模写が著作権侵害に該当するケースを解説!注意したい著作権法を紹介
#学ぶ
2024.05.09

模写が著作権侵害に該当するケースを解説!注意したい著作権法を紹介

「漫画やイラストを模写したら著作権の侵害にあたるのだろうか」「模写した作品を自身のSNSに投稿したい」「模写した作品でグッズを作っても大丈夫?」といった悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

漫画やイラストを模写することは、著作権侵害には該当しません。しかし模写した作品をSNSにアップしたり、グッズを作ったりすることは著作権侵害に該当します。漫画やイラストを模写する際は、私的利用の範囲内におさまるように留意する必要があります。

そこで本記事では、模写が著作権に該当するケースを解説します。注意したい著作権法についても解説するので、模写に関する著作権について深く知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

INDEX
  1. 模写すること自体は著作権侵害にはならない
  2. 模写で著作権侵害に該当する3つのケース
  3. 模写で著作権侵害にならないケース
  4. 模写で著作権の侵害と認められた判例
  5. 模写で著作権の侵害ではないと認められた判例
  6. 模写する際に注意したい著作権法
  7. 模写の著作権に関するよくある質問
  8. 権利を侵害せずに著名人の素材を使う方法
  9. 模写する際は著作権の侵害に注意しよう

模写すること自体は著作権侵害にはならない

模写する行為自体は、著作権侵害にはあたりません。模写するだけなら「私的利用の範囲内」となるためです。

たとえば、自身の画力アップのために漫画やイラストなどの作品を模写しても問題ありません。ただし以下のケースは、模写した際に著作権侵害に該当する可能性があるため、注意が必要です。

  • 模写が禁止されたものを模写する
  • 模写したものを公表する・アップロードする
  • 営利目的で模写する

著作権を侵害しないためには、模写した作品を公表したり、SNSで販売したりなどの行為は避けたほうがよいでしょう。

模写で著作権侵害に該当する3つのケース

模写で著作権の侵害に該当するケースは以下のとおりです。

  • 著作者の許可を得ずに模写をネット上にアップした場合
  • 著作権フリーではないネット上の写真を模写した場合
  • デザインそのものに著作権がある場合

著作権の侵害は、個人の場合10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられるため、注意が必要です。

参照:文化庁「14 著作権が「侵害」された場合の対抗措置

著作者の許可を得ずに模写をネット上にアップした場合

著作者の許可を得ずに模写をネット上に投稿すると、著作権の侵害に該当します。

著作権は親告罪に該当する法律です。親告罪とは告訴がなければ起訴できない犯罪のことを指します。著作権は、被害者である著作者が告訴することにより侵害者を処罰できる権利です。

しかし、刑事訴追の手続上は親告罪であるとはいえ、模写のアップロードが著作権法の「複製権」を侵害するため、それが著作権侵害に該当する可能性が高いです。

「著作者にバレなければ大丈夫」などの安易な考えで、模写した作品を許可なくネット上に投稿するのは避けたほうがよいでしょう。

参照:文部科学省「著作権法における親告罪の在り方について

著作権フリーではないネット上の写真を模写した場合

著作権フリーではないネット上の写真を模写すると、著作権の侵害に該当します。著作権フリーとは著作物に対する著作権が消滅している状態です。たとえば以下のケースが該当します。

  • 著作権者が著作権を放棄しているか、行使しないと宣言している場合
  • 著作権保護期間が終わっている場合
  • 著作権保護の対象ではない場合

著作権保護の対象ではない例として、歴史的事実やアイデア・企画など、カタチになっていないものが挙げられます。模写そのものも著作権保護の対象外です。

上記に該当しない場合、ネット上に掲載されている写真や画像は基本的に著作権が発生します。

著作権フリーが明記されているものでなければ、使用を避けるのが無難です。

デザインそのものに著作権がある場合

デザインそのものに著作権がある写真や画像を模写した場合、著作権の侵害に該当する可能性が高いです。たとえばデザイナーズマンションや独自性の創造性がある建物などには、著作権が発生します。

特徴的な見た目をしている建物が映っている写真や画像は、公表する作品では模写しないほうがよいでしょう

模写で著作権侵害にならないケース

模写で著作権侵害にならないケースは以下のとおりです。

  • フリー素材の著作物を模写する
  • 練習として著作物を模写する
  • 著作者に許可を取って模写する
  • 二次創作を認めている著作物を模写する

模写する前に必ず目を通しておきましょう。

フリー素材の著作物を模写する

フリー素材の著作物を模写する場合は、著作権侵害に該当しません。フリー素材とは、定められた規約の範囲内であれば、無料で利用できる画像や音楽などのデータ素材のことを指します。

著作権フリーになっている素材は、著作者の許可がなくても使用できます。しかしフリー素材ではない画像や音楽などのデータの扱い方によっては、著作権の侵害になる可能性が高いです

ネット上で見つけた画像やイラストを模写する際は、著作権フリーになっているかどうかを必ず確認しましょう。

著作物を模写しても公開しない

自身の練習として著作物を模写する場合は、著作権の侵害にあたりません。スケッチブックやノートに、自身の練習として著作物を模写するのは問題ないです。

しかし模写したイラストなどをSNSに掲載すると、著作権の侵害となってしまうため注意しなければなりません。著作者ではない他人が勝手に模写した作品をSNSなどにアップした場合、作品の価値を下げる可能性があるためです

練習で模写した作品をネット上に公表するのは避けましょう。

著作者に許可を取って模写する

著作者に許可を取って模写すれば、著作権の侵害に該当しません。著作者の中には、自身の作品を模写されて喜ぶ人だけではなく、真似されて嫌悪感を抱く人もいます。

練習するだけなら許可はいりませんが、模写した作品をSNSなどのネット上にアップしたい場合は、必ず著作者に許可を取りましょう

二次創作を認めている著作物を模写する

二次創作を認めている著作物を模写すれば、著作権の侵害に該当しません。たとえば以下のコンテンツは、二次創作の自由が認められています。

  • 東方project
  • 艦隊これくしょん

しかし東方projectは、二次創作であることを明記する条件がついています。また他者の権利を侵害する内容であったり、原作のイメージを損なったりする内容は禁止です。

二次創作を認めている著作物を使用する際は、禁止事項もあわせて確認しましょう

参照:東方よもやまニュース「東方Projectの二次創作ガイドライン

模写で著作権の侵害と認められた判例

模写で著作権の侵害と認められた判例に「眠り猫イラスト事件」があります

原告イラスト

被告イラスト

引用:新判決例研究「Tシャツ等のイラストデザインにつき「翻案」の差止請 求が認められた事例 -眠り猫イラスト事件

原告は被告によるイラストが描かれたTシャツの製造が、以下の著作権の侵害に該当すると主張した判例です。

  • イラストの著作権(複製権または翻案権)を侵害する
  • 原告のイラストを複製もしくは翻案し、原告の氏名を表示することなくTシャツを製造したのは、著作者人格権(同一性保持権および氏名表示権)を侵害する
  • イラストの写真を被告が運営するホームページにアップロードしたことが公衆送信権を侵害する

原告はイラストの複製と翻案、公衆送信の差止め、著作権を侵害している各物品やデータの廃棄と損害賠償を求めました。裁判所は、イラストの著作権および著作者人格権の侵害を認めています。

裁判所は被告に対して、損害額122万3,570円と慰謝料として30万円、さらに弁護士費用15万円の支払いを命じました。模写した作品でグッズを作って販売したことに対して、裁判所が著作権の侵害を認めた判例です。

参考:鴻和法律事務所「イラストレーターと著作権(無断トレースの問題)

模写で著作権の侵害ではないと認められた判例

模写で著作権の侵害ではないと認められた判例に「コーヒーを飲む男性事件」があります

引用:LEX/DBインターネットTKC法律情報データベース「人物写真のイラスト化と複製・翻案の成否(「コーヒーを飲む男性」事件)

原告が販売していた写真素材を被告が無断で参考にし、イラスト化して自らの作品に使用して販売した事例です。

原告は、販売行為が不正行為にあたると損害賠償請求を求めました。写真素材に関する著作権(複製権、翻案権および譲渡権)を侵害すると、原告が主張しています。

被告はネットで検索して出てきた「コーヒーを飲む男性」の写真を参考に、イラストを描いたことを認めました。しかし参考にしたのは以下の2点のみで、線以外の「塗り」に関しては独自にモノクロ彩色を行ったと主張して争っています。

  • 写真の男性の頭部から肩までの部分
  • コーヒーカップおよびそれをもつ手の輪郭を線でなぞった

裁判所は写真素材の表現上の本質的な特徴を捉えていないとして、著作権の侵害には該当しないと訴えを棄却しています。

作品には被告のオリジナル要素が盛り込まれており、完全な模写ではないとし著作権侵害に該当しなかったケースです。

参考:弁護士法人内田・鮫島法律事務所「写真を参考にしたイラストの著作権侵害が否定された事例

模写する際に注意したい著作権法

  • 複製権
  • 翻案権
  • 同一性保持権

模写をすることで、どのような著作権法を侵害する可能性があるのか把握しておきましょう。

複製権とは

複製権とは著作権に含まれる権利の一つで、著作権法第21条で規定されています。複製とは、作品を複写したり、録画・録音したりすることです。模写することも複製に含まれます。

著作者は著作物を複製する権利と、他人に対して著作物の利用を許諾する権利を有しています。著作者の許可を得ずに作品を模写した場合、著作権法違反に該当する可能性が高くなるでしょう。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

翻案権とは

翻案権とは、原作の特徴を活かしながら、別の著作物(二次的著作物)を創作できる権利で、著作権法第27条で定められています。例として以下のような著作物が挙げられます。

  • 翻訳
  • 編曲
  • 変形
  • 脚色
  • 映画化

模写とは他者の作品に似せて写すことを指します。模写で作られた作品は別の著作物とは考えにくいため、翻案権を害すると判断される可能性が高いです。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

同一性保持権とは

同一性保持権とは、自分の著作物の内容やタイトルを勝手に改変したり変更したりされない権利です。著作権法第20条に規定されています。

複製権や翻案権の違反を避けるために、模写する著作物を勝手に自己流を加えて書き換えるケースも少なくありません。しかし勝手にアレンジを加えると、同一性保持権を害する可能性が高くなります

参照:e-Gov法令検索「著作権法

模写の著作権に関するよくある質問

模写の著作権に関するよくある質問を2つ紹介します。

  • 芸能人の似顔絵に著作権はあるの?
  • 模写した作品で絵本やグッズを作ってもいいの?

芸能人の似顔絵に著作権はあるの?

芸能人の似顔絵は、描いた人に著作権が発生します。芸能人の似顔絵を描く行為は、著作権の侵害にはあたりません。似顔絵が侵害に該当する可能性のある権利は、以下のとおりです。

  • 肖像権
  • 名誉権
  • プライバシー権
  • パブリシティ権

似顔絵を描くことで、芸能人の名誉や社会的信用を低下させなければ権利の侵害には該当しません。ただ似顔絵を使って自身の利益を得るためにグッズなどを販売した場合、権利侵害にあたる可能性が高くなるため注意が必要です。

なお、芸能人やタレントの肖像権については、以下の記事で詳しく解説しています。

模写した作品で絵本やグッズを作ってもいいの?

模写した作品で絵本やグッズを作るのは、著作権の侵害に該当する可能性が高いです。作った作品を個人で使ったり楽しむ分には問題ありません。しかし作品を販売する場合は営利目的となってしまうため、著作権の侵害に該当します。

模写した作品をもとに自分でグッズや絵本を販売する場合は、著作者に許可を取らなければなりません。

権利を侵害せずに著名人の素材を使う方法

権利を侵害せずに著名人の素材を使う方法に、タレントサブスクのサービスの利用が挙げられます

著名人の写真や似顔絵には肖像権があるため、本人の許可なしに使用すると、権利の侵害に該当する可能性が高いです。そこでタレントサブスクを活用すれば、権利を侵害せずに著名人の画像素材を使用可能です。

タレントサブスクとは、月額制でタレントの画像や素材を利用できるサービスのことです。数あるタレントサブスクのサービスの中でも、Skettt(スケット)にはタレント200名以上、各タレントの素材数も200〜400枚と豊富に用意されています。

最短1か月から利用できるので、お試しのハードルが低い点も魅力のサービスです。月額20万から利用できるので、著名人の素材を活用したいとお考えの方は、ぜひ検討してみてください。

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なお、タレントサブスクについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

模写する際は著作権の侵害に注意しよう

模写する際は、以下の著作権に注意が必要です。

  • 複製権
  • 翻案権
  • 同一性保持権

練習や個人で楽しむために模写する行為は、著作権の侵害に該当しません。しかし模写した作品のSNS投稿・自作発言・販売などは、著作権の侵害に該当します。

またデザインそのものに著作権が発生する場合もあるため、特徴的な建物の模写は避けるのが無難です。

模写した作品をネット上に投稿したい場合、著作権フリーな著作物や二次創作が許可されているコンテンツを選びましょう。権利侵害に注意しながら模写することが大切です。

権利侵害をせずに著名人の素材を活用したいとお考えの方は、タレントサブスクサービスのSketttの利用をぜひご検討ください。タレントサブスクサービスを使えば、著作権を侵害することなく芸能人の写真素材が使えます。

Sketttは登録タレントが200名以上、各タレントの素材も200〜400枚と豊富に提供されています。素材のご提供だけでなく、クリエイティブ制作や効果測定などワンストップの支援が可能です。

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