レシピに著作権はある?著作権侵害と見なされるケースや判例を解説
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2025.02.26

レシピに著作権はある?著作権侵害と見なされるケースや判例を解説

「レシピに著作権はある?」「クックパッドに載っているレシピの著作権の取り扱いは?」といった疑問をお持ちではありませんか。

結論からいうと、レシピそのものに著作権はありません。ただし、レシピの活用方法によっては、著作権侵害と見なされることがあるため注意が必要です。

本記事では、レシピの使用が著作権侵害と見なされるケースや、安全に使用する方法を解説します。レシピの著作権に関する正しい知識を身につけ、ルールを守りながら料理を楽しみましょう。

INDEX
  1. レシピそのものに著作権はない
  2. レシピの使用が著作権侵害と見なされるケース
  3. レシピの使用が著作権侵害と見なされないケース
  4. クックパッドに載っているレシピの著作権は?
  5. レシピの著作権に関する判例
  6. レシピ使用時に注意したい著作権侵害以外の法的リスク
  7. レシピの著作権を正しく理解しよう

レシピそのものに著作権はない

レシピそのものに著作権は存在しません。レシピはアイデアであり、著作権の保護対象から外れるためです。

そもそも著作物とは、思想もしくは感情を創作的に表現したものを指します。レシピの場合、材料や調理方法を表現した文字は情報にすぎないため、著作物とは認められません。

一方、レシピ本やレシピ動画などは、本や映像が著作物と見なされるため、著作権が発生します。これらのレシピは紹介方法によって著作権侵害になる可能性があるため、扱いに注意が必要です。

たとえば料理研究家が考案し、書籍化して発表したレシピを、その掲載された本の内容や表現を変えず抜粋してSNSに投稿すると、著作権侵害にあたります。

参照:e-Gov 法令検索「著作権法

なお著作権の概要やアイデアの著作権ついては、こちらの記事で詳しく解説しています。

また、のちほど解説しますが、レシピの無断使用は特許権・商標権・意匠権を侵害するおそれもあるため、その点にも注意しなければなりません。

レシピの使用が著作権侵害と見なされるケース

レシピの使用が著作権侵害と見なされるケースは、以下のとおりです。

  • 本やSNSで紹介されたレシピを無断転載した場合
  • YouTubeなどのレシピ動画を無断で転載した場合
  • 料理教室などでレシピをプリントアウトして配布する場合

本やSNSで紹介されたレシピを無断転載した場合

本やWEBの記事に掲載されているレシピは著作権が保護されているため、無断転載すると著作権侵害と見なされます。

そのため、表現を変えずにレシピの内容をそのまま載せたり、写真を無断で転載したりすることは認められません。InstagramなどSNSに投稿する際も注意が必要です。

YouTubeなどのレシピ動画を無断で転載した場合

YouTubeをはじめとするレシピ動画は、音楽や映像などの要素に創作性が含まれる著作物なので、無断転載すると著作権侵害と見なされます。

具体例として、以下の行為は著作権侵害に該当する可能性があります。

  • 動画の一部もしくはすべてを無断で転載する
  • スクリーンショットを無断で使用する
  • 動画を加工して転載する

レシピ動画を共有したい場合は、投稿されているプラットフォームのシェア機能を利用したり、動画の著作権者から許可を得たりする必要があります。

料理教室などでレシピをプリントアウトして配布する場合

料理教室などでレシピ本やブログのレシピを無断でプリントアウトして配布する場合も、著作権侵害と見なされる可能性があります。レシピの無断配布は、著作権者の収益機会が失われると判断されることがあるためです。

レシピ本やオンラインコンテンツは、著作権者が利益を得るための重要なリソースです。商業利用の観点から、著作権侵害に該当する可能性が高くなるといえるでしょう。

また料理教室は一般的に参加費や受講料が発生するため、営利目的で他人の著作物を使用していると見なされます。

他者の著作権を侵害せずにレシピを扱うためには、独自に考案する、著作権者に許諾を得るなどの対策が必要です。

レシピの使用が著作権侵害と見なされないケース

他者が考案したレシピを使用しても著作権侵害と見なされないケースは、以下のとおりです。

  • 営利を目的としない教育機関でレシピを使用する場合
  • レシピどおりに作った料理の写真をSNSに掲載する場合
  • そのレシピを参考に、独自に新たなレシピを作る場合
  • 適切な方法で引用してレシピを共有する場合

営利を目的としない教育機関でレシピを使用する場合

小学校・中学校・高校の家庭科の調理実習や、調理を学ぶ専門学校の授業など、営利を目的としない教育機関でレシピを使用する場合は、原則として著作権侵害と見なされません。著作権法第35条で、授業の過程で著作権の許諾なしで著作物を使用することが認められているためです。

ただし、著作物を使用する際は出所の明示をしなければなりません。第三者のレシピをプリントや資料として配布する場合は、出典を必ず明記しましょう。

参照:e-Gov 法令検索「著作権法

レシピどおりに作った料理の写真をSNSに掲載する場合

レシピどおりに料理を作り、写真や感想をSNSなどにアップロードする行為も、著作権法上とくに問題はありません。料理のレシピは著作物ではなくアイデアであり、著作権法においてはアイデアを保護していないためです。

ただしレシピの文章表現や写真を無断でコピーして公開する行為は、著作権侵害と見なされる可能性が高いため注意しましょう。

著作権侵害を避けるには、文章に創作性をもたせたり、自分が作った料理の写真のみを載せたりするなどの工夫が必要です。

そのレシピを参考に、独自に新たなレシピを作る場合

第三者のレシピを参考に新たなレシピを作る場合も、著作権侵害にはなりません。内容の一部が類似していても、レシピ原案者の独自性を再現したといえなければ、著作権侵害に該当しないためです。

そのため第三者のレシピを参考に、材料の組み合わせや調理方法を変更して、新しいレシピを作ることは自由とされています。著作権上問題になるのは、文章や写真を無断で転載・使用した場合です。

第三者のレシピを活用する際は、あくまでアイデアの参考として使用し、オリジナリティを加えた創作を心がけましょう。

適切な方法で引用してレシピを共有する場合

料理本やWEBの記事に掲載されたレシピの無断転載は著作権侵害と見なされますが、正しい引用方法を用いていれば、リスクは非常に低くなります。著作権法第32条で定められた引用に該当する場合は、著作権侵害に該当しないためです。

引用として成立させるには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 部分引用が主従関係にある
  • レシピの表現を変更せずに正確に記載する
  • 出典を明記する

引用部分は、自分の著作物を補足したり、参考資料を提供したりする程度の位置づけでなければなりません。そのため、レシピの全文や写真をそのまま転載すると、引用部分が主従関係にあるとはいえなくなり、著作権侵害と見なされる可能性が高まります。

InstagramなどのSNSで第三者のレシピを引用して紹介する場合も、自身の文章がメインとなるように注意しましょう。

参照:e-Gov 法令検索「著作権法

クックパッドに載っているレシピの著作権は?

料理レシピのコミュニティサイト、クックパッドに投稿されたレシピの著作権は、投稿者に帰属します。著作権はレシピを記載した文章と写真に発生しており、レシピ自体に著作権はありません

そのためクックパッドに掲載されているレシピを参考に、新たなレシピを作ることも問題ないといえるでしょう。またクックパッドはレシピの引用を許可しており、サイト内でほかのユーザーと共有できます。

クックパッドに掲載されているレシピの下に、レシピを共有するボタンがあり、SNSへの投稿が簡単にできる仕様になっています。

ただし、以下の項目は禁止されているため注意が必要です。

  • 他者のレシピを営利目的で利用すること
  • レシピ投稿者の料理写真を無断で転載すること

営利目的の例として、広告を貼っているブログやYouTubeなど、商業活動を目的としたコンテンツにレシピを使用することが挙げられます。

参照:Cookpad「クックパッド利用規約

レシピの著作権に関する判例

レシピの著作権に関する判例として、「おにぎりの料理法の著作権に関する判例」が挙げられます。詳細は以下のとおりです。

項目

内容

概要

・被告は、原告のアイデア「模様入りおにぎりの具」に疑似した「ふりかけフレーム」という商品を製造・販売し利益を得ていた

訴訟内容

・被告は「模様入りおにぎりの具」の考案について、審議補正書に記載された料理法が著作物であると主張

・原告の著作物である手続補正書を複製、または翻案したものであると主張

・著作権(複製権・翻案権)侵害等を理由に、慰謝料を含め300万円の損害賠償を請求

裁判所の判断

・著作権侵害を否定

判断理由

・料理法の記述は一般的な用語で表現されており、創作性がないため、著作権として保護されない

・調理法はご飯に模様を入れるアイデアそのものであるため、著作権法によって保護対象とはならない

料理法やレシピのアイデア自体は、著作物として保護されないことが認められた判例といえるでしょう。

参照:裁判所「裁判例結果詳細

レシピ使用時に注意したい著作権侵害以外の法的リスク

他者が考案したレシピを使用する際に、著作権侵害以外に気をつけたい法的リスクは、以下のとおりです。

  • 不正競争防止法違反
  • 意匠権侵害
  • 特許権侵害

不正競争防止法違反

飲食店などの営業秘密のレシピを流出させた場合、不正競争防止法と見なされるリスクがあります。営業秘密の独自のレシピが流出することで、売上の減少やブランド価値の低下につながる可能性があるためです。

不正競争防止法では、以下の3つの要件を満たす情報を営業秘密として保護しています。

要件

内容

秘密管理性

・情報が企業や個人により秘密として管理されている

・情報へのアクセス制限や、外部に漏れないよう対策が行われている

有用性

・情報が商業的に有用であり、利益を得るために利用できる

非公知性

・情報が公開されていない

たとえば、飲食店のスタッフが退職後に店のレシピを無断で利用したり、レシピを使って商業活動を行ったりした場合、不正競争防止法違反と見なされます。レシピなどの営業秘密は企業の競争力の源であるため、安易に流出させてはなりません。

悪質と見なされた場合は、刑事罰が科される可能性もあります。

意匠権侵害

意匠登録がされている料理の写真や動画を営利目的で利用する場合、意匠権侵害と見なされる可能性があります。意匠登録されている料理の写真や動画の権利は、意匠権者が専有しているためです。

意匠登録とは、形状や物・色など独創的なデザインに対して与えられる権利です。意匠登録することで、そのデザインと同一もしくは類似のデザインの生産や販売を独占できます。

レシピにおいては料理の見た目が独自性を持っており、視覚的に新しい、もしくは創造的な表現がある場合、意匠登録されることがあります。

意匠登録されている料理のレシピを使用すること自体は、意匠権侵害になりません。意匠権違反となる可能性があるのは、意匠登録されている料理の写真や動画を無断で商用利用した場合です。

参照:e-Gov 法令検索「意匠法

特許権侵害

特許を取得しているレシピを営利目的で利用すると、特許権侵害と見なされる可能性があります。特許取得済みのレシピの権利は、特許権者が専有しているためです。

特許における保護の対象は「発明」です。個人や法人関係なく、発明について特許申請が正式に認められた時点で特許権者となり、出願した人が専有します。

レシピにおいても、産業上利用可能な発明として特許権が認められることがあります。そのため、第三者が特許を取得しているレシピを営利目的で使用した場合、特許権侵害と見なされるのです。

ただし、事業ではなく個人利用の範囲であれば特許権侵害と見なされません

特許の定義についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

レシピの著作権を正しく理解しよう

レシピそのものに著作権はないため、それどおりに料理を作ることや、既存のレシピを参考に新たなアイデアを生み出すことは自由です。ただしレシピの内容を無断で転載したり、営利目的で利用したりすると、著作権侵害に該当する可能性があります。

またSNSやブログで他者が考案したレシピを共有する際は、「引用」の範囲で行い、オリジナリティがなければなりません。レシピの著作権を正しく理解し、ルールを守りながら料理を楽しみましょう。

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