TikTok上の著作権の取り扱いは?侵害しない方法やペナルティを解説
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2024.09.09

TikTok上の著作権の取り扱いは?侵害しない方法やペナルティを解説

「TikTokにおける著作権の取り扱いはどうなっているのか?」「TikTokを利用するうえで著作権を侵害しない方法は?」「著作権を侵害した場合のペナルティが知りたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

TikTokには著作権に関するポリシーが明記されています。TikTokを利用する際には著作権を侵害しないように適切に取り扱うことが大切です。

本記事では、TikTokにおける著作権の扱いや、著作権を侵害しない方法、侵害した際のペナルティについて詳しく解説します。

最後まで読むことで、著作権を侵害せずにTikTokを安全に楽しむ方法、および侵害した場合のペナルティについて理解できるでしょう。

INDEX
  1. TikTokにおける著作権の取り扱い
  2. TikTok上で著作権侵害となるケース
  3. TikTok上で著作権を侵害したらどうなる?
  4. TikTok上で著作権を侵害しない方法
  5. TikTokの利用時は著作権を侵害しないよう注意しよう

TikTokにおける著作権の取り扱い

TikTokは公式サイト上で、他人の著作権、商標、その他の知的財産権を侵害するコンテンツを投稿、共有、送信することを許可しないと明記しています。

正当な許可や法的に正当な理由なく著作権で保護された他人のコンテンツを使用すると、TikTokのポリシー違反につながる可能性があり、十分な注意が必要です。

参照:TikTok「知的財産権について

なお、著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

TikTok上で著作権侵害となるケース

TikTok上で著作権侵害となる主な例は以下のとおりです。

  1. CDやレコードなどの既存の音源を使用する
  2. 既存の映像作品の切り抜きを使用する
  3. JASRACに管理されていない楽曲を使用する

それぞれの例について、具体例を挙げて紹介します。

1.CDやレコードなどの既存の音源を使用する

市販されているCDやレコード、またWeb上の楽曲などの音源を購入し、BGMとしてTikTokの動画に利用した場合は著作権や著作隣接権の侵害となります。

楽曲そのものに著作権があるうえ、市販されているCDやレコードには著作隣接権や原盤権もあるため、有権者の許諾なく利用することはできません。

著作隣接権

著作物を公表・伝達する際に重要な役割を果たす実演家、レコード製作者、放送事業者などがもつ権利で、著作権に隣接する権利

原盤権

音楽や音声の録音を行った原盤(マスターテープやマスターファイル)に対する権利。主にレコード会社が持ち、複製や販売、配信などの権利を管理する

またカラオケボックスで、カラオケ楽曲を使用した動画をTikTokに投稿すると著作隣接権の侵害にあたることも注意が必要です。

2.既存の映像作品の切り抜きを使用する

アニメ・映画・ライブなどの映像作品を切り抜いた動画を投稿した場合は著作権侵害となります。各種映像作品には著作権があるためです。

アニメを例にすると制作方法にもよりますが、基本的にアニメ制作会社が著作権を有しています。切り抜き動画を投稿すると、以下の権利を侵害する可能性が高いです。

  • 複製権・頒布権
  • 公衆送信権
  • 翻案権

参照:日本弁理士会「アニメの著作権

そのため、作品として流通している楽曲や映像を加工してTikTokに投稿することは認められません。

3.JASRACに管理されていない楽曲を使用する

JASRACに管理されていない楽曲をTikTokに使用すると、著作権侵害となるおそれがあります。

JASRACとは日本の音楽著作権を管理し、著作権使用料の徴収や分配、著作権保護活動などを行う団体です。JASRACに管理されている楽曲は、適切に使用することで著作権の侵害を避けられます。

一方で以下のような作品はJASRACの管理外です。

  • クリエイティブ・コモンズ・ライセンス作品
  • 他の著作権管理団体が管理する作品

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス作品とは、国際的非営利団体クリエイティブコモンズ(以下CC)が発行しているライセンスを受けた作品です。CCは著作物の再利用を推進することを目的とした、ユーザーが手軽に利用できるような著作権のルールを定めています。

JASRACに管理されていない楽曲は、TikTokの規程上、著作権者やその許諾を得た人でなければ使用が認められません。

TikTok上で著作権を侵害したらどうなる?

TikTok上で著作権を侵害した場合、科せられる可能性のあるペナルティは以下の5つです。

  • 著作権を侵害するコンテンツの削除
  • アカウントの停止・削除
  • TikTokあるいはTikTokが運営するサービスでの新規アカウントの開設拒否
  • シャドウバン
  • 法的責任の追及

それぞれの項目を詳しく解説していきます。

1.著作権を侵害するコンテンツの削除

著作権を侵害した場合、侵害したコンテンツが削除される可能性があります。削除されるコンテンツはあくまで著作権を侵害しているもののみです。

したがって、その他にも投稿している場合は、それらのコンテンツには影響はおよびません。

参照:TikTok「知的財産権について

2.アカウントの停止・削除

複数回の著作権侵害など、TikTokのサービス規約やコミュニケーションガイドラインの違反が認められた場合、アカウントの利用が停止・削除される可能性があります

アカウントの停止・終了処分は、これまで積み重ねたコンテンツやフォロワーを失うことになるため、重い罰則といえるでしょう。万が一アカウントの停止・終了となった場合、新たにアカウントを作成することになります。

参照:TikTok「知的財産権について

3.TikTokあるいはTikTokが運営するサービスでの新規アカウントの開設拒否

不正行為を目的としたアカウント所有者について、TikTok(サイト・アプリ)やTikTokが運営するサービスの新規アカウントの開設を拒否する権利をTikTokは持っています。そのため、悪質な著作権侵害と判断された場合、新規アカウントを作成できなくなる可能性があります。

TikTokだけではなく、TikTok提供のその他サービス上でもアカウント作成ができなくなるため、もっとも重い罰則といえるかもしれません。

参照:TikTok「知的財産権について

4.シャドウバン

公式に明示されていないものの、投稿したコンテンツが他のユーザーのタイムラインに表示されなくなる措置(シャドウバン)がとられる可能性があります

シャドウバンは、投稿したコンテンツやコメントが自分には見えているのに、他のユーザーには表示されていないという状態です。

制裁が科されたことが通知されず、通常どおりに投稿やコメントは発信できるため、ユーザーが自身で気づきにくいのが特徴です。

5.法的責任の追及

著作権を侵害した場合、民事、刑事、行政上それぞれから責任を問われる可能性があります

著作権の侵害は、TikTok上でのペナルティにとどまりません。具体的には以下の3つの責任や措置を受ける可能性があります。

民事責任

主に損害賠償請求、差止請求、不当利得返還請求などを受ける。

刑事責任

懲役や罰金などが科される可能性がある。

行政処置

業務停止命令、行政指導などの措置を受ける可能性がある。

TikTokを使用できなくなるだけでなく、法的な罰則が科される可能性もあるため、ルールやガイドラインに準拠した適切な運用を心がける必要があるでしょう。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

TikTok上で著作権を侵害しない方法

TikTok上で著作権を侵害しない方法は以下のとおりです。

  1. TikTokが提供している楽曲を使用する
  2. 自身で制作した楽曲を使用して投稿する
  3. 楽曲の制作者から使用許諾を得て使用する
  4. 著作権の保護期間を終了した楽曲を使用する
  5. TikTokユーザーが投稿した音源を利用する

それぞれの方法について詳しく説明していきます。

1.TikTokが提供している楽曲を使用する

TikTokが提供している楽曲は基本的に著作権を侵害するおそれがありません。

TikTokはJASRACと包括契約を結んでいるため、TikTok内における利用許諾が得られた状態にあるのです。ただし、使用はTikTokへの投稿のみに限定される点に注意しましょう。

また、TikTokはAudiostock社とも業務提携契約を締結しています。Audiostockとは、音楽を使用するライセンスを売買できるサービスです。業務提携したことで、Audiostock上の楽曲や効果音などの音楽作品およそ10万点をTikTokで利用できるようになりました。

Audiostockの楽曲は、ほかのメディアへ展開できる権利形態を有しています。企業ユーザーは費用や手間をかけずにTikTokへの投稿動画をCMなどへ展開可能です。Audiostockに登録しているクリエイターは、新たに作成した楽曲を公開する場としてTikTokを活用できます。

参照:TikTok「著作権について
参照:PRTIMES「日本最大級のストックミュージックサービス「Audiostock」TikTokへ楽曲提供を開始

2.自身で制作した楽曲を使用して投稿する

自身で制作した楽曲を使用して投稿することは著作権侵害にはなりません。自身が制作した楽曲の著作権は自身にあるためです。

ただし自身が創作した楽曲でも、他者が制作した既存楽曲の模倣と疑われるものについては、著作権侵害のおそれがあります。依拠性があるとみなされると、著作権侵害の要件を満たすためです。依拠性とは、既存の著作物にもとづいて制作されていることを指します。

たとえば、ある楽曲をもとにアレンジを加えるなどして新たな曲を創作した場合、依拠性があると判断され、著作権侵害にあたります。

著作権を侵害しないためには、他人の楽曲をもとにせず、オリジナルで制作することが大切です。

3.楽曲の権利者から使用許諾を得て使用する

著作権者から使用許諾を得たうえでTikTokに投稿することは著作権侵害にはなりません

楽曲の権利者から使用許諾を得た場合、許可を得た範囲に限り使用が認められるためです。ただし、許可を得た範囲を超えた場合は侵害になるおそれがあるため注意が必要です。

もし、利用許諾を得て使用する場合には商用利用の可否や著作権者を毀損しないなど、利用範囲を具体的に定めることが重要でしょう。

4.著作権の保護期間が終了した楽曲を使用する

著作権の保護期間を終了した楽曲を使用することは著作権侵害にはなりません

原則として、著作権の保護期間は著作権者の死後70年間です。日本では著作権者の死亡した日の属する年の翌年から起算した70年間が、著作権法で保護されます。

ただし著作権の保護期間が終了した場合も、著作隣接権は消滅していない可能性があります。著作隣接権とは、レコード会社や演奏家など、著作物を広めることに貢献した者に認められている権利のことです。

著作隣接権の保護期間は以下のとおりです。

実演

実演を行ったときの翌年から起算した70年間

レコード

レコードを発行した日の翌年から起算した70年間

放送、有線放送

放送を行ったときの翌年から起算した50年間

種類によって保護期間が異なるので注意しましょう。

参照:e-Gov法令検索「著作権法

なお、ミッキーマウスやアンパンマンに関する著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

5.TikTokユーザーが投稿した音源を利用する

著作権侵害の判断がつかない場合は、他のTikTokユーザーが著作権者に許諾を得て投稿した音源を使用することもひとつの方法です

TikTokの動画上で、右下にある円盤のマークがジャケット写真であれば許諾を得た楽曲と判断できるので確認をしてから利用するようにしましょう。

また、動画投稿画面上部にある「♫楽曲を選ぶ」タップ後に表示される楽曲は公式に提供されているものです。

これらを使用することで著作権侵害を避けられるため、参考にしてください。

TikTokの利用時は著作権を侵害しないよう注意しよう

TikTokを安心して活用するためには、著作権を侵害しないよう注意する必要があります。著作権のある楽曲や映像を動画に使用すると、著作権を侵害するおそれがあります。

また著作権を侵害した場合には、コンテンツの削除やアカウント停止などの罰則が科されることにも注意が必要です。罰則が科されると、自身のTikTokアカウントの利用・運用に支障が生じるでしょう。

著作権を侵害しない方法をしっかりと理解し、適切に動画を作成・投稿することを心がけることが重要です。

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