キャラクターに著作権はあるの?権利を守るための具体的な方法を解説!
#学ぶ
2024.06.25

キャラクターに著作権はあるの?権利を守るための具体的な方法を解説!

「キャラクターに著作権はあるの?」「著作権侵害になるケースを知りたい」とお考えではありませんか。

本記事では、キャラクターに関連する著作権について、その発生条件や保護の範囲、権利を守る具体的な方法について詳しく解説します。

また、商標登録や意匠登録など、著作権以外の知的財産権を活用することにより、キャラクターをさらに広範囲にわたって保護する方法も紹介します。ぜひ、最後までご一読ください。

INDEX
  1. キャラクターのアイデア自体に「著作権」はない!
  2. キャラクターのアニメやイラストには「著作権」がある
  3. キャラクターの著作権侵害にあたるケース
  4. キャラクターの著作権侵害にあたらないケース
  5. キャラクターの権利は「商標権」で守る
  6. 「商標権」が登録されたキャラクターの例
  7. キャラクターグッズは「意匠権」で守る
  8. 著作権・商標権の違いを理解してキャラクターを守ろう!

キャラクターのアイデア自体に「著作権」はない!

キャラクターのアイデアや概念自体に著作権を主張することはできません。著作権法は、具体的に表現された作品にのみ適用されるため、単なるアイデアやコンセプト、手法は保護の対象外です。

たとえば、「料理する可愛い犬」のアイデアは著作権の対象外です。しかし、「料理する可愛い犬」を具体的なイラストやアニメ、ストーリーとして表現した場合には、著作権が発生します。

キャラクターのアニメやイラストには「著作権」がある

キャラクターが描かれたアニメやイラストなどの具体的な創作物には、表現された瞬間から著作権が発生します。他人がキャラクターを無断でコピーしたり、商用目的で使用することは著作者の許可なくできません。

著作権の保護期間は著作者の逝去後70年間です。死後70年をすぎると、知的財産権(知的所有権)が発生せず誰でも利用できる状態(パブリックドメイン)になります。

著作物の種類

保護対象期間

実名(周知の変名を含む)の著作物

死後70年

無名・変名の著作物

公表後70年(死後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

団体名義の著作物

公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

映画の著作物

公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

参照:公益社団法人著作権情報センターCRIC「著作権は永遠に保護されるの?

ただし、著作権の保護期間は国によって異なるため、他国の著作物を利用する際には、その国の法律を確認する必要があります。たとえば、アメリカでは一部の作品に対して公表後95年または作成後120年のどちらか短い年と定められています。

参照:文部科学省「文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第1回)議事録・配付資料 [資料5]

なお、著作権や知的財産についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

キャラクターの著作権侵害にあたるケース

著作権侵害にあたる可能性があるケースは次の2つです。

  • 既存のキャラクターのイラストを描いて公表する
  • 既存のキャラクターを無断で商品や広告に使用する

既存のキャラクターのイラストを描いて公表する

既存のキャラクターのイラストを描いて公表することは、公表権と複製権の侵害に該当する可能性があります。複製権とは、著作物をコピーまたは模倣する権利を著作者が独占するものです。

“(複製権)第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

したがって、既存のキャラクターを許可なく描いて公表する行為は、複製権の侵害になります。たとえば、ファンアートとして描かれたものや商業的な利用がなくても、著作権の侵害に該当する可能性があるため注意が必要です。

また、公表権とは、著作者が自分の作品を一般に公開するか否かを決定する権利です。

“(公表権)第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

つまり、作品を公表するかしないかは、著作者が決定できるということ。公表権は著作者の意向を尊重し、作品の扱いにおいて著作者の人格的利益を守るためのものです。

既存のキャラクターを無断で商品や広告に使用する

既存のキャラクターを無断で商品や広告に使用する行為は、複製権や展示権の侵害にあたる可能性があります

“(展示権)第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

著作者の許可なく著作物を商品や広告に掲載することは、著作者の複製権を侵害する行為です。また、著作物を公に展示する権利は著作者が有するため、無断でキャラクターを広告に使用することは、展示権の侵害となります。

なお、キャラクターの著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

キャラクターの著作権侵害にあたらないケース

キャラクターの著作権侵害にあたらないケースは次の3つの場合です。

  • 著作権者の許可を得ている
  • 個人利用の範囲で利用している
  • 著作権法の定める方法で引用している

著作権者の許可を得ている

著作権者から正式に許可を受けた利用は権利の侵害にはあたりません

“(著作物の利用の許諾)第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

著作者の許可を得た利用は著作権法で認められています。著作権者が他者に対して作品の使用を許可する際は、ライセンス契約を締結して契約書を作成することで証明できます。

個人利用の範囲で利用している

個人利用の範囲内で既存のキャラクターを利用する場合は著作権の侵害にはあたりません。

“(私的使用のための複製)第三十条 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

個人利用とは、公開や商業的利用を伴わず私的な範囲内で使用することです。たとえば、自宅での鑑賞や学習目的での利用などが含まれます。

ただし、SNSを通じて友人と共有するなど、第三者と共有する行為は個人利用の範疇を超えるため、著作権の侵害にあたる可能性があります。

著作権法の定める方法で引用している

著作権法の定める方法で引用する場合は権利の侵害にはあたりません。

“(引用)第三十二条 公表された著作物は引用して利用できる。引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究、その他の引用の目的であり、正当な範囲内でなければならない。”
引用: e-Gov法令検索「著作権法

ただし、引用は著作物の一部に限定され、全体を代替するものではいけません。引用される部分が、もとの著作物の内容を支える補助的な役割を果たすことを保証するためです。

引用する際には出典を明記することが条件となります。引用された著作物の著作者が適切に認識されることで、権利が尊重されるためです。

また、引用が認められる場合は、教育、研究、批評、報道など公共の利益に資する目的に限られます。該当する活動が社会的な価値をもつと認められるため、文化的、知的な発展を促進する目的で許可されます。

キャラクターの権利は「商標権」で守る

著作権がないからこそ、キャラクター自体の権利は「商標権」で守りましょう。商標権とは、識別可能な要素である「名称」「図柄」を保護できる権利です。キャラクターの名前やデザインを商標登録することで、独占的に使用する権利を得られます。

商標権について、以下の流れで解説します。

  • 商標権は申請・登録することで発生する
  • 商標権は更新すれば権利を持ち続けられる

商標権は申請・登録することで発生する

著作権は創作物が作成された時点で自動的に発生するのに対し、商標権の取得には正式な申請と審査プロセスを通じた登録が必要です。

申請後、形式的なチェックと実質的な審査が含まれ、適切に完了した場合に「登録査定」が下されます。査定終了後に登録料を納付することで、商標登録が完了します

参照: e-Gov法令検索「商標法

商標権は更新すれば権利を持ち続けられる

商標権は有効期間の更新により権利を持ち続けられます。

商標権の有効期間は登録された日から10年間です。有効期間の終了前に更新手続きをすることで、さらに10年間延長できます。更新は何度でもできるため、事実上、期限なく標権を保持できます。

更新手続きができる期間は、商標権の存続期間満了の6ヶ月前から満了日までです。更新登録申請と必要な更新料の支払いが必要になります。

参照: e-Gov法令検索「商標法

なお、商標についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

「商標権」が登録されたキャラクターの例

実際に商標権が登録されているキャラクターの例を3つ紹介します。

  • ピカチュウ(第4247910号号:任天堂株式会社)
  • アンパンマン(商標登録第1453818号:株式会社フレーベル館)
  • ミッキーマウス(商標登録第0982917号:ディズニーエンタープライゼズインク)

ピカチュウ(第4247910号:任天堂株式会社)

ピカチュウは、任天堂株式会社によって1999年3月12日に商標登録されました。

引用:特許情報プラットフォームj-platpat「ピカチュウ
ⒸJPO and INPIT

ピカチュウは『ポケットモンスター』シリーズの中でもとくに知名度が高いキャラクターです。1996年にゲームが発売されて以来、人気は世界中に広がりました。ピカチュウのイラストは、テレビアニメ、映画、カードゲームなど広範囲で使用されています。

ピカチュウだけでなく、『ポケットモンスター』シリーズの他のキャラクターも同様に商標登録されています。たとえば、「ミュウ(登録番号:第4302090号)」や「リザードン(登録番号:第4322394号)」などです。

参照:独立行政法人工業所有権情報・研修館「特許情報プラットフォームj-platpatピカチュウ(第4247910号)ミュウ(第4302090号)リザードン(第4322394号)

アンパンマン(商標登録第1453818号:株式会社フレーベル館)

アンパンマンは、株式会社フレーベル館によって1981年2月27日に商標登録されました。

引用:特許情報プラットフォームj-platpat「アンパンマン
ⒸJPO and INPIT

アンパンマンは絵本のシリーズから始まり、テレビアニメ、映画、さらには玩具やゲームまで、多岐にわたるメディアで展開されています。いまや日本国内だけでなく、国外においても高い人気をもつキャラクターです。

参照:独立行政法人工業所有権情報・研修館「特許情報プラットフォームj-platpatアンパンマン(登録1453818号)

なお、アンパンマンの著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ミッキーマウス(商標登録第0982917号:ディズニー エンタープライゼズ インク)

ミッキーマウスは、ディズニー エンタープライゼズ インクによって1972年9月30日に商標登録されました。

引用:特許情報プラットフォームj-platpat「ミッキーマウス
ⒸJPO and INPIT

1928年の登場以来、ミッキーマウスはディズニーのマスコットとして世界中で愛され続けています。商標登録により、ミッキーマウスの名前、イメージ、声などが保護されてきました。

商標権は、ミッキーマウスが登場する映画、テレビ番組、パークアトラクション、おもちゃ、衣類など多岐にわたり効力を発揮しています。

参照:独立行政法人工業所有権情報・研修館「特許情報プラットフォームj-platpatミッキーマウス(登録0982917号)

なお、ミッキーマウスの著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

キャラクターグッズは「意匠権」で守る

キャラクターグッズは意匠権で守りましょう。意匠権は、製品のデザインや形状、模様などの視覚的な特徴を保護する法的な権利です。

意匠権も商標権と同様に、申請・登録の手続きをすることで発生します。特許庁に意匠権取得の出願をして、審査通過により取得可能です。

意匠が登録されると、デザインに関する独占的な使用権が発生し、他者が許可なく同じデザインを使用することが禁じられます。

意匠登録はキャラクターグッズの製作者が創作活動の成果を保護し、市場での競争力を維持するために重要です。

また、意匠権の有効期間は登録日から最大25年間です。有効期間内では、権利者は登録されたデザインに対して独占的な権利を行使できます。

“(意匠権)第二十条 意匠権は、設定の登録により発生する。”

“(意匠権)第二十一条 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。”

“(意匠権)第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。”

引用: e-Gov法令検索「意匠法

著作権・商標権の違いを理解してキャラクターを守ろう!

キャラクターの利用には、著作権と商標権、意匠権の理解が不可欠です。それぞれの違いは以下の表のとおりです。

法令

保護の適用範囲

権利の発生方法

保護期間

著作権

キャラクターの創作物自体

創作時に自動的に発生

著作者の逝去後70年間

商標権

キャラクターの名前やロゴ

特許庁に登録が必要

10年間

意匠権

製品のデザインや形状、模様などの視覚的な特徴

特許庁に登録が必要

25年間

たとえば、ピカチュウやミッキーマウスなどのキャラクターは、特徴が著作権で保護され、キャラクターの名前やロゴは商標登録を通じて保護されています。そしてそのグッズのデザインや形状は「意匠権」によって保護されます。

著作権と商標権、意匠権はそれぞれが補完的に機能し、キャラクターの全体的なブランド価値を法的に守るうえで重要な戦略といえます。それぞれの権利の性質を理解し、自社のキャラクターの保護に役立ててください。

なお、キャラクターマーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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