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当記事は、2024年7月26日(金)に東京・南青山MANDALAで開催された「Nj Carnival」のライブレポートです。
2024年7月26日(金)、東京・南青山MANDALAにて、テレビプロデューサーであり、音楽活動も行うNj(西田二郎)によるライブイベント「Nj Carnival」が開催されました。
『ダウンタウンDX』の名物プロデューサーとして知られるNjこと西田二郎(以下、西田)は、讀賣テレビ放送株式会社 コンテンツ戦略局兼DX推進局 専任部長でありながら、書籍を出版したり、ラジオ番組のパーソナリティーを務めたり、「未来のテレビを考える会」を発足させたりと、さまざまな分野で活動されています。
関東では約5年ぶりの開催となる、今回の「Nj Carnival」では、85歳の国際的ジャズボーカリストMasumi Ormandy(以下、Masumi)と、『はじめてのおつかい』の挿入歌も担当しているアーティストのKengo.をゲストに迎え、ジャンルや世代にとらわれない自由なパフォーマンスを披露しました。
多様なバックグラウンドを持つアーティストたちがひとつになり、音楽のすばらしさを共有した当イベント。
3名それぞれの音楽との向き合い方に触れながら、一般的なライブやフェスとは一味違うイベントのもようを余すことなくお届けします。
※当記事では、西田二郎について、アーティストとしてはNj、MCとしては西田と分けて表記しています。
複数のアーティストが集結するフェスでは、スケジュールや演出などの都合で、ブロックごとに出演者が区切られているのが一般的です。
しかし、「Nj Carnival」は、複数のアーティストが何度もステージの出入りを繰り返しながら進行していくスタイル。
この特徴的な構成により、アーティスト同士の掛け合いも増え、新たなシナジーが生まれていました。
これも、数々の人気番組を手がけてきた名プロデューサーならではの演出なのかもしれません。
オープニングを飾ったのは、Njによる沢田研二の名曲・「勝手にしやがれ」のカバー。
意外な選曲に驚きを隠せない様子だった客席も、ピアニスト・栗本修の美しい演奏とNjの豊かな世界観に引き込まれていました。
サングラスを掛け、かっこよく歌を披露するアーティスト「Nj」と、関西ノリで明るく楽しいテレビプロデューサー「西田二郎」の2つの人格を巧みに操り、笑いを誘う西田。
オープニングトークでは、「Nj」の悪口を言う「西田二郎」を演じる一コマも。
「Nj」としてトークを繰り広げる場面でも、「西田二郎」の片鱗を見せては、「(サングラスは)なんか意味あるんかなって思ってるでしょ?」とさすがのトークをかましていました。
Njのパフォーマンスであたためられたステージに、Bruno Marsを彷彿させるようなヘアメイクで登場したのは、若手アーティストのKengo.。
このステージでは、『はじめてのおつかい』の挿入歌としても愛されている「フレーフレー応援歌!」と「駅」の2曲を披露しました。
実は、Kengo.の勇姿を見届けようと、会場には同番組のスタッフ陣が集結。
間近で彼らの様子を見ていた西田は、「もうね、本当に良い関係性だなと。楽屋でもカメラマンの方が張りついて、(Kengo.の動作を)1つも撮り残さないみたいな」と賞賛していました。
Kengo.のステージでは、音楽の道に進むことを後押ししてくれた楽曲の秘話も飛び出しました。
通っていたジャズスクールの学院長からキーボードを譲り受け、一からコードや理論を勉強し、練習をしていたKengo.が最初に作詞作曲した「駅」。
初めての自信作をどこかに応募したいと思ったときに見つけたのが、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスが主催するソングライターのオーディションだったそうです。
しかも、オーディションを発見したのは、締切30分前。急いで応募した結果、なんと準グランプリを受賞。この曲が音楽の道に導いてくれたのだと、感慨深そうに語っていました。
続いて、華やかな衣装を身に纏って登場したのは85歳の現役ジャズシンガー・Masumi。ここでは、「アマポーラ」と「スマイル」の2曲を披露しました。
1ミリたりとも年齢を感じさせないパワフルな歌声と流暢な英語の発音は圧巻。
一人ひとりに語りかけるような豊かな表現と全身で音楽を楽しむ姿には、観る者の心にスッと入ってくる不思議なパワーが。
長年、日本とアメリカを行き来しながら英語教育に勤しんできたMasumi。なんと、音楽をはじめたのは60歳を過ぎてからだったそうです。
「一番大切なのはスマイル。心が痛むようなことがあっても、スマイルでいればサンシャインが入ってくる。」
力強く、かつにこやかに語るMasumiの言葉には、大きなエネルギーと説得力がありました。
再びステージに現れたNjが披露したのは、「しんどいブルース」。
もともとの明るいキャラクターとバラエティ番組のプロデューサーという職業的な立場が合わさって、元気なイメージを持たれることが多いという西田。
そういった表向きのイメージとは裏腹に、もちろんしんどいこともあり、そのギャップに悩んできたと言います。
「何も気にせずに、『しんどい』って言えたらええんちゃうかな。しんどいときに我慢せんでええねん。誰かに『しんどいね』って言うだけで、ちょっと気が楽になることもある。」
そんな想いをしたためた「しんどいブルース」の歌詞は、多くの観客の共感を呼んでいたようでした。
しっとりとした会場の空気をガラッと変えたのは、Kengo.率いるKengo.band。
各々が第一線で活躍しているメンバー、小林健二郎(ba)、新田浩平(dr)、MULLON(gt)とKengo.の夢のコラボが実現しました。
ここでは、「嘘泣きの女王様」、「きみぬま」、「フレーフレー応援歌!」、「あかしろ」の4曲を披露。
序盤に披露された、ピアノバージョンとは異なる、バンドバージョンの力強い「フレーフレー応援歌!」に会場のボルテージは一気に上昇。
初めての編成とは思えないチームワークを見せるKeng.bandと鮮やかな照明演出につられ、観客も手を叩いたり、体を揺らしたりと、全身全霊で音を味わっていた様子。
ちなみに、「きみぬま」はTBSラジオ『JUNK』内で放送される「夜の推薦曲」に採用されています。
再びマイクがNjに渡り、話題はNjが音楽を始めたきっかけへ。
母親が余命宣告されたとき、彼女が書き溜めていた歌詞にメロディをつける約束を果たせていなかったことを思い出した西田。
その想いを汲んだ栗本が、すぐに音源を届けてくれたおかげで、母親に歌って聴かせることができたそうです。
その歌声が届いたのか、余命を超えてもそばにいてくれた母親の姿に、音楽の力を感じたと語られていました。
そんな大切な一曲「水のながれに」と、そのアンサーソング「おかん」を歌い上げるNjの姿は、きっと天国のお母さんにも届いているのではないでしょうか。
序盤の純白の衣装とは打って変わり、真っ赤なドレスに身を包んでステージに登場したMasumi。
ここでは、日本を代表する名曲「ふるさと」を「心のふるさと」と捉え、世界中の人に歌ってもらいたいという願いを語っていました。
英語に翻訳した「ふるさと」を穏やかに歌い上げるMasumiにつられて、日本語の歌詞を口ずさむ観客たち。
言語の壁を超えて、世界中の人々が「心のふるさと」に想いを馳せる日も、そう遠くはなさそうです。
大阪ではET-KING、北九州では175R、沖縄ではBEGINとのコラボをにおわせる「Nj Carnival」。「そのオファーを受けるかどうか悩んでいる」というNj(というより、もはや西田)のジョークが笑いを誘います。
今後については、「みんなで武道館を目指したいです。みんな武道館に立つことができないと思っているから立てないんだ。武道館は、電話すれば空いてる日を見つけられる!」という西田の熱量に観客からは大歓声が。
「とにかく武道館を押さえて、みんな1秒でもよいからステージに立ってもらう。もう何のライブかわかりませんが(笑)。そうやって『やっぱりそんなことあるねんな』っていうことを増やしていこう!」
彼のパワーに圧倒され、会場の盛り上がりもMaxに到達しました。
こうして、出演者や観客を巻き込んで「やっぱりそんなことあるねんな」、続いてアンコールの「ロコの星」を歌い上げ、大盛況に終わった「Nj Carnival」。
「武道館なんて夢じゃない」
そう確信させるような、エネルギーと音楽愛に満ち溢れたイベントとなりました。
笑いあり涙ありのハートフルなカーニバルがどんな進化を遂げていくのか。
ぜひご注目を。
IP magでは、西田のインタビューを掲載しています。
Njとは違う一面が見られるかも...?
当記事は、2024年7月26日(金)に東京・南青山MANDALAで開催された「Nj Carnival」のライブレポートです。
2000年鹿児島県生まれの広報。ダンス、ドラマ、舞台、ミュージカル、歌舞伎、ファッションなど、生活の中心はエンタメ。最大の関心ごとはエンタメを正しく創り、届け、楽しむこと。