クリエイターエコノミーとは?日本の市場規模や拡大している背景を解説
#エンタメIP
2025.02.14

クリエイターエコノミーとは?日本の市場規模や拡大している背景を解説

「クリエイターエコノミーとは何?」「クリエイターエコノミーの市場規模が拡大している理由は?」

上記のような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。クリエイターエコノミーは個人クリエイターが活動するインターネット上の経済圏を指します。

本記事では、クリエイターエコノミーの概要や市場規模、拡大している背景を解説します。クリエイターエコノミーを活用した会社の事例についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

INDEX
  1. クリエイターエコノミーとは?
  2. 日本のクリエイターエコノミー市場規模
  3. クリエイターエコノミーが拡大している背景
  4. クリエイターエコノミーの課題
  5. クリエイターエコノミーのビジネスモデル
  6. クリエイターエコノミーを活用した会社の事例
  7. クリエイターエコノミーは拡大し続けている

クリエイターエコノミーとは?

クリエイターエコノミーとは、個人クリエイターがコンテンツやサービスを提供し、収入を得るインターネット上の経済圏のことです。

YouTubeやInstagramなどのプラットフォームだけでなく、クリエイター活動のマネジメントや事務手続きに関連するサービスも含まれます。

クリエイターの例として以下が挙げられます。

  • アーティスト
  • YouTuber
  • ブロガー
  • インフルエンサー
  • デザイナー
  • カメラマン

また、クリエイターの主な収益源は以下のとおりです。

  • 広告収入
  • 投げ銭
  • サブスクリプション
  • アフィリエイト
  • コンテンツ販売

インターネットの発展に合わせてプラットフォームが多様化しており、クリエイターエコノミーは成長を続けています。

日本のクリエイターエコノミー市場規模

日本のクリエイターエコノミー市場規模は、拡大傾向にあり、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社と一般社団法人クリエイターエコノミー協会の共同調査によると、2023年の日本のクリエイターエコノミー市場規模は1兆8,696億円と推計されています。

2021年の市場規模は1兆3,574億円であることから、日本のクリエイターエコノミーは、1年ごとに平均17.4%成長していることになります。

市場規模拡大の要因はクリエイターやプラットフォームが多様化したことや、ユーザーのファン化が進展したことなどが考えられます。

クリエイターエコノミー市場規模は2034年に10兆円を上回ると試算されており、今後もさらなる市場の発展が期待できるでしょう。

参照:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「国内クリエイターエコノミーに関する調査結果(2024年)」P4
参照:一般社団法人クリエイターエコノミー「国内クリエイターエコノミーに関する調査結果」P14

クリエイターエコノミーが拡大している背景

クリエイターエコノミーが拡大している要因は、以下の3つが考えられます。

  • プラットフォームの多様化
  • SNSやメディアによる認知度の向上
  • クリエイター支援サービスの活発化

それぞれの詳細について解説します。

プラットフォームの多様化

クリエイターの活動場所であるプラットフォームが多様化しているのが要因の一つです。

1999年にスタートしたブログサービス「Blogger」から始まり、YouTubeやInstagram、TikTokなど続々と新しいプラットフォームが誕生してきました。

また、2012年には審査制だったYouTubeの収益化プログラムが、一般ユーザーにも提供されるようになりました。他のプラットフォームもこれに続き、今ではクリエイターが収益化する手段は多岐にわたっています。

そのため、誰もが気軽にクリエイターとして活動を始め、収益を得られるようになりました。

プラットフォームの多様化により収益を得られるクリエイターが増えたことで、クリエイターエコノミーの拡大につながったと考えられます。

SNSやメディアによる認知度の向上

SNSの普及や、メディアの広告などによりクリエイターエコノミーの認知が広がったことも市場拡大の要因です。

XやInstagramの登場で個人クリエイターが情報発信しやすくなり、多くのユーザーの目に触れる機会が増加しています。

また多くのメディアやテレビCMでYouTuberが取り上げられたことで、幅広い世代に、それがひとつの職種であると認知されるようになりました。

たとえば、2014年には「好きなことで、生きていく」の言葉とともに人気YouTuberが紹介されるテレビCMが日本中で放映されました。

YouTubeの広告収入だけで生計を立てているクリエイターもいると認知され、近年では「小学生が将来つきたい職業ランキング」の上位にYouTuberが入るほどになっています。

参照:学研教育総合研究所「将来つきたい職業(全体ランキング)

クリエイター支援サービスの活発化

市場規模が拡大した要因として、クリエイター支援サービスの活発化も考えられます。クリエイターのマネジメントを行ったり事務手続きを代行したりするさまざまな支援サービスが登場しています。

2021年にはUUUM株式会社・note株式会社・BASE株式会社が中心となりクリエイターエコノミーの普及、推進を行う一般社団法人クリエイターエコノミー協会が設立されました。

クリエイターエコノミー協会は、クリエイティブ活動の普及、促進に加え、クリエイターの保護や活躍を促進するための政策提言を行っています。

支援サービスや企業の増加により個人クリエイターが活動しやすくなったことも、クリエイターエコノミー拡大の要因といえます。

参照:一般社団法人クリエイターエコノミー協会公式note「39社が参加しクリエイターエコノミー協会が正式設立しました

クリエイターエコノミーの課題

クリエイターエコノミーの課題は、以下のとおりです。

  • クリエイターの収入格差が大きい
  • クリエイターが悪質な誹謗中傷を受ける可能性がある

それぞれの課題について詳しく解説します。

クリエイターの収入格差が大きい

一部の人気クリエイターに収益が集中しており、クリエイター間で収入の格差が広がっていることがクリエイターエコノミーの課題の一つです。

2022年度の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調査によると、クリエイターの6割が収入を得ており、平均月収は12.8万円でした。また、月収100万円を超えるクリエイターは全体の2%しかいませんでした。

月収10万円以下のクリエイターは全体の75%程度を占めており、クリエイター間の収入格差が大きくなっています。近年、一般人だけでなく有名芸能人も参入してきており、収入格差がさらに広がる可能性があります。

参照:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「国内クリエイターエコノミーに関する調査結果」P9

クリエイターが悪質な誹謗中傷を受ける可能性がある

クリエイターが悪質な誹謗中傷を受ける場合があることも、クリエイターエコノミーの課題です。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が実施したアンケートで、クリエイターの4人に1人が誹謗中傷を受けた経験があると答えています。

誹謗中傷を受けたクリエイターの約7割は何も対処できておらず、今後さらに誹謗中傷に悩むクリエイターが増える可能性があります。

多くのクリエイターが誹謗中傷を受ける原因の一つは、SNSの発展によりユーザーとの距離が近くなったことが考えられるでしょう。DMやプラットフォームのコメントで誹謗中傷を受けやすくなっています。

参照:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「国内クリエイターエコノミーに関する調査結果」P11~12

クリエイターエコノミーのビジネスモデル

クリエイターエコノミーのビジネスモデルとして、以下が挙げられます。

ビジネスモデル

概要

広告収入

コンテンツに広告を表示させて、広告元から収益を得る

投げ銭

YouTubeやTwitchの配信中に視聴者から金銭をチップや寄付として送金してもらう

アフィリエイト

コンテンツ内で商品やサービスを紹介し、企業や個人から紹介料を得る

サブスクリプション

月額課金制のファンコミュニティやオンラインサロンなど運営する

コンテンツ販売

制作した商品やサービス、デジタルコンテンツを販売する

サービスの提供

イラスト制作や動画編集などをサービスとして提供し、収益を得る

イベントの開催

握手会やパーティーなどのイベントを開催して、参加料を得る

スポンサーシップ

企業からスポンサーシップを受けて、物やお金の支援をしてもらう

クラウドファンディング

クリエイターの活動や作品を支援したい人たちから、少額ずつ資金を調達する

ライセンスビジネス

企業や個人の商品やサービスに自身のコンテンツを使用することを許可し、使用料を得る

クリエイターエコノミーにはさまざまなビジネスモデルがあり、収益を得る方法は1つではありません

クリエイターエコノミーを活用した会社の事例

クリエイターエコノミーを活用した会社の事例として、以下の3つを紹介します。

  • YouTubeで人気の料理研究家リュウジ氏とコラボ商品を開発(株式会社ファミリーマート)
  • 「Nakayoku Creators(ナカヨククリエイターズ)」で新時代のクリエイターを支援(株式会社サンリオ)
  • 人気ブロガーまめきちまめこ氏とコラボしたスタンプラリーを開催(JR北海道)

YouTubeで人気の料理研究家リュウジ氏とコラボ商品を開発(株式会社ファミリーマート)

株式会社ファミリーマートは、全国にコンビニエンスストア「ファミリーマート」を展開している企業です。2024年に、YouTubeで人気の料理研究家リュウジ氏とコラボして新商品を開発しました。

リュウジ氏は、当該商品発表時点で総再生回数が12億回を超え、500万人以上の登録者数を誇るYouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』を運営している人気料理研究家です。

ファミリーマートはリュウジ氏の人気レシピをもとに、コラボ商品「リュウジの至高のレシピ ペッパーベーコンエッグおむすび」や「リュウジの至高のレシピ 香り際立つ!麻婆豆腐&炒飯」を販売しています。

引用:株式会社ファミリーマート「YouTube総再生回数12億回突破!簡単なのにおいしい「バズレシピ」の料理研究家監修元レシピよりうまい!?「リュウジの至高のレシピ」全5種類が11月5日(火)より販売開始
© FamilyMart Co., Ltd. All Rights Reserved.

リュウジ氏はコラボ商品だけでなく既存商品のレビューもYouTubeに投稿しており、その認知度向上につなげています。

参照:株式会社ファミリーマート「YouTube総再生回数12億回突破!簡単なのにおいしい「バズレシピ」の料理研究家監修元レシピよりうまい!?「リュウジの至高のレシピ」全5種類が11月5日(火)より販売開始

「Nakayoku Creators(ナカヨククリエイターズ)」で新時代のクリエイターを支援(株式会社サンリオ)

株式会社サンリオは、ハローキティやマイメロディなどの人気キャラクターを抱える企業です。2024年9月に新時代のクリエイターを応援するプロジェクト「Nakayoku Creators(ナカヨククリエイターズ)」を開始しました。

「Nakayoku Creators」は、新しいエンターテインメントに向かい挑戦を続けている新時代のクリエイターを支援するプロジェクトです。

クリエイターの個人活動がさらに活性化するよう応援し、一緒に新しいエンターテインメントを切り開いて、世界中に笑顔を届けることを目標としています。

2024年9月には一人目のクリエイターとしてバーチャルYouTuberのキヌ氏を選出しました。キヌ氏はVR空間で行う革新的なライブパフォーマンスで注目を集めるクリエイターです。

引用:株式会社サンリオ「Nakayoku Creators
© Kinu
© 2024 SANRIO CO., LTD.

プロジェクトの始動に伴い、コンセプトムービーをYouTubeに公開しています。

参照:株式会社サンリオ「Nakayoku Creators

サンリオのマーケティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

人気ブロガーまめきちまめこ氏とコラボしたスタンプラリーを開催(JR北海道)

JR北海道は人気ブロガーまめきちまめこ氏が描きおろしたイラストによるスタンプラリーを開催しています。

まめきちまめこ氏はライブドアブログで『まめきちまめこニートの日常』を連載している人気ブロガーです。自身の生活をコミカルな漫画にして公開したところ一躍人気になりました。

2024年11月、JR北海道は『まめきちまめこニートの日常』とタイアップしたスタンプラリー『まめきちまめこ 鉄道旅の日常』を実施すると発表しました。

引用:JR北海道「まめきちまめこ 鉄道旅の日常
© まめきちまめこ
© Hokkaido Railway Company All Rights Reserved.

北海道内の13駅にオリジナルスタンプを設置し、スタンプを集めた方にまめきちまめこコラボグッズを抽選でプレゼントしています。

参照:JR北海道「「まめきちまめこ 鉄道旅の日常」スタンプラリー

クリエイターエコノミーは拡大し続けている

クリエイターエコノミーは、個人クリエイターに関わるインターネット上の経済圏のことです。

クリエイターが活動するプラットフォームが多様化したり、職業としての認知が広まったりしたことで、市場規模は年々拡大しています。

さまざまな企業がクリエイターエコノミーに参入し始めており、今後さらに市場規模が成長していくと予想されます。

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