ジブリ作品に著作権はある?場面写真の自由利用についてわかりやすく解説
#学ぶ
2024.07.16

ジブリ作品に著作権はある?場面写真の自由利用についてわかりやすく解説

「スタジオジブリの作品に著作権はあるの?」「ジブリが提供している画像とは?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

スタジオジブリの作品には著作権があります。利用の際は、著作権を侵害しないよう適切に取り扱うことが大切です。

本記事では、スタジオジブリ作品の著作権の扱いや、ジブリが提供している自由利用可能な作品の画像について詳しく解説します。最後まで読むことで、ジブリ作品の著作権や画像の利用における注意点が理解できるでしょう。

INDEX
  1. ジブリ作品には著作権がある
  2. ジブリが提供する自由利用可能な画像とは
  3. スタジオジブリが作品の静止画を提供した背景
  4. ジブリ作品の自由利用可能な画像を使う際の注意点
  5. ジブリ作品の画像は引用のルールを守って利用する
  6. 著作物の引用が認められるための4つの条件
  7. 正しい引用のやり方は?満たすべき4つの条件
  8. ジブリ作品は著作権に留意して利用しよう

ジブリ作品には著作権がある

スタジオジブリ作品には著作権があります。会社としては株式会社スタジオジブリ、個人としては宮崎駿氏が代表的な著作権者です

ただし、ジブリ作品の場合は、原作・脚本・映画のそれぞれに著作権があり、著作権者がいます。ジブリ作品の著作権は、必ず作品ごとに確認するようにしましょう。

三鷹の森ジブリ美術館などジブリに関連する施設のサイトにも、利用条件として著作権の取り扱いを明記しています。ジブリ作品を許諾なく利用することは著作権侵害に該当するため、利用には十分な注意が必要です。

参照:スタジオジブリ「作品の著作権表示
参照:スタジオジブリ「misc.
参照:三鷹の森ジブリ美術館「ご利用条件

なお、以下の記事では著作権について詳しく解説しているため、参考にしてください。

ジブリが提供する自由利用可能な画像とは

スタジオジブリは2020年9月18日より公式サイトで作品の画像を提供し、「常識の範囲でご自由にお使いください。」と自由な利用を認めています。

提供している画像は以下の2種類です。

  • スタジオジブリ作品の静止画
  • スタジオジブリ作品のWEB会議用壁紙

静止画はジブリ作品の主要場面の画像で、インパクトのあるものがそろっています。現在は26作品の画像が提供されています(2024年7月時点)。

会議用壁紙は主に個人の在宅勤務や遠隔授業において、Web会議アプリケーションなどの背景に使用することを想定したものです。

いずれも使用上のお願いとして以下の点が挙げられています。

  • 商業目的での使用、企業・商品の宣伝等には使用できない
  • 紹介する際は、サイトの案内およびリンクをする
  • 画像データの再配布はしない
  • Web会議アプリケーションに合わせた画像サイズの変更や若干のトリミングなどの調整は可能

利用の際は上記に注意して、適切に取り扱いましょう。

参照:スタジオジブリ「今月から、スタジオジブリ作品の画面写真の提供を開始します
参照:スタジオジブリ「「君たちはどう生きるか」の場面写真を提供致します
参照:スタジオジブリ「web会議などで使える、「スタジオジブリ壁紙」

スタジオジブリが作品の静止画を提供した背景

スタジオジブリが作品の静止画を提供した背景として、プロデューサーの鈴木敏夫氏は以下の二点を挙げています。

  • 著作権を緩め、みんなが使いやすい環境をつくらないと、作品が消えてしまう
  • ジブリ作品は支えてくれた人、見てきた人のものでもある

また、スタジオジブリでは、著作権侵害に厳しく対応することが作品の寿命を縮める可能性があると危機感を持っていることを公表しています。

そのような背景から、作品が今後も人々に親しまれて長く残ることをねらい、個人による自由な利用を認めた作品画像の提供をしているのです。

参照:読売新聞オンライン「「著作権を緩めないと作品消えちゃう」ジブリ画像400枚、無償提供開始

ジブリ作品の自由利用可能な画像を使う際の注意点

スタジオジブリ作品の自由利用可能な画像を使う際の注意点は、以下のとおりです。

  1. 著作権表示を行う
  2. 加工などの二次創作をしない
  3. 商用目的で利用しない
  4. 作品を貶める使い方をしない

一般的に想定される画像利用時の注意点を、具体的に例を挙げながら紹介します。

1.著作権表示を行う

ジブリ作品の画像を利用する場合には、著作権表示をしましょう。以下の点に注意して正しく著作権表示をすることが大切です。

  • ©マークを使用する
  • 著作権者を記載する

スタジオジブリの公式サイトでは、作品ごとの著作権表示を公開しています。画像の利用時に参考にして、適切に著作権表示を行いましょう。

参照:スタジオジブリ「作品の著作権表示

2.加工などの二次創作をしない

ジブリ作品の画像に加工を施し、発展させた創作物に仕立てるような二次創作をしないようにしましょう。

二次創作とは、文字や画像を付け加え、もとの画像から異なる創作物に作り替えることをいいます。具体例として以下が挙げられます。

  • イラストを付け加える
  • オリジナルストーリーに作り替える
  • 同人作品として設定を変えてしまう
  • コスプレをする
  • 自由利用画像を動画に活用する

ジブリ作品の画像を利用して許諾なく二次創作をすると、著作権侵害のおそれがあります。

3.商用目的で利用しない

ジブリ作品を利用する際、商用目的で利用しないよう注意しましょう。

スタジオジブリは、画像提供を開始する際のお知らせページにて「常識の範囲でご自由にお使いください。」と明記しています。「常識の範囲」に関しては、法律に則った判断をすることが望ましいです。

著作権法では、著作物の複製が認められるケースについて「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」と定義しています(著作権法第30条)。

つまり、私的利用は認められているものの、第三者に販売するなどの営利目的で利用することは認められていないと考えるのが一般的です。

商用目的の主な例は以下のとおりです。

  • 画像素材を使って商品を開発・販売する
  • 画像素材を名刺に使う
  • 画像や音楽素材を広告収入が得られるブログや動画に使用する
  • 画像素材を年賀状に使用する
  • 画像素材をプレゼンや提案資料に使用する

意図せず商用目的の利用をすることがないよう、注意しましょう。

参照:e-Gov法令検索「著作権法
参照:スタジオジブリ「今月から、スタジオジブリ作品の画面写真の提供を開始します

4.作品を貶める使い方をしない

場面写真を利用する際、スタジオジブリ作品のイメージや評判を落とすような使い方をしないことに注意しましょう。

ジブリ作品を貶める使い方の例として、以下が挙げられます。

  • 侮辱的なパロディに加工する
  • 暴力的な表現を加える
  • 性的な表現を加える

作品の品位を著しく落とすと考えられる扱いは避けなければなりません。

ジブリ作品の画像は引用のルールを守って利用する

ジブリ作品の画像は、引用のルールを守って利用することが望ましいです。スタジオジブリは「常識の範囲内」での利用を求めており、著作権を放棄したわけではないためです。

SNSを中心にジブリ作品の画像が利用されていますが、公共の場でもあるSNSの利用は、一般的には個人利用の範囲にとどまらず、著作権侵害にあたる行為になります。

スタジオジブリは厳しく取り締まりを行う姿勢は見せていませんが、あくまで著作権者側が黙認しているに過ぎないといえます。利用する際は著作権侵害とならないよう、適切に利用することが望ましいと理解することが大切です。

著作物の引用が認められるための4つの条件

著作物の引用が認められるための条件は以下の4つです。

  • 公表されているものである
  • 公正な慣行に合致する
  • 引用の目的上正当な範囲内である
  • 出所を明示している

以下、文化庁で開示している著作物の引用について、詳しく解説します。

参照:文化庁「13著作者の権利の制限(承諾を得ずに利用できる場合)

1.公表されているものである

すでに公表されているものであることが、作品等を引用できる条件の一つです。

著作権法4条1項によると、公表とは、発行された場合並びに上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合をいいます。

公衆に提供されるとは、著作物が一般の人々に向けて提供され、誰でもアクセスできる状態にあることを指します。

スタジオジブリ作品を例とすると、『となりのトトロ』は映画館で上映されているため、公開された作品と判断可能です。公式サイトで作品が発表されたことや、DVD化など商品化されていることからも、公表されているといえます。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

2.公正な慣行に合致する

著作権法32条1項で引用の条件の一つに、公正な慣行に合致するものであることが必要とされています。

公正な慣行への合致とは、引用する場合の諸条件を満たしていることを指します。引用する場合の条件は後述するため、参考にしてください。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

3.引用の目的上正当な範囲内である

引用する目的が正当な範囲内であることも条件の一つです。

正当な範囲とは、利用者の目的に対して引用が適切なものであるかを基準としています。具体的には、以下の要素から判断されます。

  • 引用の必要性
  • 引用する量
  • 引用する範囲
  • 引用方法の適切さ

たとえばまったく関係のない文脈において、スタジオジブリ作品の画像を利用する場合は、必要性がないと考えられ、正当な範囲とはいえません。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

4.出所を明示している

作品をどこから引用したか明示することも引用する条件の一つと著作権法48条1項1号にて定められています。

たとえば、書籍の場合には、以下の要素を記載することが必要です。

  • 著作物のタイトル
  • 著作者の名前
  • 出版年
  • 出版社

上記を記載することで出所が明らかとなり、著作権者の権利を守ることにつながります。引用の信頼性と透明性を確保する意味もあるため重要です。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

正しい引用のやり方は?満たすべき4つの条件

他の著作物から引用する際には、下記の4つの条件を満たす必要があります。

  1. 明瞭区別性|被引用部分と本文が明確に区別できる
  2. 主従関係性|本文と被引用部分が主従の関係にある
  3. 必然性|引用する十分な理由・必然性がある
  4. 同一性保持|被引用部分が改変されていない

1.明瞭区別性|被引用部分と本文が明確に区別できる

引用する際は、被引用部分と本文が明確に区別できることが必要です。

区別する方法として、具体的には以下の2点が挙げられます。

  • 引用部分にカギ括弧(「」)や引用符(”“)をつける。
  • 引用部分にインデント・枠線・背景色などを設定する。

参照:弁護士法人クラフトマン「5.1著作物の引用の要件・ポイント

引用箇所がその他の部分と見分けられない場合、適切に引用できているとはいえません。区別できるよう引用の仕方を守りましょう。

2.主従関係性|本文と被引用部分が主従の関係にある

引用する際は、本文と被引用部分が主従の関係であることが必要です。以下のポイントを押さえましょう。

  • 自己の著作物が「主」、引用部分が「従」である
  • 量と質の両方において適切な主従関係がある状態とする

自分の主張がなく引用部分が大半を占める文章では、主従関係が逆転しており適切な引用とはいえません。自分の文章が大半を占め、補足的に引用部分がある状態にする必要があります。

なお、自己の著作物の量が多いだけでは、「主」であると認められない点に注意が必要です。

内容において、自己の著作物が主体性を持ち、引用部分は自己の著作物の補足・参考情報としての位置づけになっていることも必要です。

参照:弁護士法人クラフトマン「5.1著作物の引用の要件・ポイント

3.必然性|引用する十分な理由・必然性がある

引用する場合、十分な理由・必然性があることが必要です。

たとえば、特定のジブリ作品の作画や演出について説明する際には、該当のジブリ作品の画像を引用する必要性があるといえます。視覚情報をもとに具体的に伝える適切な理由・必然性があるためです。

著作物を引用したい場合には、引用する十分な理由や必然性があるかを考慮したうえで判断しましょう。

4.同一性保持|被引用部分が改変されていない

引用する際は、被引用部分が改変されていないことが必要です。

被引用部分が改変されることで、著作物を正しく引用していないことになり、加工を施したとみなされることになるためです。

ジブリ作品の『となりのトトロ』のセリフを例に挙げると、「まっくろくろすけ出ておいで 出ないと目玉をほじくるぞ」という部分を引用する場合、「まっくろくろすけ出ておいで 出ないと目ん玉をほじくるぞ」と改変すると、適切に引用されていないことになります。

ただし、例外として教育目的の利用、建築物の増改築に伴う改変は適用除外とされることに留意しましょう。

参照:弁護士法人クラフトマン「5.1著作物の引用の要件・ポイント

ジブリ作品は著作権に留意して利用しよう

ジブリ作品を利用する場合は、著作権に留意することが大切です。ジブリ作品はそれぞれに著作権があるため、一つずつ確認し、利用許諾を得る必要があります。

自由な利用が認められている画像を利用する場合も、常識の範囲内で利用することが大切です。具体的には、法で定められた引用の条件を満たすことが望ましいです。

正しい引用方法を理解し、適切に利用しましょう。

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