ガンダムの海外人気は?人気の地域やシリーズを解説
#エンタメIP
2024.12.28

ガンダムの海外人気は?人気の地域やシリーズを解説

「ガンダムの海外人気は高い?」「海外で人気のガンダムシリーズを知りたい」こういった疑問をお持ちでないでしょうか。

ガンダムシリーズは1979年のテレビアニメ放送開始以降、多くのファンに長年愛され続けている作品です。なかでも関連グッズであるプラモデル、通称「ガンプラ」は、社会現象を巻き起こすほど日本でブームになりました

日本で認知度の高いアニメ作品の一つですが、海外のガンダム人気は地域差があります。

本記事は、地域や国ごとのガンダムの人気度や、地域ごとに人気差が生まれる理由、そして海外で人気のアニメシリーズについて解説します。最後まで読むことで、ガンダムの人気が高い地域や、今後の展望がわかるでしょう。

なおガンダムは「ロボット」ではなく「モビルスーツ」なのですが、その後のロボットアニメに多大なる影響を与えたのは事実なので、本記事では広義にて「ロボット関連作品」として解説します。

INDEX
  1. ガンダムの海外人気は国内には劣る
  2. ガンダムの海外人気|地域・国別
  3. ガンダムのプラモデル(ガンプラ)はアジアで人気
  4. ガンダムの海外人気に地域差がある理由
  5. 海外で人気の高いガンダムシリーズ
  6. 海外におけるガンダム人気の今後の展望
  7. ガンダムは海外人気が高いわけではないがアジア圏では人気

ガンダムの海外人気は国内には劣る

ガンダムは、日本国内で圧倒的な人気を誇る長寿シリーズですが、海外からの人気は国内ほど高くありません。ただし、地域によって大きな差があります。

アジア圏の人気は比較的高く、とくに韓国で大きな支持を得ています。一方、アメリカやヨーロッパでは、一部のアニメファンやSFファンに知られているものの、大衆的な人気は得られていません。

ガンダムは、1979年に国内で初放送された『機動戦士ガンダム』を皮きりに、多くのシリーズやスピンオフ作品を展開しています。

なかでも、ガンダムに登場する「モビルスーツ」をモチーフにしたプラモデル、通称「ガンプラ」は、社会現象といえるほど日本で人気を博しました。現在ガンプラは世界中で販売されており、累計出荷数は2020年5月時点で7億個を超えています。

ガンダムの海外人気は、国内と比較するとそこまで高くないものの、単なるアニメ作品を超え、ポップカルチャーとして一部のコアなファンに受け入れられています。

参照:バンダイ「バンダイの第2次キャラクターグローバル展開について
参照:バンダイ ホビーサイト「ガンプラとは

ガンダムの海外人気|地域・国別

ガンダムの海外人気を、以下の地域・国別に紹介します。

  • アジア
  • アメリカ
  • ヨーロッパ

アジア

ガンダムは、アジアで高い人気を誇っています。とくに韓国では、ガンダムが「ロボット」の代名詞となるほど広く浸透しています。

韓国では、2000年代からテレビアニメの知名度が徐々に高まり、2010年代に人気に火がつきました。ガンプラの展示会や製作実演、ゲームイベントなどが定期的に行われており、幅広い層に支持されています。

バンダイナムコエンターテインメントにおける、ガンダムの売り上げの約2割をアジアが占めています。ガンプラの販売拠点が韓国や中国、台湾などに集中していることから、アジアでガンダム人気が高いことがわかるでしょう。

その理由の一つは、1980年代に日本でガンプラが大ブームとなった際、日本の駐在員が多いアジア諸国に、早い段階でガンプラが伝わったことです。

アジア圏の人たちはガンダムを早期に知る機会が多く、現地で人気が根づいたと考えられます。現在もガンダムの人気は衰えることなく、アジアで高い支持を得ているのです。

参照:読売新聞「福岡ガンダム「すごい迫力」…アジアの「玄関口」、集客の拠点に
参照:西日本新聞me「発売40年、世界に5億個 ガンプラが愛される理由は 川口名人に聞いた

アメリカ

アメリカにおけるガンダム人気は、アジアに比べるとそれほど高くありません。

アメリカでは、1995年~1996年に日本で放映されたアニメシリーズ『新機動戦記ガンダムW』が2000年に初めてテレビ放映されました。そして、カートゥーン ネットワーク(国内外のアニメを放送するアメリカの民放テレビ)内で、ナンバーワン高視聴率を記録し、好調な滑り出しを見せたのです。

しかし現在、アメリカでは『鬼滅の刃』『呪術廻戦』など、ヒーローものやファンタジー要素の強い作品が人気を集めています。NetflixやCrunchyrollなどの視聴データやIMDbの評価を基準としたアメリカのランキングトップ50には、70~80年代のアニメもランクインしていますが、ガンダムはランクインしていません。

ガンダムや『新世紀エヴァンゲリオン』などのロボット関連アニメは、アメリカではニッチなジャンルといえるでしょう。

参照:バンダイ「バンダイの第2次キャラクターグローバル展開について
参照:日本貿易振興機構(JETRO)「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート

なお『鬼滅の刃』、および『呪術廻戦』の海外人気についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ヨーロッパ

ヨーロッパにおけるガンダム人気は、アメリカと同様、アジアと比較するとそれほど高くありません。

イギリスとイタリアでは2001年、フランスでは2002年にテレビ放映がされましたが、爆発的なヒットには至りませんでした。しかし近年、ガンプラをきっかけに徐々に人気が高まってきています

ヨーロッパでガンプラの人気が高まった背景には、コロナ禍によるステイホーム需要があります。自宅で楽しめるホビーとしてガンプラが注目され、徐々にファン層が拡大しました。

フランスでは2020年にガンダムのオフィシャルショップが開店し、現地のファン層の拡大に貢献しています。またBANDAI SPIRITSは、フランスの小学校にガンプラの無料キットを配布するなど、普及活動にも力を入れています。

参照:バンダイ「バンダイの第2次キャラクターグローバル展開について
参照:ねとらぼ「ガンプラ、海外売上が約5割 人気拡大の理由をBANDAI SPIRITSに聞いてみた

ガンダムのプラモデル(ガンプラ)はアジアで人気

ガンプラはアジアで高い人気を誇っています。海外の地域ごとの詳細な販売数は非公表ですが、韓国を中心にアジアで人気が高く、売り上げの約2割をアジアが占めています

海外のガンプラの販売拠点を見ても、韓国や中国、台湾に集中していることから、アジアで人気が高いことがわかるでしょう。

アメリカでは、2000年のアニメ放映後にガンプラが販売されました。しかしアメリカのプラモデル市場は、日本と比較するとあまり大きくありません。

そこでバンダイアメリカは、ガンプラの普及を目的に、プラモデルの作成実演やゲームソフトの体験プレイなどのイベントを実施しました。その結果、徐々に認知度が高まり、2001年のプラモデル部門の売り上げは、ガンプラが上位3位を占める成果をあげました。

さらに2020年にはアメリカの大手量販店「TARGET」でガンプラの取り扱いが始まり、今後の人気の伸びが期待されています。

なお、機体ごとの人気の高さに地域による大きな違いはありません。ただし各地域でどのシリーズが放映されていたかによって、多少左右されるようです。

世界共通で人気があるのは、「ガンダムアストレイ・レッドフレーム」です。アニメ化されていない機体ですが、腰に刀を差している「侍モチーフ」が世界的に人気を集めています。

参照:読売新聞「福岡ガンダム「すごい迫力」…アジアの「玄関口」、集客の拠点に
参照:バンダイ「バンダイの第2次キャラクターグローバル展開について
参照:ねとらぼ「ガンプラ、海外売上が約5割 人気拡大の理由をBANDAI SPIRITSに聞いてみた

ガンダムの海外人気に地域差がある理由

ガンダムの海外人気に地域差がある理由はロボットに対する文化的なイメージや宗教的なタブーが、国によって大きく異なることが要因と考えられます。

たとえば、ヨーロッパで巨大な人形の機械は、神に逆らう魔物や怪物、いわゆるモンスターとして扱われることが多いのです。人間がモンスターを扱い、神の摂理に歯向かうことはタブーと捉えられることがあるのです。

そのため、人間が操縦する巨大なロボットがガンダムのようにヒーローとして扱われる作品は、ヨーロッパで受け入れられにくいと考えられます。

一方、アジア圏はロボットに対する宗教的なタブーは少ないため、作品が受け入れられやすい傾向にあります。国や地域による文化や宗教の違いが、ガンダムの人気に地域差が生まれている理由といえるでしょう。

参照:ITmedia ビジネスオンライン「なぜガンダムは海外で人気がないのか:アニメビジネスの今(前編)

海外で人気の高いガンダムシリーズ

海外で人気が高いガンダムシリーズは以下のとおりです。

  • 第1位『機動戦士ガンダム』
  • 第2位『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』
  • 第3位『機動戦士ガンダム UC(ユニコーン)』

バンダイナムコエンターテインメント、およびバンダイナムコオンラインが米国を対象に2022年に実施したアンケートのランキングをもとに紹介します。

参照:GAME Watch「宇宙世紀作品が人気? 「GUNDAM EVOLUTION」日米の「好きなガンダム作品」アンケート結果公開

第1位『機動戦士ガンダム』

第1位は、ガンダムシリーズ初の作品で、1979年~1980年に日本で放送されたテレビアニメシリーズ『機動戦士ガンダム』です。『機動戦士ガンダム』は、1979年と1980年にアニメージュグランプリを受賞しました。

宇宙世紀0079年を舞台に、地球連邦とジオン公国の戦争を描いています。ジオン公国はモビルスーツ「ザク」を使い、連邦に対し優位に立ちますが、連邦軍も最新兵器「ガンダム」を開発しました。

主人公のアムロ・レイが、ガンダムを操縦し、ジオン軍のエースパイロット、シャアと激戦を繰り広げます。戦争の非情さや人間ドラマが描かれており、後のリアルロボットアニメに大きな影響を与えた作品の一つです。

参照:MyAnimeList「Kidou Senshi Gundam (Mobile Suit Gundam)

第2位『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

第2位は、日本で2015年~2017年に放送された『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』です。当作品は、主人公の三日月・オーガスと少年兵たちが火星の独立戦争に巻き込まれる壮絶なストーリーです。

「いのちの糧は、戦場にある。」をキャッチコピーに、戦争や権力に立ち向かう若者たちの苦悩など、社会的問題をテーマにしています。シリーズ全体においてシリアスなトーンが特徴で、深いストーリーやキャラクターの成長が評価の高い作品です。

戦闘シーンだけでなく、人間ドラマも細かく描かれており、従来のガンダムシリーズとは異なる壮大なテーマにも注目が集まりました。

参照:MyAnimeList「Kidou Senshi Gundam: Tekketsu no Orphans
参照:GUNDAM.INFO「「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」メインキャスト&主題歌アーティスト決定!最新PVも公開!

第3位『機動戦士ガンダム UC(ユニコーン)』

第3位は、日本で2010年に放送された『機動戦士ガンダム UC(ユニコーン)』です。『機動戦士ガンダム UC』は、宇宙世紀0096年を舞台にした作品です。

戦争の悲劇がテーマとして扱われており、深い人間ドラマが描かれています。主人公のバナージ・リンクスがユニコーンガンダムに乗り込み、地球連邦とジオン残党との対立のなかで歴史の真実を探求するストーリーです。

『機動戦士ガンダム UC』は、2011年と2012年に東京アニメアワードOVA部門を受賞しました。複雑なキャラクター性と緻密なストーリーが評価されている作品です。

参照:MyAnimeList「Kidou Senshi Gundam Unicorn (Mobile Suit Gundam Unicorn)

海外におけるガンダム人気の今後の展望

海外におけるガンダム人気は、今後も高まっていくことが期待されています。バンダイは、国境や世代を超えて幅広い人にアプローチするため、「サンリオ」やシューズメーカー「クロックス」とのコラボ商品などを展開し、ブランド力を強化しています。海外市場の可能性をふまえ、先入観にとらわれずにガンダムの魅力を発信し続けているのです。

世界的に人気が高まっているガンプラは、日本語が読めないユーザー向けにパッケージや説明書に英文表記をしたり、視認しやすいアイコンを掲載した説明書を添付したりするなど、企業努力を続けています。

さらにバンダイは、ガンプラ制作の世界一を決定するコンテスト「GUNPLA BUILDERS WORLD CUP(GBWC)」を毎年開催しています。GBWCは国際的なコンテストで、ガンプラの想像力や技術を競う世界最大規模の大会です。

2011年から開催されており、年齢別の部門やジュニア部門が設けられているため、幅広い層のガンプラファンが参加できることが特徴です。決勝は毎年日本で開催され、世界中のガンダムファンの交流の場として機能しています。

ガンプラをきっかけに、海外人気がさらに広がる可能性は大いに考えられるでしょう。

参照:GUNDAM.INFO「サンリオキャラクターズのコラボアイテムも多数登場!『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』劇場関連グッズの追加情報!
参照:GUNDAM.INFO「海外限定コラボ!ガンダムカラーのクロックス クロッグ&ジビッツが好評発売中!
参照:BANDAI SPIRITS「GUNPLA BUILDERS WORLD CUP 12th TOURNAMENT

ガンダムは海外人気が高いわけではないがアジア圏では人気

ガンダムは海外人気がそれほど高くありませんが、アジアを中心に人気がある作品です。とくに韓国や中国などで根強い人気があり、ガンプラは初心者からマニア層まで、幅広い層に受け入れられています

バンダイはガンダムを世代や国籍を超えて幅広い人にアプローチしようと、人気商品とのコラボなどを通して、マーケティング戦略を展開しています。ガンプラをきっかけに人気が広がっている地域もあるため、国境を超えた人気の拡大が期待できるでしょう。

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