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マーケティングファネルは、顧客の購買行動の流れを示したものです。言葉を聞いたことはあるものの、具体的な内容やどのように活用すればよいのかなどは知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マーケティングファネルの種類や活用するメリット、活用例について詳しく解説します。マーケティングファネルを理解し、自社のマーケティングに役立てたいと考える方は、ぜひ参考にしてください。
マーケティングファネルを以下の3つの観点で解説します。
マーケティングファネルは、顧客が商品やサービスを認知、購入するまでの過程を図で表したフレームワークです。
一番広い「認知」の層から、「購入」を検討していくなかで、段階ごとに顧客の人数が減少していくことを表しています。
ファネルとは、日本語で漏斗(ろうと)の意味をもつ言葉です。横からみると逆三角形にみえる漏斗(ファネル)の形状と似ていることから、マーケティングファネルと呼ばれます。
基本的には、以下のように認知→興味・関心→比較・検討→購入のプロセスをたどります。
認知 | 商品・サービス・ブランドを知る |
---|---|
興味・関心 | 特定のメーカー・商品・ブランドに興味や関心を抱く |
比較・検討 | 商品・サービスについて予算や機能などを比較検討する |
行動 | 商品・サービスを購入する |
マーケティングファネルは、AIDMA(アイドマ)をベースとして生まれたモデルとされています。
AIDMAとは、消費者が購入を決めるまでのプロセスを表したフレームワークです。商品を認知してから購入に至るまでの心理状態の変化を表しており、以下の単語の頭文字から名づけられました。
ソーシャル文化などが徐々に定着したことで、消費者の意思決定プロセスが変化しています。これを受けてマーケティングモデルもアップデートされ、、ネットで購入した後のシェアなども含むAISAS(アイサス)が提唱されました。AISASは以下の5つの言葉から構成されています。
近年新しい消費行動モデルとして注目されているのが、SNSなどのおすすめ機能に着目したALSAS(アルサス)です。ALSASは、以下の4つの言葉から成り立っています。
その他、シェアリングエコノミーを前提としたSAUSE(ソース)も提唱されています。SAUSEを構成するのは、以下の5つの言葉です。
これらを反映してマーケティングファネルも変化しつつあります。
参照:グロービス経営大学院 創造と変革のMBA「AIDMA(アイドマ)」
マーケティングファネルとカスタマージャーニーとの違いは、顧客心理を含めない点にあるといわれます。
マーケティングファネルは顧客の行動や人数変化の推移を表しているため、購買決定までのプロセスを簡潔に分析するために役立ちます。
一方のカスタマージャーニーは、顧客が商品・サービスを認知してから購入するまでのプロセスを、顧客の旅として捉える考え方です。多くの場合、カスタマージャーニーマップとして図示し可視化します。
カスタマージャーニーは、顧客のフェーズごとの心理や行動も含めるのが特徴です。顧客の心理や行動によって最適な施策、コミュニケーション方法を検討できます。それぞれの違いを理解し、用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。
マーケティングファネルは古いといわれる理由として、主に以下の2つが挙げられます。
ユーザーの購買行動が複雑化しているため、画一的なモデルであるマーケティングファネルでは十分に表せないとの意見があります。
消費者の購買行動として「バタフライサーキット」と呼ばれるものが見られるようになりました。具体的には、服の情報を探している最中にインテリアや調理器具を探し出し、しばらくするとまた服を探すような、行ったり来たりの検索行動を指します。
認知から行動まで途中離脱・復帰・途中加入が見られるようになったことで、一直線しか想定されていないマーケティングファネルは古いといわれています。
とはいえ、バタフライサーキットのようなモデルで提示されているのは、情報収集の過程で興味のあるものが変化しやすいBtoCにおいての話です。関係者が多く、企業の予算で購入するため購買プロセスが直線的なBtoBにおいて、マーケティングファネルは現在も有効といえるでしょう。
ビジネスモデルが変化したことで、「購入」をゴールとするマーケティングファネルではカバーできないとされています。
たとえば、継続して消費者と関係し続けるサブスクリプションのようなビジネスモデルが普及したことが挙げられます。また、顧客が企業に生涯もたらす利益を指す、LTV(ライフタイムバリュー)が重要指標と捉えられるようになったことも理由の一つです。
リピーターの重要性が増したことから、「購入」後の継続まで想定していない点で古いといわれています。この点を受けて、インフルエンスファネルやダブルファネルのような現代に合ったファネルも生まれました。
現代に合ったマーケティングファネルは、主に以下の3つに分けられます。
それぞれの違いについて解説します。
パーチェスファネルは、マーケティングファネルの中でも基本となるモデルです。
AIDMAからMemory(記憶)を抜いたAIDAをもとに生まれたモデルで、認知→興味・関心→比較・検討→購入の4段階を経るなかで徐々に人数が少なくなり、逆三角形になるのが特徴です。
実際のマーケティング施策により獲得したデータを当てはめていき、状況を可視化します。どの段階で離脱しているのかを明確にし、顧客にどのようにアプローチすればよいのか、フェーズごとに検討するのに適しています。
パーチェスファネルを効果的に活用するには、段階ごとに適切なアプローチ法を取り入れることが必要です。それぞれの段階に合わせたコンテンツの例は、以下の表のとおりです。
認知 | プレスリリース、SNS発信、広告、オウンドメディア、SEO |
---|---|
興味・関心 | ブログ購読、SNSでの交流、SNSフォロー促進 |
比較・検討 | 体験モニター、トライアルキャンペーン、ホワイトペーパーの提供 |
記憶 | SNSやサイトでの定期的な情報更新、継続的なプロモーション |
購入 | 製品・サービスの詳細情報、無料トライアル、クーポン、サポート |
インフルエンスファネルは、消費者が購入したあとの行動を表したモデルで、継続・紹介・発信の段階で構成されています。パーチェスファネルは逆三角形であるのに対して、三角形の図式であるのが特徴です。
ECサイトやサブスクリプションなど、継続利用が求められるビジネスモデルで使われます。リピート購入した消費者が、商品やサービスについて情報発信することがゴールです。
インターネットやSNSの普及によって、実際に商品やサービスを購入した消費者が気軽に拡散できるようになり、消費者自らが広告塔となり得る傾向にあります。口コミが新規顧客に大きな影響を与えることから、重要視されているモデルです。
パーチェスファネルとインフルエンスファネル、2つのファネルを組み合わせたものがダブルファネルです。認知から発信までの流れをトータルで分析し、より大きな効果を狙う手法です。
ネットにおける顧客の購買から情報共有までのプロセスモデルであるAISASにもとづいています。商品購入までをゴールとせず、一度購入した消費者が口コミやSNSなどで発信することで、新規ファンの開拓を目指す考え方です。購買行動のプロセスを俯瞰し、顧客の育成や潜在顧客の開拓を目標とします。
マーケティングファネルの活用例を、以下の3つの観点から解説します。
パーチェスファネルで自社の顧客数を分析し、各段階の変動を把握することで課題を明らかにします。マーケティングファネルの活用により、どの段階で顧客が離脱しているのかを明確にできれば、その部分の施策に注力できます。
たとえば、比較・検討フェーズで顧客数の大幅な減少が見られた場合、比較・検討フェーズで行っているナーチャリング(顧客育成)施策を見なおすことが必要です。
改善点がわかったものの、どのような施策を講じればよいのか迷ったときは、カスタマージャーニーマップを利用するのも一つです。カスタマージャーニーマップを作成し、顧客接点などを検討するのもよいでしょう。
インフルエンスファネルのゴールである発信段階で顧客数を獲得するために、SNSのレビューを確認します。
SNSで自社商品やサービスに対して、ユーザーがどのようにレビューしているのか把握しておきましょう。SNSでのレビューに不満が多い場合は、商品やサービスの改善を行う必要があるとわかります。
レビューから得た情報によって問題点を知り、よいレビューを増やせるようマーケティングに活かすことで、新たな顧客獲得を目指します。
顧客行動をトータルで分析するダブルファネルは、マーケティング施策を連動できます。
具体的には、インフルエンスファネルの発信が少なければ、SNSのレビュー数増加を目指してキャンペーンを実施するなどの方法が挙げられます。商品購入後のレビューでクーポンを取得できるようなキャンペーンを、購入前の段階でアピールしておくのも有効でしょう。
なんらかのインセンティブを設定することにより、比較・検討段階でユーザーが離脱するリスクを減らせるなど、適した施策を考えるのに役立ちます。
企業がマーケティングファネルを広告戦略に取り入れると、以下のようなメリットが見込めます。
2つのメリットについて解説します。
ファネルを作成することで消費者の購買過程を可視化でき、興味やモチベーションに合う広告を打ち出せます。フェーズごとに効果的な訴求方法は異なるため、広告を使い分けるのも有効です。
たとえば、パーチェスファネルにおける認知段階なら、ビジュアル訴求できるディスプレイ広告(Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告)などもよいでしょう。関心段階なら、キーワードで自ら検索するユーザー向けに、リスティング広告(検索連動型広告)を活用するような方法も考えられます。
消費者の段階にマッチする広告クリエイティブへ改善することで、戦略的な顧客獲得が見込めるでしょう。
ファネルを分析することにより、ボトルネックを検証できるのもメリットです。どの段階で離脱し購入にいたらなかったのか、どのような商品・サービスに関心をもつのかを俯瞰でみられるのがポイントです。
たとえば、SNSでの広告のリーチ数やクリック数、商品・サービスの購入や利用にいたった人数などを各段階に当てはめます。それぞれの数を分析することでボトルネックを検証でき、施策を講じるのに役立ちます。問題点を洗い出し改善できれば、より効果的に広告運用できるでしょう。
どのファネルも広告クリエイティブの改善は効果を発揮します。顧客に自社商品を認知してもらうためにSNS広告で幅広くリーチする、CVを獲得するためにLPを活用する、などのアプローチができるでしょう。
とはいえ同業他社も同じような発想で広告展開しているため、ユーザーの目に留まるような差別化が求められます。他社との差別化を図るなら、企業や商品のイメージにマッチするタレントの起用は有効な手段の一つです。
通常ならタレント起用には多額な契約料が発生しますが、タレントサブスクを活用することでコスト削減できます。タレントサブスクとは、毎月定額料金を支払うとタレントの宣材写真を利用できるサービスです。
マーケティングファネルを活用すると、どの段階の顧客に対してどのような施策を考えればよいのか明確になります。
フェーズごとの課題を明確にし、段階ごとに応じた効果的な施策を講じれば、商品・サービスを顧客に認知、購入してもらうための適切なアプローチができるでしょう。
集客を目指すなら、それぞれのファネルに合わせて広告クリエイティブを改善するような施策が必要です。
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