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「IPコラボについて理解を深めたい、活用してみたい」「どのようなメリットがあり、どんなコラボがあるのか知りたい」
IPコラボについて、このように考える方もいるのではないでしょうか。IPコラボは、ビジネスで活用することにより、さまざまなメリットを得られる有効な施策です。
この記事では、IPコラボの概要やメリットの解説に加え、4つの事例を紹介しています。記事を読むことでIPコラボについて理解できるため、今後IPビジネスを検討されている方は、ぜひご覧ください。
IPコラボとは、異なる企業やブランドがそれぞれのIPを活用し、共同の商品やコンテンツを創造するビジネス戦略の一つです。
そもそもIPとは、「intellectual property」のことで知的財産を表します。知的財産とは、人の知的活動により生み出された創造物で、そこに経済的価値をもつものです。
以下はIPに該当するものの例です。
など
上記以外にノウハウやアイデアなどもIPに該当します。
つまりIPコラボは、異なる企業やクリエイター同士が、お互いのIPを組み合わせて新たな商品やコンテンツを創出することが一般的です。IPコラボの例は以下のとおりです。
IPコラボでは人気キャラクターや商品を使うことで、ユーザーの注目を集められます。IPを個別に使うよりもより高い価値を生み出せるでしょう。
IPとは何かについては、以下の記事で詳細に解説しています。
IPコラボを行うメリットを以下の3つ解説します。
IPコラボで、新たな市場や顧客層へのアプローチが可能です。
IPコラボにより異なる顧客層が合わさることで、それぞれのファン層が相互に興味をもつことが考えられます。企業は新たな市場の取り込みが可能となるでしょう。
たとえば、ダイドーブレンドコーヒーと鬼滅の刃の缶コーヒーコラボでは、2020年10月の前年同月度比から149.5%売り上げを伸ばしています。
参照:ダイドードリンコ株式会社「TV アニメ 「鬼滅の刃」×「ダイドーブレンド」コラボ商品」
ダイドーブレンドコーヒーシリーズは、自動販売機での購入や喫煙者の減少もあり、売上が落ちていました。しかし、IPコラボで20〜30代へアプローチすることで、新規顧客獲得、大幅増益の結果となったのです。
このように、IPコラボでは相手企業のファン層が自社の商品やコンテンツのファン層に加わります。新たな市場や顧客層の獲得につながることになるでしょう。
IPコラボにより、ブランドイメージの向上も可能となります。
IPコラボでは、他社IPのキャラクターやブランドイメージが自社のブランドに加わります。
コラボする企業のイメージや価値観がポジティブな影響をもつことで、自社のブランドにもそのイメージが連鎖します。その結果イメージ向上につながるのです。
さらにアニメのキャラクターのIPコラボの場合、ブランドのイメージ向上とともに、安定して顧客を獲得できる可能性もあります。
アニメのキャラクターは根強いファンが多い傾向にあります。IPコラボをすることでキャラクターと商品のイメージが重なって定着し、コラボキャンペーンが終了した後でも購入し続けてくれる可能性があるのです。
IPコラボによるキャンペーンが話題になり、認知拡大につながることもメリットといえます。IPコラボは、新たな組み合わせやアイディアを生み出せるため、コラボ自体が話題になりやすいからです。
たとえば、ダイドーブレンドコーヒーシリーズと鬼滅の刃のコラボでは、登場人物である竈門禰豆子の竹筒をモチーフにしたスピーカーがSNSで話題になりました。
引用:ダイドードリンコ株式会社「『鬼滅の刃』×「ダイドーブレンド』コラボキャンペーンを10月5日(月)より開始」
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
インパクトのあるコラボは、ニュースサイトなどのメディアで取り上げられることがあります。また、SNSで一度話題になるとクチコミであっという間に拡散されることでしょう。
このように、コラボ内容によっては多くの注目が集まるため、広告効果や宣伝効果が期待できます。
ただし、内容によっては二番煎じの印象を持たれ、まったく話題にならない場合もあります。担当者は他社のコラボ状況をリサーチし、時代に沿ったコラボ内容を練る必要があるでしょう。
以下の記事ではIPコンテンツを使ったマーケティングについて解説しています。
IPコラボの事例として以下の4つを紹介します。
引用:Uniqlo「UTコレクション|ポケモンマスターズ EX|MEN(メンズ)」
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
©DeNA Co., Ltd.
TM, ® Nintendo.
2023年6月に行われたポケモンとユニクロ(UNIQLO)によるIPコラボです。
UT(ユニクロのTシャツ専門ブランド)のTシャツにポケモンのキャラクターをプリントして発売しています。大人用と子ども用のTシャツラインナップを展開し、幅広い年齢層に向けてのアプローチを実施中です。
さらに、ポケモン×ユニクロのコラボは毎年のように行われています。過去には「ポケモン ミーツ アーティスト」と題して、ポケモンと現代アーティストとのコラボも行ってきました。
幅広い年齢層とユニクロの顧客層がマッチすることが、毎年のようにコラボが行われる理由といえるでしょう。
ポケモンは、ユニクロ以外にも飲食やコンビニ1番くじなど、さまざまな場面でIPコラボを行っています。ポケモンのような幅広い世代に人気のアニメとのコラボが、各社の売上向上やファン獲得につながっているでしょう。
引用:ちいかわインフォ「ちいかわ×サンリオキャラクターズコラボ商品が発売!」
©️ 2022 SANRIO CO.,LTD.APPROVAL NO. L631803
2022年9月に株式会社サンリオとちいかわが行ったコラボの事例です。
コラボ商品にはぬいぐるみやキーホルダー、ポーチなどがあります。ちいかわとサンリオの世界観を融合させ、ふわふわとした世界を楽しんでいる様子を表現したデザインが特徴的です。
このコラボを実施したサンリオの2022年3月期(4〜12月)決算報告では、売上高が527億円と発表されており、前年比の410億円から売り上げを伸ばしています。
参照:株式会社サンリオ「2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
この売上高アップには、ちいかわやセーラームーンとのIPコラボ戦略が一躍買っていると見られています。双方のキャラクターの世界観がマッチしたことで相乗効果が生まれ、ちいかわの顧客をサンリオの新規顧客として取り込むことに成功したといえるでしょう。
サンリオは、他のアニメや漫画などとのIPコラボを積極的に行う企業です。キャラクター同士を共演させることは、既存ファンの離脱防止や休眠ファンの呼び起こしなどにもつながります。
引用:モンスターストライク「テレビアニメ「鬼滅の刃」とのコラボイベント第2弾が3/15(火)正午よりスタート!」
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable ©XFLGA
2020年2月〜2023年7月までに3回行われている、鬼滅の刃とモンストのIPコラボ事例です。
このコラボでは、鬼滅の刃の世界観やストーリーを再現したイベントやキャンペーンも実施されました。たとえば「呟ケ、鬼殺隊!#モンスト鬼退治 ツイートキャンペーン」では、コラボ特製スマホスタンドや豪華賞品が当たるチャンスがあり、SNSでの広告拡散効果も十分に得られているといえるでしょう。
どちらもアニメやゲームとして人気が高く、多くのファンを持っています。そのため、コラボによる互いのファン層拡大や新たな楽しみ方の提供が可能となりました。
鬼滅の刃は、他にも以下のようなIPコラボを実施しています。
このように、多くの企業が鬼滅の刃とコラボすることで、以下のような結果が得られているといえるでしょう。
引用:ONE PIECE.COM「2023年も登場!「ミンティア ワンピースコラボパッケージ」が本日5月22日(月)から期間限定発売!」
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
2022年8月〜2023年7月までに2回行われた、ワンピースとミンティアのIPコラボ事例です。ミンティアのパッケージにワンピースのキャラクターを使用しています。
このコラボでは、『ONE PIECE FILM RED』の公開を記念したキャンペーンも実施されています。たとえば、X(旧:Twitter)で「#ミンティアでONE PIECE」と呟けば、コラボ特製グッズや映画鑑賞券が当たるキャンペーンがありました。
このキャンペーンでは、ミンティアと映画を絡めたことにより、新規顧客獲得へつなげることが可能となりました。
デザインは、いずれも今回のコラボのために書き下ろしたものです。コラボすることでパッケージデザインが華やかになったり、ファンのコレクション欲を刺激できたりした例でもあります。
IPコラボに関するよくある質問は以下の2つです。
自社IPと他社IPには以下の意味と違いがあります。
自社IP | ・自社で保有する知的財産のこと ・自社で製作したキャラクターやブランド、商品、サービス、コンテンツなどを指す |
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他社IP | ・他の企業や団体が保有する知的財産のこと ・他社が制作したキャラクターやブランド、商品、サービス、コンテンツなどを指す |
たとえば、任天堂株式会社では創作物にあたる「スーパーマリオ」は自社IPです。また、株式会社サンリオにとって「ハローキティ」は自社の創作物のため自社IPとなります。
任天堂株式会社にとって「ハローキティ」は、他社IPとなります。つまり、自社でIPを持っているか、他社がIPを持っているかという意味です。
アニメやゲームにおけるIPについては、以下の記事でも紹介しています。
IPコラボのライセンス料の目安は上代の5〜10%くらいで、一般的には5%程度の指定が多い傾向にあるといわれています。上代とは、消費者へ販売する際の参考価格のことを指します。
IPコラボを行う際のライセンス料は、企業間における具体的な取引内容や条件によりさまざまです。使用するIPの知名度や権利者との交渉内容などによっても、料金は異なります。
また、ライセンス料以外にミニマムギャランティが設定されるケースもあります。ミニマムギャランティとは最低支払額のことで、ライセンス料金が最低支払額に達していない場合にミニマムギャランティ額を支払います。
たとえば、ミニマムギャランティ額が50万円の契約だった場合、ライセンス料が49万円以下であれば支払額は50万円です。ライセンス料の支払額が50万円を超えた場合は、ライセンス料で計算します。
IPコラボとは、異なる企業やブランドがそれぞれのIP(知的財産権)を活用し、共同の商品やコンテンツを創造するビジネス戦略の一つです。
IPコラボには、以下のメリットがあることがわかりました。
これらのメリットをよく理解しIPコラボを活用することで、自社製品やイベントの顧客拡大につながるでしょう。
IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。