ヒロアカの海外人気が高い理由とは？人気のキャラクターや海外で人気のその他作品も紹介！

『ヒロアカ（僕のヒーローアカデミア）』は海外人気が高い

『ヒロアカ（僕のヒーローアカデミア）』は海外人気が高く、2024年5月時点でコミックスのシリーズ世界累計発行部数1億部を突破しています。

『週刊少年ジャンプ』にて連載中の堀越耕平による漫画作品であり、「無個性」だった主人公が最高のヒーローを目指して成長していく物語です。

特にアメリカを中心に人気が高く、オンライン雑誌『ICv2』の調査では、2020年北米アダルトグラフィックノベルの年間トップ20にランクインされ、1位を獲得しています。フランスでも人気が高く、現地のMANGA市場を牽引する存在といえます。

参照：集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会「INTRODUCTION」
参照：ICv2「FULL YEAR 2020 NPD BOOKSCAN - TOP 20 ADULT GRAPHIC NOVELS」

『ヒロアカ』の海外人気が高い6つの理由

『ヒロアカ』がアメリカを中心に海外で人気が高い理由は次の6つと考えられます。

• 海外で受け入れられやすいヒーロー作品
• アメリカの地名由来の技がある
• 海外展開とプロモーションが盛ん
• 主人公が無個性から最高のヒーローへ成り上がる
• 個性豊かなヒーロー・ヴィランたち
• 事前知識なしで楽しめる

それぞれについて詳しく解説していきましょう。

海外で受け入れられやすいヒーロー作品

ヒーロー作品は海外ファンが見てもわかりやすく、受け入れられやすいのが特徴です。とくにアメリカでは『スーパーマン』『バットマン』などのアメリカン・コミックスが存在しているように、数多くのヒーロー作品が浸透しています。

すでにヒーロー作品の文化が根強いアメリカにおいて、ヒーロー作品である『ヒロアカ』はヒットしやすい状態だったといえるでしょう。

主人公デクを支えるキャラの「オールマイト」を思いついたことが、『ヒロアカ』にアメコミの要素を取り入れるきっかけになったと作者自身も語っています。

参照：このマンガがすごい！ WEB「堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』インタビュー　新世代の王道少年マンガはアメコミヒーロー×学園もの！ 人気炸裂（SMASH!!）の連載へと短編を進化させた方法とは!?」

アメリカの地名由来の技がある

『ヒロアカ』に登場するキャラクターのオールマイトの技名には、アメリカの地名由来のものがあります。具体的には、「テキサス スマッシュ」や「デトロイト スマッシュ」などが挙げられます。

アメリカの知名度の高い地名を用いることで、記憶に残りやすく、浸透に拍車をかけたといえるでしょう。

海外展開とプロモーションが盛ん

『ヒロアカ』が海外でもファンを拡大している背景には、以下のような海外展開の取り組みがあると考えられます。

• 英語字幕や吹き替えによる作品の多言語化
• 海外イベントへの出展やプロモーション活動の実施
• アメリカのAnime Expoなど大型イベントでの特集
• SNSを活用したグローバルなファンコミュニティの形成

2022年7月には米国ロサンゼルスで開催されたAnime Expoにも出展しており、今後も多角的なアプローチで海外マーケットの開拓を期待できるでしょう。

参照：FASHIONSNAP「SPY×FAMILY、ヒロアカ、鬼滅の刃...日本のアニメがアメリカで爆発的な人気を集める理由」

主人公が無個性から最高のヒーローへ成り上がる

無個性から最高のヒーローへ成り上がるストーリーは、アメリカでも人気です。

主人公の緑谷出久は無個性でありながら、ヒーローになる夢を持ち、努力と忍耐力で自分の力を伸ばしていきます。

夢や努力で成り上がるストーリーラインは、アメリカ文化の自己成長の重要性を強調する考え方と共鳴しやすいでしょう。

シンプルながらもリスクのある主人公の能力や緊迫感のあるストーリー展開が、主人公の成長物語の面白さに拍車をかけています。

個性豊かなヒーロー・ヴィランたち

個性豊かなヒーロー・ヴィランたちが登場することも、『ヒロアカ』が海外で高い人気を得ている理由でしょう。

『ヒロアカ』のヒーローやヴィランは、それぞれ固有の個性（『ヒロアカ』の世界での特殊能力）や特徴を持っています。アメリカのヒーローコミックに見られるように、個性的なキャラクターは人気の鍵となります。

たとえば、触れたものを崩壊させる「死柄木弔」や、手のひらから炎を出す「荼毘（だび）」、変身の個性をもつ「トガヒミコ」などです。

個性豊かなヒーロー・ヴィランたちの対決やバトルシーンも迫力があり、アメリカの視聴者も楽しめる描写が魅力です。

事前知識なしで楽しめる

『ヒロアカ』は本編を追うだけで内容を理解できる点も、海外で人気が高まった理由です。

アメコミの場合、シリーズものが多く、途中から視聴するとキャラクターの背景がわからず楽しみにくいことがあります。アメコミに触れてこなかった層にとって、視聴を始めるハードルが高く、また視聴してもついていけずに離れてしまうこともあるでしょう。

『ヒロアカ』の場合は事前知識や他の作品の視聴が不要なため、ハードルが低いです。また劇場版シリーズの場合、原作とは独立したストーリーであることが多いため、アニメ本編を視聴していない方も楽しめます。

『ヒロアカ』の海外人気がわかるメディアミックス展開

『ヒロアカ』の海外人気がわかるメディアミックス展開には次の4つが挙げられます。

• 2015年にアメリカで漫画（MANGA）出版
• 2016年に日本と同時にアメリカで字幕版アニメ配信
• KLabが中国以外の全世界でオンラインゲーム化権を取得
• 海外実写映画版の世界配給が決定

2015年にアメリカで漫画（MANGA）出版

アメリカでは2015年に『僕のヒーローアカデミア』の漫画（MANGA）が出版されました。2016年8月以来、最新刊が出るたびにコミックス全体の単行本売上リストの1位を獲得しています。

単発的なヒットではなく、連続して1位を取り続けており、長期にわたりコミックスの売上でトップの座をキープしていることが特徴です。漫画（MANGA）は日本国外でも人気を集め、アメリカでも多くの読者に支持されています。

参照：courrier「#10 『僕のヒーローアカデミア』は『NARUTO』の座を奪えるか」

2016年に日本と同時にアメリカで字幕版アニメ配信

2016年に日本と同時にアメリカで字幕版のアニメが配信され、アメリカでは人気テレビ番組ランキングに選ばれています。

さらに配信開始当初からSNSを中心に話題が広まりました。X（旧：Twitter）では原題のローマ字表記「Boku No Hero Academia」を略した「#bnha」のハッシュタグが拡散されています。

作品の同時配信に加え、SNSを経由した話題の広がりが、アメリカでの人気獲得につながったといえるでしょう。

参照：FASHIONSNAP「SPY×FAMILY、ヒロアカ、鬼滅の刃...日本のアニメがアメリカで爆発的な人気を集める理由」

KLabが中国以外の全世界でオンラインゲーム化権を取得

2022年11月7日にKLabは『ヒロアカ』の中国大陸を除く全世界でのオンラインゲーム化権を取得したと発表しました。

KLabは、日本国内はもちろん、北米・欧州・アジアなどグローバルにも事業を展開する日本のスマートフォンゲーム開発・運営会社です。

KLabがこれまで得意としてきた人気作品を原作としたゲーム開発と配信のノウハウを活かすとされています。この発表は『ヒロアカ』のグローバル展開を図るうえで重要な一歩といえるでしょう。

参照：KLab「KLab、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』の中国大陸を除く全世界での新作オンラインゲーム化権を取得」

海外実写映画の製作・世界配給が決定

『ヒロアカ』は海外実写映画の製作・世界配給が決定しています。

2018年10月には、レジェンダリー・エンターテインメントが『ヒロアカ』の実写映画化する権利を獲得し、製作が発表されました。

さらに2022年12月13日にNetflixが『ヒロアカ』の海外実写映画版を世界配給することを決定したと発表されました。日本では東宝株式会社が劇場配給することが決定しています。世界展開力の高いプロジェクトに、成功への期待が集まっています。

参照：screenrant「My Hero Academia Live-Action Movie In Development At Legendary」
参照：Netflix「Netflix Boards 'My Hero Academia' Feature Film From Legendary Entertainment」

アメリカで上映された『ヒロアカ』映画

アメリカで上映された『ヒロアカ』の映画には次の3つがあります。

• 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ～二人の英雄～』
• 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ　ライジング』
• 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』

以下でそれぞれについてみていきましょう。

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ～2人の英雄～』

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE～2人の英雄～』はアメリカでも上映されました。主人公デクとオールマイトが、I・アイランドで起きた人質事件に立ち向かうストーリーです。

アメリカでの総興行収入は5,754,556ドル、日本円に換算すると約8億9,000万円（※2024年5月7日時点のドル円レートで計算）です。

参照：Box Office Mojo「My Hero Academia: Two Heroes (2018)」

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ：ライジング』

アメリカでの『ヒロアカ』の映画2作目は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ：ライジング』です。

ヒーロー見習いのデクたちがヒーローの資格取得試験に向け訓練するが、試験中にヴィラン団体「ハマラー」の襲撃を受けてしまい、デクたち見習いヒーローが戦いを挑むストーリーです。

アメリカでの総興行収入は13,304,000ドル、日本円に換算すると約20億5,600万円（※2024年5月7日時点のドル円レートで計算）です。

参照：Box Office Mojo「My Hero Academia: Heroes Rising (2019)」

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』

アメリカにおける『ヒロアカ』の映画3作目は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』です。

ヒーローのデクたちがワールドヒーローミッションに参加するストーリーで、世界のヒーローが集結し、国際ヴィランと対決するストーリーです。デクと幼馴染のかっちゃん（爆豪勝己）が中心となり、世界の危機を救います。

アメリカでの総興行収入は12,271,658ドル、日本円に換算すると約19億円（※2024年5月7日時点のドル円レートで計算）です。

参照：Box Office Mojo「Hero Academia: World Heroes' Mission (2021)」

海外人気が高い『ヒロアカ』のキャラクターTOP3

海外で人気が高い『ヒロアカ』のキャラクターTOP3は次のとおりです。

• 1位｜爆豪勝己（ばくごう かつき）
• 2位｜緑谷出久（みどりや いずく）
• 3位｜轟焦凍（とどろき しょうと）

集英社や小学館のグループで、北米でアニメや漫画の配信をしているVIZ Mediaの人気投票の結果をもとに紹介します。

VIZ Mediaとは、北アメリカにおける日本の漫画・アニメの翻訳出版、映像販売を行う企業であり、アメリカでは『週刊少年ジャンプ』の英語版『Shonen Jump（月刊）』を出版しています。

1位｜爆豪勝己

1位は主人公デクの幼なじみの爆豪勝己です。

デクとは幼稚園からの付き合いで、短気で口調は荒いですが、本質はまっすぐな性格であることが特徴です。デクは「かっちゃん」と呼んでおり、ヒーローを目指してデクと競い合うライバル的な存在とされています。

ブロンドの髪や短気でまっすぐな性格がステレオタイプの日本人像と異なるため、海外でも新鮮に受け入れられていると考えられます。

参照：VIZ Media「My Hero Academia Poll 2019 Results!」

2位｜緑谷出久（デク）

2位は主人公の緑谷出久（デク）です。

個性が無いことへのコンプレックスを持ちながら、前向きに夢を追いかけ、No.1ヒーローを目指す努力家の主人公です。

コンプレックスを持ちながらも前向きな姿勢であることや、努力で夢を追う姿は世界共通で共感が得られやすいと考えられます。

参照：VIZ Media「My Hero Academia Poll 2019 Results!」

3位｜轟焦凍

3位は主人公デクのクラスメイトである轟焦凍です。

プロヒーローであるエンデヴァーの息子で、右から氷結、左から炎熱を繰り出す個性を持ち、冷静沈着な性格でクールな印象があるキャラクターです。

「半冷半燃」という特殊な能力にくわえ、冷静ながらも情熱的な一面を持つこと、複雑な家庭環境であることなどが支持されたのではないでしょうか。

参照：VIZ Media「My Hero Academia Poll 2019 Results!」

『ヒロアカ』の他に海外人気が高い作品

『ヒロアカ』の他に海外で人気が高い作品の例として、次の2作品が挙げられます。

• SPY×FAMILY
• 鬼滅の刃

以下、紹介していきます。

SPY×FAMILY

引用：TVアニメ『SPY×FAMILY』
©遠藤達哉／集英社・SPY×FAMILY製作委員会

『ヒロアカ』の他に海外で人気が高い作品に、『SPY×FAMILY』が挙げられます。

2024年5月時点で『SPY×FAMILY』はMyAnimeListにて、95万人以上から10点満点中平均8.53点の評価を受けています。MyAnimeListは多くの海外ユーザーが利用するサイトであり、海外アニメユーザーにも人気である証拠といえるでしょう。

『SPY×FAMILY』が海外で人気となった理由の一つに、アニメファンを取り込む手段として、ファンアートを推進していることが挙げられます。

公式サイトやSNSで積極的にファンアートを紹介するなど、戦略的なファンアートの活用が海外での人気獲得に寄与しているといえるでしょう。

参照：MyAnimeList「Spy x Family」

鬼滅の刃

引用：TVアニメ「鬼滅の刃」公式サイト「アニメ「鬼滅の刃-兄妹の絆-」」
©吾峠呼世晴／集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』も海外で人気が高い作品であり、『鬼滅の刃 遊郭編』はMyAnimeListにて2024年5月時点で、90万人以上のユーザーから10点満点中8.75点と高い評価を得ています。

この人気の側面にはコロナ禍が追い風になったことが考えられています。主人公たちがさまざまな困難に立ち向かう姿が共感を呼び、コロナ禍の不安やストレスを抱える人々の心をとらえる物語だったといえるのです。

このように、コロナ禍が作品のテーマの訴求力を高め、海外での大ヒットにつながった面があると考えられます。

参照：MyAnimeList「Kimetsu no Yaiba: Yuukaku-hen」
参照：Los Angeles Times「Why the ‘Demon Slayer’ movie is such a unique anime success story」

『ヒロアカ』は海外人気の高いヒーロー作品

『ヒロアカ』が海外でも大人気のヒーロー作品となっている理由は以下のとおりです。

• 海外で受け入れられやすいヒーロー作品
• アメリカの地名が由来の技名がある
• 海外展開とプロモーションが盛ん
• 主人公が無個性から最高のヒーローへ成り上がる
• 個性豊かなヒーロー・ヴィランたち
• 事前知識なしで楽しめる

『ヒロアカ』は、作品自体の魅力と戦略的な海外展開が相まって、世界的に人気の高い作品です。海外にも受け入れられやすいストーリーであることにくわえ、積極的にプロモーションを行うことが、海外でもヒットしやすくなるアニメの傾向といえるでしょう。