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「くまモンは著作権フリーなの?」「くまモンの商用利用には何か条件があるの?」こういった疑問をもつ人も多いでしょう。
熊本県の公式キャラクターであり国内外で愛されている「くまモン」ですが、著作権フリーではなく、熊本県が著作権を保有しています。
本記事では、くまモンの著作権がどのように管理されているのか、商用利用の際の許可や利用料について詳しく解説します。
2010年に誕生したくまモンは、2022年には関連商品の市場規模が1,590億円に達するなど絶大な人気。くまモンの商品利用を検討している方は、正確な著作権情報を知っておくことが非常に重要といえます。ぜひ本記事を参考にして、適切な使用法を理解しましょう。
くまモンは2010年の九州新幹線の全線開通のPRのため、水野学氏がデザインし「くまもとサプライズ」の仕掛け人としてプロデュースを行う小山薫堂氏によって広められました。
小山薫堂氏は、熊本県の魅力を伝えるため企業や組織に容易にくまモンを起用するよう促すことを目指し、くまモンの著作権料を無料にしました。
さらに熊本県がくまモンの著作権を取得したことで、くまモンのブランドを守りつつ、商用利用を通じて地域振興や経済活性化を図れるようになったのです。
ただし、商用を含むくまモンの使用には、熊本県の許可が必要です。利用条件や手続きをきちんと理解し、遵守することが求められます。
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
くまモンが「著作権フリー」と誤解されることがあるのは、使用許可を無料で得られることや利用が比較的容易であるためです。
熊本県はくまモンを通じて地域の魅力を広く伝える目的で、条件を満たす場合には商用・非商用を問わず無料で使用を許可しています。そのため、イラストを利用した商品の展開など、さまざまな活用が可能です。
しかし、「無料で使用できる」ことが、時に「著作権フリー」と混同される原因となっているようです。くまモンの場合は著作権自体がフリーであるわけではなく、熊本県がその権利を保有しています。
つまり、利用には県の定めるガイドラインに従う必要があり、条件を満たす利用に限り許可されるのです。具体的な条件は、後述します。
くまモンは熊本県の目的に添い使用許可を得ることで無料で利用できます。使用許可を得るための条件は明確に定められており、具体的には以下の3つです。
くまモンの利用は熊本県のPR目的に限定されています。くまモンの使用許可を無料で出している目的は、熊本県の文化、観光地、製品などの魅力を国内外に広めることです。
利用者が熊本県の魅力を広く伝える目的でくまモンを使用する場合に、広告や商品デザインを含む幅広い形式での使用が許可されます。
たとえば、熊本県観光連盟によって運営されている「熊本県公式観光サイト もっと、もーっと!くまもっと」では、熊本県内の観光地をPRするためにくまモンのイラストを使用しています。
参照:熊本県・(公社)熊本県観光連盟「【公式】熊本県公式観光サイト もっと、もーっと!くまもっと。」
©2010 kumamoto pref.kumamon © Kumamoto Prefecture Tourist Federation. All Rights Reserved.
熊本県外で開催されるイベントや、テレビ、雑誌などのメディアにおいても熊本県のPR目的で使用が可能です。
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
くまモンの使用許可を得るときには、熊本県産品の販路拡大に貢献するかどうかも重要な判断基準となります。熊本県の特産品の知名度を高め、より広い市場への拡大を促進することも目的としているためです。
熊本県産品の利用を推進することは、地域経済の活性化に直接的に影響を与え、県の産業全体の発展を支えることに繋がります。
具体的には、くまモンが食品関連商品に使用される場合、原材料が熊本県産であることか商品が熊本県内で製造されていることが必須です。条件を設けることで、熊本県の農業や食品産業の振興を図り、地元産品の消費を促進します。
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
くまモンの使用許可を得る際の基準で、とくに重要なのがくまモンの利用が熊本県の地域活性化にどれだけ貢献するかです。
地域活性化に該当する項目は次のとおりです。
産業復興は熊本県のブランド価値を高めることを目的とし、熊本県内の企業や製品を推進し、新しい市場の開拓を含む活動が該当します。
さらに、地域の文化・芸術イベントの促進、教育プログラムやスポーツイベントの支援など、熊本県の魅力を広めることに寄与するかも重要です。
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
くまモンを海外で商用利用する場合には、使用料として商品小売価格の5〜7%が課せられます。この制度は2018年1月8日から施行され、熊本県の魅力を世界に広めるための戦略の一環として導入されました。
参照:ダイヤモンドオンライン「くまモン海外解禁」が地元企業激怒でも方針は正しい理由」
熊本県はくまモンを利用して、海外の企業が熊本県の文化や産業を紹介し、地域経済の振興に貢献することを期待しています。
ただ、熊本県に本店がある企業が作る商品や、熊本県で製造された商品に関しては、使用料は免除されます。例外規定は、地元企業の支援と熊本県産品の推進を目的としており、県内の産業振興と経済発展を促進するための措置です。
使用料免除の具体的な条件は以下の表のとおりです。
熊本県に本店がある企業の商品 | 熊本県に本店がない企業の商品 | |
---|---|---|
県内製造・輸出 | 無料 | 無料 |
県外製造・輸出 | 無料 | 有料 |
海外製造・熊本に輸入して輸出 | 無料 | 有料 |
海外製造・海外販売(輸出の実績なし) | 有料 | 有料 |
参照:くまモンランド「くまモンイラスト・くまもとサプライズロゴ利用の手引」
くまモンの使用許可の取り方を解説します。
くまモンを活用したい場合、最初に「PR事業者登録」をする必要があります。
PR事業者登録の申請方法は以下のとおりです。
郵送・持参で申請する場合、「(別記様式第 1 号)熊本県PR事業者登録申請書」をダウンロードして必要事項を記入し、2部提出します。
申請書に加えて下記の添付書類も必要なため、用意しておきましょう。
引用:熊本県「くまモンイラスト・くまもとサプライズロゴ利用の手引」
Ⓒ2010 熊本県くまモン
WEBで申請する場合は、上記の必要書類を用意したうえで「くまモンオフィシャルホームページ」から申請します。
PR事業者登録の有効期間は許諾日から3年です。利用を継続したい場合には、期限前に延長申請が必要です。
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
次に「利用許諾申請書」を提出します。なお、「PR事業者登録」と「利用許諾申請」は同時に手続きが可能です。
利用許諾申請の方法は以下のとおりです。
郵送・持参で申請する場合は、「(別記様式第 6 号)熊本県キャラクターくまモン・くまもとサプライズロゴ利用許諾申請書」をダウンロードして必要事項を記入し、2部提出します。
申請書には、使用目的、期間、対象となる商品やサービスの詳細など、具体的な利用計画を記載することが求められます。また、くまモンの利用状況がわかる写真や印刷物、商品の概要がわかる資料が必要です。
具体的には下記の添付書類リストを参考にしてください。
引用:熊本県「くまモンイラスト・くまもとサプライズロゴ利用の手引」
Ⓒ2010 熊本県くまモン
参照:くまモンランド「イラスト利用申請」
テレビ番組や雑誌、メディアでくまモンを使用する際には「簡易な利用許諾申請」をする方法があります。その場合、「利用許諾申請」のみを行えばよく、「PR事業者登録」の必要はありません。
簡易な利用許諾申請の方法は以下のとおりです。
郵送・持参で申請する場合は、「(別記様式第9号)熊本県キャラクターくまモン・くまもとサプライズロゴ利用許諾申請書(熊本県PR事業者登録不要分)」をダウンロードして記入し、1部提出します。その他、以下の添付書類が必要です。
引用:熊本県「くまモンイラスト・くまもとサプライズロゴ利用の手引」
Ⓒ2010 熊本県くまモン
熊本県に関する特集を組むメディアや、熊本県庁による使用など、特定のケースに該当する場合に適用されます。くまモン利用までの手続きが簡略化され、通常1か月程度かかるところ、10日間ほどで許諾を得られることが利点です。
参照:くまモンランド「通常申請の利用」
個人が非商用目的でくまモンを利用する場合は、利用許諾は不要です。熊本県は、くまモンを広く親しんでもらうために、個人利用に関しては比較的自由度を高く設定しています。
くまモンを無料で利用できる主な例は次のとおりです。
また、著作権法で定められた著作権の制限に該当する場合にも利用許諾は必要ありません。具体的には、以下の利用が挙げられます。
ただし、個人利用や著作権法で定められた著作権の制限に該当する場合も、後述する著作権の表記が必要です。
参照:くまモンランド「よくある質問(くまモンのイラストを個人が利用する場合でも、利用申請が必要ですか。 また個人のHPやSNSに掲載できますか。)」
参照:くまモンランド「熊本県キャラクターくまモン・くまもとサプライズロゴの利用に関する規程」
くまモンを使用する際の著作権に関する注意点は以下のとおりです。
くまモンを利用する際には、熊本県から正式に使用が許諾されたことを明示するために、著作権表示と許諾番号の記載が必要です。くまモンのイメージを保護し、不正使用を防ぐために設けられました。
著作権表示と許諾番号の例は下記のとおりです。
言語 | 著作権と許諾番号の表示例 |
---|---|
日本語 | ©2010 熊本県くまモン#K〇〇〇〇〇〇 |
外国語 | ©2010 kumamoto pref. kumamon#K〇〇〇〇〇〇 |
ただし、簡易な利用許諾申請を行った場合、許諾番号は発行されません。
簡易な利用許諾の場合も、くまモンを利用するすべての製品やメディアに以下の著作権表示をつける必要があります。
言語 | 著作権と許諾番号の表示例 |
---|---|
日本語(簡易) | ©2010 熊本県くまモン |
外国語(簡易) | ©2010 kumamoto pref. kumamon |
くまモンのイラストは、アプリやスタンプなどのデジタルコンテンツには使用できません。
とくに、商用目的でのデジタルメディアにおける使用には、厳しい制限が適用されます。デジタルコンテンツの性質上、不正利用やコピーが容易であるため、くまモンのイメージを適切に管理し保護するための重要な措置です。
くまモンの利用許諾を申請する際、通常の手続きでは約1か月、簡易申請の場合は約10日程度かかることが一般的です。
あくまで目安であり、申請の状況や内容によっては時間が長くなる可能性もあります。くまモンを利用したい企業や個人は、スケジュールに余裕を持って申請手続きを進めましょう。
申請プロセスをスムーズに進めるためには、書類の不備をなくすことが大切です。熊本県は申請書類ごとにチェックリストを公開しているため、事前に確認することで申請書類の不備を防ぎましょう。
くまモンは熊本県の魅力や文化を広めるために作られたため、特定の商品や企業の宣伝を目的とした使用はできません。
特定の企業や商品に結びつくことで、くまモンが商業的なイメージをもつことを避け、熊本県全体の利益となるように使用を制限しています。
くまモンの名前を商品名として直接的に使用することは認められていません。くまモンのイメージやブランド価値を保護し、適切な利用を確保するためです。
ただし、商品の特徴を説明するためにくまモンの名前を含めることは許可される場合があります。使用が認められる場合と認められない場合の例は次のとおりです。
使用が認められない商品名 | 使用が認められる商品名 |
---|---|
くまモン消しゴム | くまモン型消しゴム |
くまモンウーロン茶 | ウーロン茶(くまモンパッケージ) |
くまモン抱き枕 | 抱き枕(くまモン) |
くまモンの“特定商品名” | “特定商品名”(くまモン版) |
商品名にくまモンを含める際は、くまモンが商品のデザイン要素やパッケージに関連していることを明示することが大切です。
特定商品との直接的なつながりを示す名称の使用、称号を利用した商品名、またはくまモンの名前をもじった商品名などは認められていません。
くまモンを利用する際は、デザインやキャラクター設定を正確に保持し変更や歪曲を加えないことが強く求められています。それがくまモンのイメージとブランド価値を守るためのルールです。
熊本県はくまモンの使用にあたり、以下のようなガイドラインを設けています。
くまモンを利用する際は、ガイドラインを尊重し、適切な利用を心がける必要があります。
2022年にくまモンを利用した商品の市場規模は1,590億円に達しました。コロナ禍の2021年を除き、年々増加しています。
引用:PR TIMES「「くまモンランド化構想」推進により、くまモンの全国的な露出が拡大2022年くまモン利用商品年間売上高1,590億円」
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くまモンを使用した商品やプロモーション活動が、国内外で広く展開されている結果といえます。
IPのビジネス活用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
くまモンは著作権フリーではありません。熊本県がくまモンの著作権を保有しているため、利用には県の定める条件に沿う必要があります。
商用利用・非商用利用ともに、熊本県のPR活動や産業振興の目的であれば、条件を満たしたうえで利用が可能です。くまモンの利用を検討する場合は、記事で解説した手続きをしましょう。
キャラクタービジネスや著作権の扱いについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
IPにまつわる知識・ニュースを随時発信しています。