ライセンスビジネスとは?メリット・デメリットや企業の成功例を解説
#エンタメIP
2025.02.27

ライセンスビジネスとは?メリット・デメリットや企業の成功例を解説

「ライセンスビジネスとはどのような仕組み?」「ライセンスビジネスを行うメリットやデメリットは?」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

ライセンスビジネスはキャラクターやブランドの使用権を他者に提供するビジネスです。

本記事では、ライセンスビジネスの概要や関わるプレイヤー、メリット・デメリットを詳しく解説します。ライセンスビジネスを活用した企業の成功例についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

INDEX
  1. ライセンスビジネスとは
  2. ライセンスビジネスに関わるプレイヤー
  3. ライセンスビジネスのメリット
  4. ライセンスビジネスのデメリット
  5. ライセンスビジネスにおけるキャラクタービジネス市場規模
  6. ライセンスビジネスを活用した企業の成功例
  7. ライセンスビジネスをして新規顧客の獲得を目指そう

ライセンスビジネスとは

ライセンスビジネスとは、著作権や商標権などのIP(知的財産)を所有する法人や個人が、他者とライセンス契約を結び、キャラクターやブランドなどの使用権を提供するビジネスです。

他者がIPを有するキャラクターやブランドは無断で使用できません。無断で使用すれば、権利侵害になります。

そのキャラクターやブランドを権利者以外にも使用できるよう許諾し、対価として使用料を得るのがライセンスビジネスです。

IPを所有する法人や個人をライセンサー、IPの使用権を得る事業者をライセンシーと呼びます。ライセンス契約を結ぶことでライセンサーは、ライセンシーから使用料を得られます。

また、ライセンシーはライセンサーが所有するキャラクターやブランドを使った自社製品やサービスの開発・提供が可能です。

IPについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ライセンスビジネスに関わるプレイヤー

ライセンスビジネスに関わるプレイヤーとその概要は下表のとおりです。

プレイヤー

概要

ライセンサー

・ブランドやキャラクターなどのIPを所有する法人や個人のことを指す

・ライセンス契約により使用権を他社に許諾し、ロイヤルティやマーケティングの機会を得る

ライセンシー

・ライセンサーとライセンス契約を締結し、IPの使用権を得て、IPを利用した商品やサービスを提供する事業者を指す

・ライセンサーのキャラクターやブランドのファンを新規顧客として獲得できる

ライセンスエージェント

・ライセンサーと契約を結び、IPのマーケティングや営業代行を行う法人や個人のことを指す

・ライセンサーから手数料を受け取る

小売業者

・ライセンシーが開発した商品やサービスを、インターネットや小売店で販売する事業者を指す

・ライセンサーと契約し、商品やサービスの開発から販売まで行っている小売業者も増えている

ライセンスビジネスではこれらのプレイヤーが互いの強みを発揮することで、一緒にビジネスの成功を目指します

ライセンスビジネスのメリット

ライセンスビジネスのメリットを以下の観点で解説します。

  • ライセンサーにおけるメリット
  • ライセンシーにおけるメリット

ライセンサーにおけるメリット

ライセンサーにおけるメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • ロイヤルティ(権利者に支払う使用料)による収益を得られる
  • 所有IPの認知度が向上する
  • 新規市場と新規顧客の開拓につながる

ライセンサーはライセンス契約を結んだライセンシーからロイヤルティを受け取れます。また、自社で商品の販売をしないため、在庫リスクを抱えずに済むのもメリットの一つです。

ライセンシーの商品やサービスに自社のキャラクターやブランドが使われることで、IPの認知度が向上し、新規市場や新規顧客の開拓にもつながるでしょう。

ライセンシーにおけるメリット

ライセンシーにおけるメリットは、以下の2つが挙げられます。

  • 使用するブランドやキャラクターのファンによる購入が期待できる
  • 他社の商品やサービスと差別化できる

人気や認知度が高いキャラクターを商品のパッケージにしたりサービスに起用することで、そのキャラクターのファンに訴求ができます。

また、キャラクターが商品やサービスの付加価値になるため、競合他社との差別化が可能です。

ライセンスビジネスのデメリット

ライセンスビジネスのデメリットを以下の観点で解説します。

  • ライセンサーにおけるデメリット
  • ライセンシーにおけるデメリット

ライセンサーにおけるデメリット

ライセンサーにおけるデメリットは、ブランドイメージが低下する可能性があることです。

ライセンシーが質の悪い商品やサービスを提供してしまうと、販売元だけでなく使われているキャラクターやブランドのイメージも悪化するリスクがあります。

またイメージに合わない商品やサービスの広告に使用されると、キャラクターやブランドのイメージを損ねてしまう可能性もあります。

そのため、ライセンス契約を結ぶ前にライセンシーのサービスとの相性や商品の品質を事前に調査する必要があるでしょう。

ライセンシーにおけるデメリット

ライセンシーにおけるデメリットは、商品やサービスの開発・販売に時間がかかることです。

ライセンス契約を結ぶまで交渉が必要になり、ライセンサーと打ち合わせをしながら商品やサービスの開発・販売をしなくてはいけません。販売後に商品改良をする場合にもライセンサーの確認が必要です。

そのため、自社内で開発・販売を行うときよりも、ライセンスビジネスのほうが時間がかかってしまいます。

また、開発途中にライセンサー側の意向で急遽打ち切りになるリスクもあります。開発にかけた時間や費用が無駄になってしまう可能性があるのも、ライセンシーにおけるデメリットです。

IPビジネスについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ライセンスビジネスにおけるキャラクタービジネス市場規模

矢野経済研究所の調査によると、日本における2023年度のキャラクタービジネス市場規模の推計は、約2兆7千億円です。

この数値は、商品化権(商品にキャラクターを使用する権利)と版権(広告やアニメ、ゲームなどにキャラクターを使用する権利)に関わるライセンスビジネスを対象に算出しています。

2023年度の市場規模は前年度よりも2.2%増加しています。『鬼滅の刃』や『推しの子』のアニメ人気や『ポケットモンスター』や『スーパーマリオ』などのメディアミックス展開が市場規模拡大の要因です。

また、SNS発祥のキャラクターである『ちいかわ』の人気が広がったことも市場規模拡大に貢献しています。

2024年度は「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」の人気向上に加え、『シティーハンター』や『キン肉マン』などの商品化権および版権が好調になると予測されています。そのため、キャラクタービジネス市場規模はさらに拡大するでしょう。

参照:株式会社矢野経済研究所「キャラクタービジネスに関する調査を実施(2024年)

キャラクターマーケティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ライセンスビジネスを活用した企業の成功例

ライセンスビジネスを活用した企業の成功例として、以下の3つを紹介します。

  • サンリオ株式会社
  • 任天堂株式会社
  • ダイドーグループホールディングス株式会社

サンリオ株式会社

サンリオは、ハローキティやマイメロディなどのキャラクターIPを多数所有しているライセンサーです。

ハローキティやマイメロディ、キキ&ララ(リトルツインスターズ)などのサンリオキャラクターのライセンスを使用して、ライセンシーとさまざまな商品やサービスを提供しています。

たとえば、サンリオキャラクターをイメージして制作されたZoffの眼鏡や、人気アーティストのYOSHIKIとハローキティがコラボレーションして生まれたキャラクター「yoshikitty」などが挙げられます。

引用:株式会社あすなろ舎「yoshikitty Online Shop
©'24 SANRIO CO.,LTD. APPROVAL NO.L614647
©'24 JMA Co.,Ltd
©ASUNAROSYA Co.,LTD

「2023年サンリオキャラクター大賞」では「yoshikitty」がイタリア、ドイツ、フランスで2位を獲得しており、サンリオIPの認知度を世界的に向上させました。2024年の同賞においてもタイで2位に輝いています。

サンリオの海外人気については、以下の記事をご参考ください。

サンリオは、幅広いジャンルでライセンスビジネスを展開したことで、大幅な増収につなげています。ライセンス事業による売上の向上もあり、2024年3月期通期の営業利益は過去最高の269億円になりました。

参照:サンリオ株式会社「Zoffとサンリオキャラクターズが初コラボ♪オリジナルアイテムが登場!
参照:株式会社あすなろ舎「yoshikitty Online Shop
参照:サンリオ株式会社「海外順位|結果発表|2023年サンリオキャラクター大賞
参照:サンリオ株式会社「2024年3月期通期 決算説明資料」P2

サンリオのマーケティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

任天堂株式会社

任天堂はマリオやカービィなど人気キャラクターのIPを多数所有しているライセンサーです。人気キャラクターのライセンスを提供して、玩具や食品などのさまざまな商品やサービスを展開しています。

たとえば、ヤマザキビスケットのお菓子「チップスター」のパッケージデザインにも、『スーパーマリオ』のキャラクターが使用されました。

引用:任天堂株式会社「さあ、スターを手に入れろ。「チップスター」にスーパーマリオのデザインが登場。
©Nintendo

また、レゴブロックで有名な玩具企業LEGOがライセンシーになり、『スーパーマリオ』の世界をブロック状にした「レゴ スーパーマリオ」を販売しています。

ライセンス事業によるロイヤルティの増加や映画関連の売上もあり、2024年3月期のモバイル・IP関連収入等は前期と比べて81.6%増の927億円になりました。

参照:任天堂株式会社「さあ、スターを手に入れろ。「チップスター」にスーパーマリオのデザインが登場。
参照:LEGO「レゴ®スーパーマリオ™ – ゲームも組み立ても自分らしく!
参照:任天堂株式会社「2024年3月期 決算説明資料」P4

任天堂のIPビジネス戦略について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ダイドーグループホールディングス株式会社

ダイドーグループホールディングス株式会社は「こころとからだに、おいしいものを。」をブランドメッセージに飲料事業や食品事業などを行っている企業です。

ライセンス契約を結んで人気漫画『鬼滅の刃』のキャラクターを使用できるライセンシーになり、新規顧客の獲得を実現しています。

2020年10月に、『鬼滅の刃』のキャラクターをラベル缶に利用したコーヒー飲料『鬼滅缶』を販売しました。

引用:ダイドーグループホールディングス株式会社「「ダイドーブレンドコーヒーオリジナル」45周年記念大人気TVアニメ 「鬼滅の刃」×「ダイドーブレンド」がコラボ驚異の全28種類!「鬼滅の刃」デザインパッケージを期間限定発売
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

人気作品のファンを取り込んだことで、『鬼滅缶』は発売後わずか3週間で累計販売本数5,000万本を突破しました。2020年10月のコーヒー飲料の販売数は9月と比べて2倍以上増加しています。

コラボ缶コーヒーの大ヒットもあり、2020年の連結決算は純利益が前年度80.1%増の32億円になりました。

参照:ITmediaビジネスONLiNE「“鬼滅缶”で大成長? 3週間で5000万本を売ったダイドーから学ぶ「コラボ成功のヒケツ」
参照:ダイドーグループホールディングス株式会社「2020年度(2021年1月期)決算概要」P13

ライセンスビジネスをして新規顧客の獲得を目指そう

ライセンスビジネスは、ライセンス契約によりキャラクターやブランドなどのIPの使用権を他者に提供するビジネスです。

ライセンサーはロイヤルティによる収益を得られ、自社IPの認知度を高められます。またライセンシーは人気キャラクターを利用した商品やサービスの開発・販売が可能になり、他社との差別化が行えます。

お互いの顧客に訴求することで新規市場の開拓にもつながるため、ライセンスビジネスを活用して新規顧客の獲得を目指してはいかがでしょうか。

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