ドラえもんの著作権は切れた?保護期間や侵害事例を詳しく解説
#学ぶ
2024.06.27

ドラえもんの著作権は切れた?保護期間や侵害事例を詳しく解説

「ドラえもんをビジネスに利用したいけど著作権が気になる」「ドラえもんの著作権は切れているといわれているけど本当か知りたい」「『ドラえもん』のキャラクターを使った商品・サービスを作る際に注意点があるのか知りたい」

子どもに人気の『ドラえもん』に登場するキャラクターを使用して、商品・サービスを作りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

結論をいうと、ドラえもんの著作権は切れていません。著作権フリーではないため、キャラクターの利用には著作権者の許可を得ることが重要です。

本記事では、ドラえもんの著作権の実態や、ドラえもんを利用する場合の注意点を詳しく解説します。最後まで読むことで、ドラえもんに関する著作権について理解でき、適切に利用できるようになるでしょう。『ドラえもん』のキャラクターを利用したい方は、ぜひ参考にしてください。

INDEX
  1. ドラえもんの著作権は切れていない!
  2. ドラえもんの著作権切れはいつ?保護期間を解説
  3. ドラえもんの著作権者の許可がない二次創作はNG
  4. ドラえもんに関する著作権侵害の事例
  5. 著作権を侵害せずドラえもんを使用する方法
  6. そもそも著作権とは
  7. 著作権者とは
  8. ドラえもんの著作権は依然として保護されている

ドラえもんの著作権は切れていない!

2024年6月現在、ドラえもんの著作権は切れていません

ドラえもんの著作権者であった藤子・F・不二雄氏は、1996年9月23日に逝去しました。これにより、ドラえもんの著作権が切れたと勘違いされることも多いですが、その後、著作権は以下の権利者に帰属しています。

  • 株式会社藤子プロ
  • 株式会社藤子スタジオ
  • 株式会社小学館
  • 株式会社テレビ朝日
  • シンエイ動画株式会社
  • 株式会社ADKエモーションズ

ドラえもんを使用したい場合は、上記の権利者に使用許可を得る必要があります。たとえば、ドラえもんを使用した商品を作りたい場合は、株式会社小学館集英社プロダクションのShoPro メディア事業本部 ドラえもん事業部が商品化ライセンス窓口です。

参照:文化庁「9 保護期間

なお、ドラえもん以外のキャラクターの著作権についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ドラえもんの著作権切れはいつ?保護期間を解説

ドラえもんの著作権切れは2067年12月31日です。著作権は、著作権者が逝去した翌年から起算して70年間保護されています。

ドラえもんの著作権は、著作権者である藤子・F・不二雄氏が逝去した1996年の翌年となる1997年1月1日から起算して70年後の2066年12月31日まで保護されます。

なお、著作権者が匿名や筆名(ペンネーム)を用いた作品の場合、作品公開から70年間著作権が保護されるのが原則です。ただし、作者の名前と顔が公に知られている場合には作者の死後70年間保護されます。

ドラえもんの場合も著作権者は藤子・F・不二雄という筆名ですが、名前と顔が公に知られていることから著作権保護期間は死後70年間です。

また、藤子・F・不二雄氏が逝去したあとも、新しい『ドラえもん』作品は生み出されています。映画の著作物に関しては、公表されてから70年間保護されるので注意が必要です。

参照:著作権情報センター「著作権は永遠に保護されるの? | 著作権って何? | 著作権Q&A
参照: e-Gov法令検索「著作権法
参照:文化庁「9 保護期間

ドラえもんの著作権者の許可がない二次創作はNG

ドラえもんの著作権者の許可がない限り、ドラえもん』に登場するキャラクターを使用した二次創作はNGです。

藤子・F・不二雄氏の作品である『ドラえもん』に登場するキャラクターを無断で商業利用したり、公開する行為は著作権侵害に該当します。二次創作を行う際には、著作権者の許可が必要です。

藤子・F・不二雄氏の逝去から時間が経過しているため、ドラえもんの著作権は消失し、誰でも自由に利用できると誤解されているかもしれませんが、これは大きな誤解です。先述のとおり、日本の著作権法においては、作者の死後70年間は著作権が有効であるため、『ドラえもん』のキャラクターやストーリーは依然として保護されています。

ドラえもんに関する著作権侵害の事例

近年のドラえもんに関する著作権侵害の事例は以下のとおりです。

  • 事例1.違法ストリーミング配信
  • 事例2.『ドラえもん』最終話を無断で作成・販売
  • 事例3.中国・福建省のスポーツ用品会社による「機械猫」の商標登録

事例1: 違法ストリーミング配信

2006年7月、著作権法違反の疑いで、岐阜県各務原市の自営業男性(41歳)が逮捕されました。

男性は2004年から2005年の間、権利者の許可なく『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』を含む複数の動画コンテンツを自身のサーバーに無断で複製し、運営していたWebサイト「Streaming Station」(現在は閉鎖)を通じて会員に配信していました。

引用:ITmedia「違法ストリーミング配信を初摘発 「ドラえもん」など公開の男逮捕 - ITmedia NEWS
©ITmedia, Inc. All Rights Reserved

サイトは月額980円で無制限に動画が視聴可能で、最も多いときで70人の会員を有し、売上は約40万円にのぼっていたとされています。

2005年には、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と日本動画協会(AJA)がサイトを確認し警告を発した後、男性は一時は謝罪して会員募集を停止しました。

しかし違法配信は続けられ、最終的に会員の通報を受けた福岡県警が捜査を開始して、2023年5月に家宅捜索によって証拠が押収されました。

この事件でストリーミングによる著作権侵害がはじめて摘発されています。

参照:ITmedia「違法ストリーミング配信を初摘発 「ドラえもん」など公開の男逮捕 - ITmedia NEWS

事例2: 『ドラえもん』最終話を無断で作成・販売

2007年6月8日、ある男性(37歳)が、漫画『ドラえもん』の「最終話」を独自に作成し、1万3,000部を販売したことが話題となりました。

男性は作品を自身の筆名である「田嶋・T・安恵」を用いて漫画化し、20ページの冊子として2005年秋に出版しています。各冊子は約500円で、東京・秋葉原の書店やインターネットを通じて販売され、原作とよく似た絵と物語が人気を博しました。

ドラえもんの著作権者である小学館と藤子プロは、大量販売による重大な著作権侵害と判断し、男性に対して警告をしていました。

最終的に男性は小学館と藤子プロに対して謝罪し、今後同様の行為をしないことを誓約しました。さらに不当な利益を認め、売上金の一部を支払うことで和解しています。

当事件は、どのようなかたちであれファンによる二次創作が著作権者の権利を侵害しないよう慎重に扱う必要があることを示しています。

参照:朝日新聞デジタル「:勝手に「ドラえもん」最終話、ごめんなさい 1万3千部売った「作者」本家に一部払う - この記事を手がかりに - NIE

事例3: 中国・福建省のスポーツ用品会社による「機械猫」の商標登録

2018年5月、中国・福建省のスポーツ用品会社による「機械猫」の商標登録が無効とされました。

本事例は、中国・福建省のスポーツ用品会社が「機械猫」の名で、日本の人気アニメキャラクター『ドラえもん』に酷似したキャラクターの商標登録を試みたものです。国際的な著作権問題の一例として注目されました。

引用:日本経済新聞「偽ドラえもんの商標無効 北京の知財裁判所 - 日本経済新聞
©2024 Nikkei Inc. All rights reserved.

一時、2012年には「機械猫」として商標出願が行われ、2015年には中国国内で正式に商標登録されています。

それを知った中国本土で日本の『ドラえもん』作品の使用権を正式に取得している企業が、北京の知的財産権法院(知財裁判所)に著作権侵害の可能性があるとして提訴しています。最終的に中国の裁判所により商標登録は無効と判断されました。

参照:日本経済新聞「偽ドラえもんの商標無効 北京の知財裁判所 - 日本経済新聞

著作権を侵害せずドラえもんを使用する方法

著作権を侵害せずにドラえもんを使用する方法は、以下のとおりです。

  • 著作権者の許可を取る
  • 著作権法のルールにしたがい引用する
  • 個人利用の範囲内で使用する

著作権者の許可を取る

著作権を侵害せずにドラえもんを使用する方法として、著作権者の許可を取ることが挙げられます。

著作権法においては、著作権者から利用の許可を得た場合、許可された利用方法や条件の範囲内で著作物を利用できると定められています。

著作権者の許可は、ライセンス(利用許可)契約を締結し、使用料を支払う形式が一般的です。

参照: e-Gov法令検索「著作権法

著作権法のルールにしたがい引用する

著作物を利用する際、著作権法に定められた引用のルールにしたがうことも一つの方法です。

『ドラえもん』などの作品を引用する場合、要件を満たしていることを明記し、その範囲内で利用することが許されます。引用は以下のように公益の利益に資する場合に限定して認められています。

  • 教育的な目的での利用
  • 報道のための利用

参照: e-Gov法令検索「著作権法

個人利用の範囲内で使用する

著作権法は、個人での使用を一定程度認めています。たとえば、『ドラえもん』のキャラクターを個人的な趣味の範囲で楽しむことは法的に許容されています。

しかし、「個人利用」の範囲には明確な限界があり、たとえばインターネット上での広範囲にわたる公開や商業的な利用は含まれません。

参照: e-Gov法令検索「著作権法

そもそも著作権とは

著作権は、著作物に対する著作者の財産的および精神的利益を保護するための法的権利です。

著作権は、著作物が創造された瞬間に自動的に著作者に発生するので、なんらかの登録や登記を要するものではありません。著作物とは、思想や感情を創作的に表現したもので、その範囲は文学、学術、美術、音楽など広範にわたります。

著作権法は利用形態ごとに各種権利を規定していることが特徴です。以下のように、著作権の具体的権利が定められています。

  • 公表権
  • 氏名表示権
  • 同一性保持権
  • 複製権
  • 上演権・演奏権
  • 上映権
  • 公衆送信権
  • 公の伝達権
  • 口述権
  • 展示権
  • 譲渡権
  • 貸与権
  • 頒布権
  • 二次的著作物の創作権
  • 二次的著作物の利用権

定義から、アニメ、小説、詩、絵画、彫刻、音楽作品なども著作物として保護されることがわかるでしょう。著作物を利用する際には、その利用形態に応じて著作権が及ぶ範囲を正確に理解し、適切な許可を得ることが重要です。

参照: e-Gov法令検索「著作権法
参照:文化庁「7 「著作権」とはどのような権利か

著作権者とは

著作権者とは、著作権を保有している個人または団体のことを指します。著作権は、創造的な作品が創作された瞬間に自動的に著作者に発生する権利です。

著作者は作品に対する一定の管理を行い、財産的および精神的な利益を得る権利を有することになります。著作権の発生は登録を必要とせず、法律によって保護される自動的な権利です。

たとえば、小説を書いた場合、文書を創作した作者が著作権者となります。ただし、著作権は譲渡や遺産相続を通じて他者に移転することも可能です。

ドラえもんの著作権は依然として保護されている

ドラえもんの著作権は、作者藤子・F・不二雄氏の逝去後も、依然として以下の会社・団体によって保護されています。

  • 株式会社藤子プロ
  • 株式会社藤子スタジオ
  • 株式会社小学館
  • 株式会社テレビ朝日
  • シンエイ動画株式会社
  • 株式会社ADKエモーションズ

著作権の保護は藤子氏の死後70年間続きます。著作権の期間中、『ドラえもん』に関するキャラクターは自由に使用できるわけではありません。権利者の許可なく複製や配布、公開を行うことは法律で禁じられています。

さらに、ドラえもんに関連する新たなアニメや映画が制作された場合も作品ごとに著作権が発生します。新作品は、公開されてから70年間が著作権の保護期間です。

保護期間中も、ドラえもん作品の無断使用は著作権侵害とみなされ、法的な措置が取られる可能性があるので注意しましょう。

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