IPビジネスとは?メリット・デメリットや成功例などを解説
#学ぶ
2024.06.24

IPビジネスとは?メリット・デメリットや成功例などを解説

日本のキャラクターは世界的にも人気がありますが、現在それらのIP(知的財産)を活かしたIPビジネスが注目されています。

IPを活用したビジネスをはじめたいものの、ビジネスモデルがわからない企業担当者の方は多いのではないでしょうか。IPビジネスに取り組む場合、メリット・デメリットを適切に把握しておく必要があります。

そこで本記事では、IPビジネスの基本知識やビジネスモデルなどを実際の事例を交えて紹介します。IPビジネスに対する理解を深め、今後の会社の発展につなげていきましょう。

INDEX
  1. IPビジネスとは
  2. IPビジネスの現状や将来性
  3. IPビジネスのメリット
  4. IPビジネスのデメリット
  5. IPビジネスのビジネスモデル例
  6. IPビジネスの成功例
  7. IPビジネスの売上高ランキング
  8. 【まとめ】メリット・デメリットを把握してIPをビジネスに活用しよう

IPビジネスとは

IPビジネスとは、知的財産(IP)を利用してライセンス使用料などの収益を得るビジネスモデルを指します。IPの具体例としては、次のようなものです。

  • ゲームやアニメ、小説などのキャラクター(著作権)
  • 製品のアイデア、製造方法(特許権)
  • ものの形状や色彩などのデザイン(意匠権)
  • 商品やサービスの名称やマーク(商標権)

個人や企業は、IPの権利を用いて利益を得ることが認められており、これを知的財産権と呼びます。知的財産権は海外でも有効なため、アニメ・ゲームなどを通じて世界規模のビジネスを展開することが可能です。

IPビジネスが注目されている要因として、インターネットおよびSNSの普及があげられます。また、動画配信サービスを通じてユーザーが多くの作品に触れ、キャラクターに愛着を抱きやすくなったことも要因でしょう。

なお、IPとは何かについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

IPビジネスの現状や将来性

昨今、IPビジネスの市場は着実に拡大しており、今後も成長が期待されています。矢野経済研究所によると、2023年度のキャラクタービジネス市場の市場規模は2兆6,508億円です。

キャラクタービジネス市場は商品化権と版権で構成されています。

商品化権は、商品に付帯してキャラクターを使用する権利です。2022年度の商品化権市場は前年度比101.4%の1兆2,736億円でした。とくにテーマパークのグッズ販売は、コロナ禍での行動制限の緩和により好調です。

たとえば、株式会社サンリオが運営する「サンリオピューロランド」の2023年3月期の売上は85億7,600万円で、前期比44.6%(26億4600万円)の増加となりました。

引用:サンリオ「ホーム|サンリオピューロランド

© 2023 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN 著作 株式会社サンリオ

版権はキャラクターライセンスの使用権で、2022年度の版権市場は前年度比100.8%の1兆3,400億円でした。とくに、Vtuberの各種プロモーションの起用を中心に増加傾向です。

代表例として、志摩スペイン村がVtuberの周央サンゴをアンバサダーに起用し、来場者を23万6,000人(対前年比約1.9倍)獲得した事例があります。配信上で紹介されたチュロスは1日平均1,000本と、例年の33倍を売り上げました。

引用:志摩スペイン村「周央サンゴ×志摩スペイン村

©ANYCOLOR, Inc.

Copyright (C) 2023 SHIMA SPAIN VILLAGE CO.,LTD.All Rights reserved.

志摩スペイン村の事例では「Vtuber」というIPを活用した効果が大きかったと考えられます。

今後もVtuberをはじめとするIPビジネスは、コラボやグッズなどの企画における人気の高まりが期待できるでしょう。

参照:矢野経済研究所「キャラクタービジネスに関する調査を実施(2023年)

参照:株式会社サンリオ IR室「2023年3月期決算説明会資料

参照:ビジネスインサイダー「来場者23万人超…志摩スペイン村×周央サンゴさんコラボ、なぜ大成功した?企業担当が知っておくべき「愛」と「リスペクト」のあり方

アニメやゲームにおけるIPについて気になる方は、こちらもチェックしてみてください。

IPビジネスのメリット

IPビジネスに取り組むことで得られるメリットとしては、次の3つがあげられます。

  1. 人気の出たIPはストック型のビジネスになる
  2. 会社のイメージアップにつながる
  3. IPを貸し出せば手間を減らして収益が得られる

それぞれのメリットについて解説するので、IPビジネスを検討する際の参考にしてください。

人気の出たIPはストック型のビジネスになる

IPビジネスの1つ目のメリットは、IPの人気が出るとストック型のビジネスになることです。人気のあるIPは資産としての価値が高く、長期的にビジネスに活用できます。

一度ヒットして人気が出たIPには必ず一定のファンがつくものです。ファンがつけばグッズ化やライセンス貸出など、初期のコンテンツ以外にも収益を得るために活用できます。

たとえばアニメやゲームが人気になれば、キャラクターとコラボした商品やキャンペーンでの売り上げが期待できるでしょう。

IPは商品・サービスの形式を問わないためにさまざまな事業に展開しやすく、企業にとって大きな資産になりえます。

会社のイメージアップにつながる

人気のIPを保有していれば、会社のイメージアップにつながることもIPビジネスのメリットです。

IPが利用されるようになって人気に火がつけば、ユーザーはIPを保有する企業にも注目するでしょう。IPが会社の顔として自動的に広報をしてくれて認知度アップにつながります。

たとえば任天堂といえばポケットモンスターやマリオ、バンダイナムコといえばガンダムのイメージが広く定着しています。人気のIPが広告塔となることで、IPを生み出した企業としてのポジティブイメージが定着しやすくなるでしょう。

IPを貸し出せば手間を減らして収益が得られる

IPを自社で活用するだけではなく、他社に利用してもらうとリスクを抑えて収益が得られることも、IPビジネスのメリットです。

自社IPのグッズを自社で販売するとなれば、当然ながら製造・流通コストがかかります。在庫管理を自社で行っている場合、売れ行きが悪ければ在庫リスクを抱えることになるでしょう。

一方、他社にIPを貸し出せばリスクはIPを利用する企業が負担し、自社にはライセンスの収益が入ります。また販売個数に応じたフィーだけでなく、最低利用料を設定することでグッズの売れ行きが悪くても一定の収益を得ることが可能です。

IPビジネスのデメリット

IPビジネスには、次のようなデメリットがあります。

  1. 人気IPを育てて収益化するまでに時間がかかる
  2. IPのイメージを壊さないように注意が必要
  3. 海賊版が出回る可能性がある

それぞれのデメリットを解説するので、IPビジネスを検討する際には理解しておきましょう。

人気IPを育てて収益化するまでに時間がかかる

IPビジネスのデメリットは、IPを収益化できる程度に人気が出るまで育てるのに時間がかかることです。

資産性のあるIPにするには、一時的なブームではなく中長期的な人気を獲得しなくてはいけません。たとえばリリース時に人気が出たスマホゲームでも、しばらくしてユーザーが離れてしまったIPでは収益化は難しいでしょう。

とくに0からIPを作り上げて育てるには、コンテンツ飽和時代で競争を勝ち抜く必要があります。熱が冷めないようにコンテンツを提供するタイミングや、ファンの要望に応えるコンテンツ作りなどのノウハウが求められるでしょう。

IPのイメージを壊さないように注意が必要

IPをビジネスに活用する際には、IPがもつイメージを壊さないように注意が必要です。

IPビジネスでは、IPの根強いファン層がターゲットになります。こだわりや思い入れをもっているファンに失望されないように、IPの世界観を守った展開が求められるでしょう。

たとえばアニメを通じてファンを獲得したIPのグッズを製作する場合、アニメのイメージに沿ったグッズにしなくてはいけません。

とくにIPを他社に貸し出す際には、イメージを壊さないような運用ができる体制を整える必要があるでしょう。ガイドラインの準備など、IPのイメージを守るための取り組みが必要です。

海賊版が出回る可能性がある

IPに人気が出てくると海賊版が出回るリスクがあることも、IPビジネスのデメリットです。

コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によると、2022年のオンライン上での日本コンテンツの海賊版による被害は約2兆円にものぼります。2019年度の調査では4,000億円程度のため、約5倍も被害が増加したことになります。

日本はキャラクターコンテンツが豊富なため、IPを活用したビジネスのチャンスは多いです。

しかし海賊版が出回れば、多くの収益をもっていかれてしまう危険があります。劣悪な海賊コンテンツがIPのイメージを損なう可能性もあるため、注意が必要です。

参照:一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構「2022年・オンラインで流通する日本コンテンツの海賊版被害額を推計

IPビジネスのビジネスモデル例

IPビジネスの代表的なビジネスモデルは次の2つです。

  1. 自社のIPコンテンツの販売・展開
  2. 自社のIPライセンスを貸し出す

ここでは有名な企業における事例を紹介しつつ、それぞれのビジネスモデルの特徴を理解しましょう。

自社のIPコンテンツの販売・展開

IPビジネスでもっとも一般的なのは、自社が所有するIPを活用したコンテンツを販売し、収益を得るビジネスモデルです。

自社で製作したゲームやアニメに登場するキャラクターをグッズ販売するのがわかりやすいでしょう。しかし、自社IPはグッズ販売だけでなく、IPを活かした別事業への展開にも活用できます。

代表的な事例は、ゲームやアニメのIPを多数所有するバンダイナムコホールディングスの「アイドルマスター」のIP活用です。

引用:アイドルマスター「アイドルマスターとは

©窪岡俊之 THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

「アイドルマスター」はもともと同社のゲームですが、ゲームのキャラクターと楽曲を活用してライブイベントを実施しています。ゲーム発のライブイベントですが、1公演あたり動員数は最大10万人におよぶといわれています。

他にもCDやアニメなど、ゲームを軸にIPを幅広い事業に展開しています。

バンダイナムコは、アイドルマスターIP以外にも複数のIPを活用しています。バンダイナムコのIP戦略である、IPメタバースについてはこちらの記事で紹介しています。

自社のIPライセンスを貸し出す

IPビジネスには、自社が所有するIPライセンスを貸し出して収益を得るビジネスモデルも存在します。自社のキャラクターを他社のグッズやキャンペーンに使用してもらい、IPの使用料として収入を得る方式です。

人気のあるIPを多数所有する企業なら、ライセンス貸し出しでリスクをおさえつつ安定した収益をあげられます。

引用:サンリオ「サンリオとライセンスビジネスをお考えの方へ

© 2023 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN 著作 株式会社サンリオ

代表例は、ハローキティをはじめとして多くのキャラクターを所有するサンリオです。

ハローキティのコラボ展開は多種多様で、「仕事を選ばない」と言われるほどです。「みんななかよく」という企業理念のもと、幅広い商品とコラボして盛り上げることで、ライセンス料による大きな収益を得ています。

その他にもIPを貸し出してコラボしている企業は多くあります。IPコラボについては、こちらの記事をご覧ください。

IPビジネスの成功例

IPビジネスで成功をあげた企業の事例は以下の3つです。

  1. 現地ローカライズすることで海外進出したサンリオ
  2. 『鬼滅の刃』のIPを利用したキャンペーンを実施した株式会社浜乙女
  3. 敷島製パンのIPを活用した株式会社タカラトミーアーツ

今回紹介する成功例は、IPビジネスは自社IPを展開するものと、他社が保有するIPを活用するものの2種類です。自社IPをどのようにビジネス展開するのか、また自社商品にあったIPビジネスは何なのか、検討する参考にしてください。

現地ローカライズすることで海外進出したサンリオ

引用:Sanrio「The Official Home of Hello Kitty & Friends

© 2023 SANRIO CO., LTD.  All Rights Reserved.

まずは人気のキャラクターIPを多数保有するサンリオの海外進出事例です。サンリオは同社の人気IP「ハローキティ」を現地ローカライズすることで、海外でも確実な人気を獲得しました。

ハローキティは、日本ではかわいくてメルヘンなイメージを抱く人が多いでしょう。しかし海外ではハローキティを身につける有名人の影響などにより、日本とは違ったデザインが好まれることがあります。

サンリオは、このような現地感覚を重視して商品企画やデザインなどをすべて現地法人に一任することで人気を獲得しました。現在ではアジアや米国でサンリオグッズの売れ行きは好調で、海外事業は同社の2022年度の売上の28%程度を占めています。

参照:株式会社サンリオ IR室「2023年3月期決算説明会資料

『鬼滅の刃』のIPを利用したキャンペーンを実施した株式会社浜乙女

引用:アットプレス「浜乙女×TVアニメ「鬼滅の刃」おにぎり専用のりが登場! 『鬼滅の刃 塩付おにぎりのり』3月下旬発売  ~絵柄がつながる!オリジナルシール付き(全15種)~

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

次に紹介するのは、食品メーカーである浜乙女のIPコンテンツ活用事例です。集英社発行の漫画作品『鬼滅の刃』とのコラボ商品を発売し、同時にSNSでのキャンペーンを実施しました。

対象商品は、「鬼滅の刃 塩付おにぎりのり」で、4種類のコラボパッケージで展開されました。商品には15種類のオリジナルシールから1枚が封入されています。シールには絵柄がつながる、レアシールがあるなどファンの収集欲を掻き立てる工夫がなされました。

また並行して、X(旧Twitter)で手軽に参加できる幅広い年齢層をターゲットにしたキャンペーンも実施しました。SNSを用いたキャンペーンは、食品だけでなくスマホゲームなどさまざまな企業で行われています。

敷島製パンのIPを活用した株式会社タカラトミーアーツ

引用:タカラトミーアーツ「超熟 Pascoのパンミニチュアスクイーズ mixセレクション 新装版

©Pasco Shikishima Corporation All Rights Reserved.

最後は、食品のIPを活用したグッズ販売の事例を紹介します。玩具・雑貨などの製造・販売を行う株式会社タカラトミーアーツと、食パンのPascoで知られる敷島製パンのコラボです。

敷島製パンは、Pasco「超熟」などが人気商品として知られています。タカラトミーアーツは「超熟」パンのミニチュアを作成し、ガチャガチャとして販売しました。外袋から中身まで、本物そっくりのビジュアルに注目が集まりました。

近年、ガチャガチャは子どもに限らず、大人も含めて人気が上昇中です。タカラトミーアーツの他にも、ガチャガチャではIPを活用した文房具や日用品のミニチュアが販売されており、多数の事例があります。

また、IPを使ったマーケティングについては以下の記事でも詳しく解説をしています。

IPビジネスの売上高ランキング

TITLEMAXによると、ゲーム・物販・カード・漫画などを合わせた、IP別の売上ランキングトップ25は以下の通りとなっています。

順位

IPコンテンツ名

売上金額

1位

ポケットモンスター

総収益921億ドル(約13兆億5千億円)

2位

ハローキティ

総収益800億ドル(約11兆8千億円)

3位

くまのプーさん

総収益750億ドル(約11兆4百億円)

4位

ミッキーマウス

総収益706億ドル(約10兆4千億円)

5位

スターウォーズ

総収益656億ドル(約9兆7千億円)

6位

アンパンマン

総収益603億ドル(約8兆9千億円)

7位

ディズニープリンセス

総収益452億ドル(約6兆7千億円)

8位

スーパーマリオ

総収益361億ドル(約5兆3千億円)

9位

少年ジャンプ

総収益341億ドル(約5兆2百億円)

10位

ハリーポッター

総収益309億ドル(約4兆6千億円)

11位

マーベル・シネマティック・ユニバース

総収益291億ドル(約4兆2千億円)

12位

スパイダーマン

総収益271億ドル(約4兆70億円)

13位

ガンダム

総収益265億ドル(約3兆9千億円)

14位

バットマン

総収益264億ドル(約3兆9千億円)

15位

ドラゴンボール

総収益240億ドル(約3兆5千億円)

16位

バービー

総収益240億ドル(約3兆5千億円)

17位

北斗の拳

総収益218億ドル(約3兆2千億円)

18位

カーズ

総収益218億ドル(約3兆2千億円)

19位

トイ・ストーリー

総収益207億ドル(約3兆5百億円)

20位

ワンピース

総収益205億ドル(約3兆2百億円)

21位

ロード・オブ・ザ・リング

総収益199億ドル(約2兆9千億円)

22位

ジェームズ・ボンド

総収益199億ドル(約2兆9千億円)

23位

遊戯王

総収益198億ドル(約2兆9千億円)

24位

ピーナッツ

総収益174億ドル(約2兆5千億円)

25位

トランスフォーマー

総収益172億ドル(約2兆5千億円)

参照:TITLEMAX「The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time

参照:keisanki.me

トップ25のうちで日本のIPは10個ランクインしており、世界において日本のキャラクターは人気がある様子が伺えます。各IPのビジネスの詳細については、以下の記事も参考にしてください。

【まとめ】メリット・デメリットを把握してIPをビジネスに活用しよう

本記事ではIPビジネスのメリットとデメリット、IPビジネスの成功例を人気IP活用事例を通して紹介しました。

IPビジネスは人気が出ればストック型ビジネスとして効率よく収益をあげられ、自社のイメージアップにつながります。一方で人気IPを育てるには一定のコストがかかるうえに、イメージを損なわないよう注意が必要です。また、人気IPを所有している場合、海賊版への対策も必要です。

IPビジネスにはコンテンツ販売以外にもライセンス販売、他社IPとのコラボなどさまざまなビジネスモデルがあります。本記事で紹介した事例を参考に、自社にあったIPビジネスを検討してください。

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