があります。ただし、断られたり、使用料がかかったりする可能性を念頭に置いて、交渉する必要があります。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA 4.0)がつけられた作品の使用条件は、以下の3つです。
以下は、表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA 4.0)のアイコンになります。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
商用利用でない場合に、作品を使用できるCCライセンスです。加えて、作品の内容を変える場合は、同じ「表示-非営利-継承」の付与が必須になります。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND 4.0)がつけられた作品の使用条件は、以下の3つです。
表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND 4.0)のアイコンは、以下のとおりです。
引用:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
Copyright © Creative Commons Japan
Copyright © Fonticons, Inc.
商用利用が目的の場合は、作品を使用できません。また、作品の内容を変えないことも条件のため、6種類の中で比較すると、自由度が低いCCライセンスといえます。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによる権利の基本的な保護期間は、作者が死去した後、50年間を経過するまでです。複数名が共同で著作権を持っている作品の場合、最後の作者が他界した後の50年間になります。
ただし法人や団体名義、無名・変名の作品は、公表後50年間、映画作品は公表後70年間が保護期間です。
CCライセンスが失効となるタイミングは、「リーガル・コード」の第6条aで定められています。
作曲者と作詞者が分かれている楽曲を利用したい場合、どちらかが権利を失効していても、一方が有効な間はCCライセンスは遵守されます。
参照:特定非営利活動法人コモンスフィア「FAQ 詳細版」
参照:Creative Commons「リーガル・コード」
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与された作品は、以下のような使い方をします。
どのような方法で使用するか、順に見ていきましょう。
CCライセンスが付与された作品をWebページなどに掲載する場合、クレジットを記載しましょう。
クレジットの記載方法のルールは決まっていませんが、主に以下3つの情報を記載します。
一般的に、「『作品名』by『作者名』is『CCライセンスの種類』」の順で表記するケースが多い傾向です。いずれの情報も、関連するWebサイトにリンク設定が必要です。
該当するアイコンの表示も、CCライセンスがついた作品を使用する方法です。
使用する作品が選択しているCCライセンスと一致したアイコンを、Webサイトに掲載しましょう。実際は、クレジットの記載とアイコンの表示を併用する方法が望ましいです。
アイコンは、コモンズ証のアイコン下部にある「Use the license for your own material.」のリンクからダウンロードできます。
CCライセンスは、イラストや楽曲などの著作権者が「どのように作品を使ってほしいか」を示しています。
基本的に著作権者が設定した条件を遵守していれば、作品を自由に使用できます。著作権が発生する作品の利用を促進し、流通させることを目的に作られました。
ただし非営利団体による活動なので、著作権法のような法律による強制力はありません。
インターネットが発達している現代において、CCライセンスは著作権者の意思を尊重しながら作品を使用するために欠かせないルールです。
IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。