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ゲームやアニメにおけるIPとは、ゲームやアニメのタイトルやキャラクターなどの知的創造物を保護する権利のことです。
アニメやゲームにおけるIPの利用は、クロスメディア展開により、新たなファン層の獲得と、既存ファンの満足度やアクティブ率アップへの貢献を見込めるでしょう。
IPの中にも自社IPと他社IPがあり、それぞれのメリット・デメリットを理解することが重要です。特性を正しく理解しておかないと、IPの開発に無駄なリソースを取られたり、法的な問題に発展するリスクもあります。
そこで本記事では、ゲームやアニメにおける自社IPと他社IPの違いや、それぞれを活用するメリット・デメリットを解説します。
ゲームやアニメのIPについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ゲームやアニメコンテンツにおけるIPとは、キャラクターやゲームコンテンツなどの知的創造物を保護する権利のことです。
IPは、Intellectual Property(知的財産)の略称で、著作権や商標、特許などの知的財産権を指します。
ゲームやアニメの創作物で、日本を代表する有名なIPは以下のとおりです。
知名度に関係なく、どのキャラクターや作品にもIPは存在します。
なお、IPとは何かについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ここでは、ゲームやアニメにおける自社IPと他社IPの異なる点について解説します。
それぞれの違いをきちんと理解しましょう。
ゲームやアニメにおける自社IPとは、自社で作成したゲームのタイトルやキャラクターがもつIPのことです。
ゲーム会社やメディア企業などが、自社のブランドやキャラクターを創造し、独自の世界観を持って展開しています。
引用:ポケモンセンターオンライン「ポケモン ピカチュウのグッズ一覧」
©2023 Pokemon.©1995‐2023 Nintendo/creatures Inc./GAME FREAK Inc.
たとえば、株式会社ゲームフリークは、ポケモンのキャラクターである「ピカチュウ」を自社IPとして所有しています。自社IPを利用して、アニメ化やグッズ販売などで横展開している例です。
自社IPは、企業が新たに創り出すIPのことで、他社は無断で利用できないと覚えておきましょう。
ここで紹介したポケモンをはじめ、任天堂は自社のIPを活用した戦略を展開しています。任天堂のIPについては、こちらの記事も読んでみてください。
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任天堂のIPビジネス戦略とは?人気IP5つの活用事例も紹介
他社IPとは、他の会社が作成したタイトルやキャラクターのIPのことです。
他社の著名なキャラクターや世界観を活用して、コラボレーションやライセンス契約によって商品やサービスを拡大できます。
他社IPも自社IPと同様に作成した企業の権利です。しかしライセンス契約などの許可が降りれば、他の会社のIPを活用できます。
引用:バンダイナムコエンターテインメント「僕のヒーローアカデミア ULTRA IMPACT」
©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会 ©Bandai Namco Entertainment Inc.
例えば、バンダイナムコエンターテインメントが作成したスマートフォンゲームアプリの「僕のヒーローアカデミア ウルトラインパクト」は他社IPの活用事例です。集英社が所有している「僕のヒーローアカデミア」のIPを活用してゲームを作成しています。
そのため、バンダイナムコエンターテインメントにとって、「僕のヒーローアカデミア」は他社IPに当たります。
他社IPは、他の会社が作成したIPのことで、許可が降りれば自社でも利用できることを覚えておきましょう。
他社のIPを活用したIPコラボについては、こちらの記事でも説明しています。
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IPコラボとは?コラボを行う3つのメリットと事例を紹介
ここでは、ゲームやアニメの自社IPを活用するメリット・デメリットについて解説します。今後自社IPの活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
自社IPのメリットは、以下のとおりです。
自社IPは、他の企業とのライセンス契約を必要とせず、自由に活用できるため、収益の最大化が得られるのがメリットの1つです。
例えばポケモン社は、自社のIPであるポケモンを活用したスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」を開発しました。世界累計収益は65億ドルを叩き出し、収益の最大化が実現した1つの例といえるでしょう。
さらに、自社が創造した独自のIPは、他社との差別化に最適で、企業のブランド力を高めることができます。
また自社IPを貸し出す場合は、貸し出し先の企業からライセンス料を得られます。自社で新しい商品を作らなくても、収益を得られる点がメリットといえるでしょう。
自社IPを新規で開発して使ったデメリットは、以下のとおりです。
新規でIP開発した場合、認知されるまでに時間がかかる点がデメリットの1つといえるでしょう。他社の既存のIPに比べて、認知度アップのための取り組みも必要となります。
新規IPの開発には、独自のアイデアとコンセプトの創造や制作作業、開発などに時間が必要です。そのため、市場で成功をおさめるためには十分な時間と費用がかかります。
新規で開発したゲームやアニメが、必ず売れるとは限りません。開発費や広告費の回収が、難しくなるケースが考えられるでしょう。新規IPの開発は、人材やお金にリソースを取られるのに、ヒットする保証がない点もデメリットといえます。
一方で既存の自社IPを活用する場合は、革新的な新しさを打ち出すのは難しい点がデメリットの1つといえます。有名な作品やキャラクターIPを保有しているなら、安定した人気が期待できるものの、ユーザーから飽きられていないかを意識する必要があるでしょう。
ここでは、ゲームやアニメの他社IPを活用するメリット・デメリットを解説します。
自社IPと比較しながら、どちらを活用すべきか検討してみてください。
他社IPを使ったメリットは、以下のとおりです。
他社IPを活用することで新規ユーザーの獲得がしやすい点がメリットといえます。他社IPは、すでに一定の知名度を獲得していたり、ファンがいたりする場合が多いです。
引用:モンスターストライク「【モンスト×鬼滅の刃】コラボ第3弾」
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable ©MIXI
例えば、スマホゲームのモンスターストライクと、鬼滅の刃のコラボが例に挙げられます。このコラボでは、モンスターストライク内に鬼滅の刃のキャラクターたちが登場し、プレイヤーは一緒に戦闘を楽しめます。
鬼滅の刃ファン層からの新規ユーザー獲得や、モンストの既存ユーザーのモチベーションアップに繋がったと考えられる事例です。
また他社IPを活用すれば、知名度のない新規IPを活用するよりも市場への参入がスムーズになり、競合他社との差別化が図りやすくなるでしょう。
他社IPは、すでに確立されたキャラクターや世界観が存在します。ゲームの制作におけるアイディアの構築や開発期間を削減できるところも、他社IPを活用するメリットです。
他社IPを使ったデメリットは以下のとおりです。
ゲームやアニメの開発費とは別に、IPを取得するための費用がかかる点が、デメリットといえます。
他社IPを活用するには、ライセンス料の支払いが必要です。ライセンス料はIPを所有している企業やキャラクターごとに変わってきます。
一般的な相場は、企業が設定している上代の5〜10%前後が目安です。
例えば、企業がキャラクターの上代を300万円に設定しており、ライセンス料が5%だった場合、支払額は15万円となります。
また他社IPの活用には、契約条件や利用制限が設けられる場合があるため、自由に活用できません。
例えば、熊本県のゆるキャラの「くまモン」では以下のような契約条件や利用制限が挙げられます。
参照:熊本県ホームページ「くまモンイラスト・くまもとサプライズロゴ利用の手引」
他社IPを活用する際は、著作権や商標権などの知的財産権に気を配るだけでなく、IP保有元のルールを必ず確認しましょう。
ここでは、ゲームやアニメのIPコンテンツを使った4つの例を紹介します。
自社でIPを活用する際の、参考にしてください。
ゲームやアニメのIPコンテンツを使った例として、キャラクターコラボイベントが挙げられます。
キャラクターコラボイベントとは、ゲーム内で別作品の人気IPのキャラクターと、コラボする特別なイベントのことです。
キャラクターコラボイベントであつかわれるコンテンツは以下のとおりです。
ゲーム内で人気IPキャラクターとコラボすることで、プレイヤーのアクティブ率アップなどにつながります。
また期間限定のコラボ商品を用意すれば、参加意欲も高められるでしょう。新規顧客への認知拡大や既存のユーザーの参加率アップで、イベントの成功につながります。
キャラクターコラボイベントを開催している例は、以下のとおりです。
企業名 | キャラクターコラボイベント |
---|---|
株式会社Cygames | 「Shadowverse(シャドウバース)」と「ちいかわ」 |
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 | 「パズル&ドラゴンズ」と「ウルトラマン」 |
以下の記事ではIPマーケティングについてより詳しくご紹介しています。
ゲームグッズの販売も、ゲームやアニメのIPコンテンツを使った例の一つです。
たとえば、任天堂株式会社は、自社IPであるポケモンのぬいぐるみを販売したり、株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスは「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などゲームの世界観が伝わるような自社IPグッズを展開したりしています。
ゲームIPを活用して、ゲームに登場するキャラクターグッズや関連商品を販売することで、ファンの支持を集められるでしょう。
イベント展開も、ゲームやアニメのIPコンテンツを使った事例です。
ゲームやアニメのIPコンテンツを活用したイベント展開は、ファンとの交流や新規ユーザーの獲得を促進することにつながります。またブランドの認知度向上も期待できるでしょう。
イベント展開を実施した例は、以下のとおりです。
企業名 | イベント内容 |
---|---|
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス | 「ドラゴンクエスト」と「ローソン」のコラボ |
ユーフォーテーブル有限会社 | 「鬼滅の刃」とコラボカフェ |
ゲームやアニメのIPコンテンツを活用したイベントの展開は、ブランドの認知度向上やファンコミュニティの拡大が目指せるでしょう。
ゲームやアニメの映画化もIPコンテンツを使った例の一つです。
人気ゲームを映画化した例は、以下のとおりです。
企業名 | 映画名 |
---|---|
任天堂株式会社 | スーパーマリオ・ザ・ムービー |
株式会社SEGA | ソニック・ザ・ムービー |
人気のゲームやアニメのIPコンテンツをもとに映画化することで、新たなファン層の獲得やメディア展開の拡大を図ります。
人気のゲームやアニメのIPコンテンツは、世界観やキャラクターに魅力があるため、映画化と相性がよいことが多いです。
ここでは、ゲームやアニメのIPについてよくある質問をまとめました。
ゲームやアニメのIPについて疑問点がある方は、目を通しておきましょう。
キャラクターIPとは、主にキャラクターを中心とした作品や、コンテンツに対する権利や価値を指します。
キャラクターIPは、以下の作品に登場するキャラクターの著作権や商標権、肖像権などを含む権利の集合体のことです。
IPキャラクタービジネスとは、キャラクターを活用して商品やコンテンツを制作し、ビジネスとして展開することを指します。
以下のような取り組みが、IPキャラクタービジネスの例です。
新規IPとは、これまでに存在しなかった新しいキャラクターやストーリー、ブランド、コンセプトなどを指します。
新規IPは、新しい市場や顧客層を開拓するために開発されます。
IPものゲーム・アプリとは、既存のIPを原作として制作されたゲーム・アプリのことを指します。
IPものゲーム・アプリは、以下の既存のメディアコンテンツが元になっている場合が一般的です。
既存のIPを利用することで、現在のファンを引き寄せる効果が期待できます。
ゲームやアニメにおけるIPとは、ゲームやアニメのタイトルやキャラクターなどの知的創造物を保護する権利のことです。または場合によっては、その知的創造物そのものを指すこともあります。
IPの中にも、自社IPと他社IPが存在します。自社IPとは、自社で作成したゲームのタイトルやキャラクターがもつIPのことです。他社IPとは、他の会社が作成したタイトルやキャラクターがもつIPを指します。
それぞれのIPを活用するメリット・デメリットを確認して、自社にとって最適なIPを活用しましょう。また自社IPとしてはオリジナルのアニメーション作品を作る際には、「NOKID」のようなアニメーション制作会社に委託することも可能です。
ゲームやアニメにおけるIPを正しく理解して、自社IPサービスや他社IPサービスの展開を視野に入れてみてください。
IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。