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「『スラムダンク』の海外人気の状況を知りたい」「『スラムダンク』がヒットした理由や人気のキャラクターを知りたい」と考える人も多いのではないでしょうか。
『スラムダンク』はアジアを中心に人気の、個性的なキャラクターが特徴的な漫画・アニメ作品です。
本記事では、海外における『スラムダンク』の反応や人気の理由を解説します。同時に、ほかの海外人気の高い日本のアニメ作品も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
『スラムダンク』はアジアを中心に海外で人気が高いです。とくに映画『THE FIRST SLAM DUNK』の人気は高く、全世界興行収入は390億円、動員数は3,700万人(2023年12月時点)を記録しています。アジア各国での興行収入や動員は以下のとおりで、公開からすぐに記録的な数字を残しました。
日本 | 興行収入162億円(2024年8月時点)で、『アバター』を抜いて歴代12位 |
---|---|
中国 | 興行収入131億円、動員1817万人(2023年8月時点)で、上映期間は3回延長 |
韓国 | 興行収入100億円、動員381万人を突破し(2023年3月時点)、韓国で公開された日本映画の歴代興行ランキング1位を更新 |
台湾 | 公開から2ヶ月弱で興行収入18億円、中国吹替版の興行収入も4億4千万円を突破(2023年2月時点) |
第16回アジア太平洋映画賞ではアニメーション映画賞を受賞するなど、高い評価を残しています。
参照:一般社団法人デジタルメディア協会「第29回 AMD Award '23」
参照:オリコン「『THE FIRST SLAM DUNK』興収162億円突破 『アバター』超え歴代12位に」
参照:AFPBB News「映画『スラムダンク』が中国本土で上映終了 興行収入130億円超」
参照:聯合ニュース「「スラムダンク」日本映画で歴代1位に 観客381万人突破=韓国」
参照:ライブドアニュース「映画「スラムダンク」、台湾で興収18億円突破 中国語吹き替え版も好調」
参照:The Asia Pacific Screen Awards「THE FIRST SLAM DUNK」
『スラムダンク』が海外人気を集めている理由は、次の4つです。
それぞれの理由について、以下にて詳しく解説します。
登場人物たちの努力をする姿勢、日本の青春を描いたストーリーが魅力的なことが『スラムダンク』の海外人気の理由といわれています。
『スラムダンク』は、高校生の桜木花道が、ヒロインの晴子に振り向いてもらうためにバスケ部に入部し、仲間とともに成長してゆくストーリーです。アニメが放送された当初、中国では中学や高校に部活の制度がなかったため、とても新鮮に受け入れられました。
また、作中では登場人物たちが前向きに成長してゆく姿が描かれ、「諦めたらそこで試合終了ですよ」などの名言も印象的です。
参照:文芸春秋「映画『スラムダンク』が中国人を感動させている本当の理由」
『スラムダンク』が海外で人気なのは、アジア各国で放送された時期に青春時代を過ごした人々から、今でも熱烈な支持があるためです。
中国では1990年代後半に『スラムダンク』のテレビアニメの放送を開始しています。同時期に韓国では、キャラクター名など設定を韓国版に置き換えた漫画が出版されました。このため『スラムダンク』に触れながら青春を過ごした現在の30~40代にとっては、バイブル的存在といえるのです。
映画の人気が高いことも、彼らのような熱烈なファンが長年の間、作品を下の世代に布教して広めてきたことが大きいとされています。
参照:CINRA「『スラムダンク』が中国で起こした革命。いかに中華圏を熱狂の渦に巻き込んだか?」
参照:NHK国際ニュースナビ「スラムダンクが韓国で大ヒット! 熱狂の理由は?」
劇場版の舞台が、テレビアニメでは描かれていなかった「山王戦」であったことも人気の要因です。
主人公である桜木花道の所属する湘北高校は、全国大会の2回戦で山王工業高校と対戦します。原作漫画では名試合として描かれていましたが、アニメでこのシーンは映像化されていませんでした。
このため今回の劇場版はファンが期待してやまない25年ぶりの続編とされているのです。さらに劇場版では主人公を宮城リョータに据えられており、新しい視点から描かれている点も高い評価を得ています。
参照:映画『THE FIRST SLAM DUNK』「PROLOGUE」
参照:推し活メディアnuman「【海外の反応】『THE FIRST SLAM DUNK』が韓国・中国で人気なわけ。過去には『ダンクの達人』の題で大ブームに」
『スラムダンク』に限らず、日本アニメのヒットによって舞台となった土地への聖地巡礼が盛んになっていることも人気の理由に挙げられます。
『スラムダンク』は鎌倉を舞台に描かれ、オープニングに登場する江ノ電・鎌倉高校前の踏切をはじめとして、聖地巡礼するファンが絶えません。
他にも『君の名は。』『すずめの戸締り』など、日本映画が再評価され、聖地巡礼がブームになっていることも人気を後押ししています。
参照:東洋経済オンライン「「スラムダンク」中国人がこんなにも熱狂する背景」
『スラムダンク』に対する海外の反応を、以下の国・地域ごとに紹介します。
中国においては、『スラムダンク』を知らない30~40代の男性はいない、といわれるほどの人気を誇ります。
中国では1990年代に市場経済が発展したタイミングで、日本の漫画やアニメが輸入されました。その時期に『スラムダンク』のアニメ放送が始まり、当時の若い世代に一気に浸透したのです。
映画の封切り上映は中国最高学府である北京大学で行われ、約4,000人が来場しました。中国のレビューサイト「豆瓣 douban」では評価数が30万件、コメントが14万件を超えています(2024年10月時点)。
参照:文芸春秋「映画『スラムダンク』が中国人を感動させている本当の理由」
参照:豆瓣电影「灌篮高手 The First Slam Dunk (2022)」
韓国版の『スラムダンク』は登場人物すべてに韓国名がつけられており、多くの国民に馴染み深い印象を与えています。
『スラムダンク』の漫画が発売された当初、韓国では日本の作品が規制されていました。このため以下のように、登場人物を韓国名に直して出版されたのです。
日本名 | 韓国名 |
---|---|
桜木花道 | カン・ベクホ |
流川楓 | ソ・テウン |
宮城リョータ | ソン・テソプ |
三井寿 | チョン・デマン |
1990年代は韓国の経済停滞期であり、先行きが不安な時期の若者に『スラムダンク』の前向きな青春ストーリーが響いたと考えられます。
映画の公開と同時期にオープンしたポップアップストアには徹夜で並ぶ人もいるなど、現在でも人気は健在です。
参照:NHK国際ニュースナビ「スラムダンクが韓国で大ヒット! 熱狂の理由は?」
台湾では2020年のコロナ禍にNBAの試合が中止された際、代わりに『スラムダンク』が放送されたことで人気を獲得しました。
中国と同様に映画も大ヒットし、興行収入は公開から2週間で3億台湾ドル(13.5億円※2024年9月20日時点での台湾ドル円レートで計算)を突破。『君の名は。』『ONE PIECE FILM RED』『劇場版 呪術廻戦 0』を上回り、日本映画で歴代2位を記録しました。
また台湾東部の台東太麻里にある踏切は、舞台となっている鎌倉に似ているといわれ、観光スポットとして話題になっています。
参照:海外情報ナビ「台湾でも半端ない人気の映画スラムダンク!たった2週間で歴代興収ランク第2位に」
参照:Record China「映画「スラムダンク」が台湾で快進撃! 日本映画歴代興収2位に=1位「鬼滅」超えなるか!?」
ヨーロッパやアメリカにおいても『スラムダンク』は評価されており、高い興行成績を記録しています。
アメリカでは中国・韓国とは7~8ヶ月遅れた2023年7月に上映がスタートし、公開10日で興行収入105万ドル(15億円※2024年9月20日のドル円レートで計算)。ニューヨーク・タイムズ誌からも高い評価を受けました。
フランスでは夏のバカンス期間である7月(2023年)の公開ながらも、封切りから1か月で動員5万人を突破。フランスの映画サイト「ALLOCINE」では、観客の評価が4.2点/5点満点と高い評価を受けています(2024年12月時点)。
参照:DAILYSUN NEW YORK「津山恵子のニューヨーク・リポート Vol.14 「スラムダンク」、収入100万ドル突破 日本映画、多彩なストーリー伝える」
参照:映画.com「「THE FIRST SLAM DUNK」フランスで高評価 批評家が興奮「信じられないほどの実験性に悶絶するほど」」
参照:ALLOCINE「The First Slam Dunk」
『スラムダンク』で海外人気の高いキャラクターを、「Record China」のランキングをもとに紹介します。
当ランキングは台湾の調査サイト「DailyView網路温度計」が、2023年2月4日までの1年間でのキャラクター人気を集計したものです。
参照:Record China「台湾で最も話題になった「スラムダンク」のキャラクターTOP10、1位は…」
『スラムダンク』の主人公である桜木花道は、海外でも高い人気を誇ります。
ヒロインの晴子に惹かれて湘北高校のバスケット部に入部し、チームを引っ張り全国大会へと導きました。
天才的な運動能力と、不良学生だったところからバスケットをはじめて、がむしゃらに成長していく姿が魅力です。ファンからは、「彼の勇気に感嘆する」「子どものころはアホだなあと思ってたけど、大人になって見るとかわいく思える」などの声が見られます。
参照:映画『THE FIRST SLAM DUNK』「桜木花道」
参照:Record China「台湾で最も話題になった「スラムダンク」のキャラクターTOP10、1位は…」
天才プレイヤーであり、桜木のライバルである流川楓も海外人気が高いキャラクターです。
中学時代から話題で湘北高校入学当初からスター選手であり、桜木からは一方的にライバル視されています。ルックスだけでなく、ひたむきにバスケに取り組む姿勢も人気の理由です。
ファンからは、「イケメンだし教養もあるし好き」「完璧すぎて現実離れしてる」などのコメントが見られます。
参照:映画『THE FIRST SLAM DUNK』「流川楓」
参照:Record China「台湾で最も話題になった「スラムダンク」のキャラクターTOP10、1位は…」
天才的なシューターであり、名言の印象も強い三井寿も人気です。
高校入学後に故障してからはバスケから離れていたものの、恩師である安西先生の言葉に感銘を受けて復帰しました。バスケへの思いを捨てきれていないことを自覚したときの言葉「安西先生、バスケがしたいです」は非常に有名です。
ファンからも「彼の諦めない姿勢が好き」「漫画を読んで大泣きした」などの熱烈なコメントが見られました。
参照:映画『THE FIRST SLAM DUNK』「三井寿」
参照:Record China「台湾で最も話題になった「スラムダンク」のキャラクターTOP10、1位は…」
湘北高校のポイントガードで、映画版では主人公でもある宮城リョータも人気です。
小柄ながら身体能力とテクニックを持ち合わせるプレイヤーで、後に湘北高校バスケ部のキャプテンになります。一方でお調子者の側面もあり、桜木の最大の理解者とされています。
映画では、原作で語られていなかったリョータと母親の過去が描かれました。ファンからは「リョータの物語が深くて、めちゃくちゃ感動した」「彼を中心にしたストーリーはこれまで少なかったから良かった」など好意的なコメントが見られます。
参照:映画『THE FIRST SLAM DUNK』「宮城リョータ」
参照:Record China「台湾で最も話題になった「スラムダンク」のキャラクターTOP10、1位は…」
湘北高校の最大のライバルである陵南高校の天才プレイヤー、仙道彰も人気があります。桜木や宮城が所属する湘北高校だけでなく、相手チームにも魅力的なキャラクターが多いことも『スラムダンク』の特徴です。
屈指の最強プレイヤーであるだけでなく、奇抜な髪形も特徴的です。性格はつかみどころがなく、練習に寝坊で遅刻するところも魅力的なギャップであるとされています。
最終的には湘北高校に敗れてインターハイ出場はかなわず、報われない一面もキャラクターの人気につながっています。
参照:マグミクス「今の若者は知らない? 映画『THE FIRST SLAM DUNK』では描かれなかった仙道彰とは?」
海外人気のある『スラムダンク』以外の日本アニメ作品を紹介します。
それぞれの人気の状況や、理由を把握しておきましょう。
『週刊少年ジャンプ』で連載中の、尾田栄一郎氏の漫画が原作の大人気アニメです。
累計5億部も発行し、単一作者によるコミックシリーズとしては世界で最も多く発行されたギネス記録を持ちます。映画『ONE PIECE FILM RED』は2022年に公開されると全世界興行収入319億円を突破し、主題歌の『新時代』もヒットして世界中で社会現象となりました。
主人公ルフィが海賊王を目指して仲間との絆を育む、共感されやすくロマンにあふれたストーリーが人気の理由とされています。
参照:アニメハック「「ONE PIECE」全世界累計発行部数が5億部突破 ギネス世界記録も更新」
参照:ONE PIECE FILM RED「『FILM RED』全世界興行収入319億円突破!」
『ワンピース』の海外人気の実情や理由を詳しく知りたい人は、以下の記事もご参照ください。
『別冊少年マガジン』で連載されていた諫山創氏による漫画が原作で、数々の賞を受賞しているアニメ作品です。漫画は累計発行部数1億2,000万部(2023年12月時点)、18言語に翻訳され180国以上で出版されています。
世界で最も需要のあるテレビシリーズに与えられる「Most In-Demand TV Series in the World 2021」を日本のテレビアニメ作品として初受賞しました。
人気の理由としては、海外で支持されやすいダークファンタジーであることと、人種差別や対立を描いた作品であることが挙げられます。
参照:アニメージュプラス「【進撃の巨人】儚い可愛いさ「まちぼうけ」シリーズの10周年記念バージョン!」
参照:ポニーキャニオンニュース「【進撃の巨人】海外アワード連続受賞の快進撃!アニメの枠を超えて、進撃の巨人に世界が熱狂!!」
『進撃の巨人』の海外人気の実情や理由を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
『週刊少年ジャンプ』で連載中の堀越耕平氏による漫画作品で、アメリカやヨーロッパを中心に人気です。コミックスは2024年4月時点で世界累計1億部を発行しており、2020年の北米アダルトグラフィックノベルの年間トップ20で1位を獲得しました。
2016年から配信開始したアニメは、SNSを中心にアメリカでも人気です。ハリウッド実写版も現在企画進行中であり、今後も継続的な人気が予想されています。
海外で受け入れられやすいヒーロー作品であり、無個性な主人公が成長してゆくストーリーが人気の要因といわれています。
参照:オリコンニュース「『ヒロアカ』累計1億部突破で作者感謝「時代に恵まれた」 PV公開・新聞広告など記念企画実施【コメントあり】」
参照:ICv2「FULL YEAR 2020 NPD BOOKSCAN - TOP 20 ADULT GRAPHIC NOVELS」
参照:シネマトゥデイ「「僕のヒーローアカデミア」ハリウッド実写化、今も進行中!「本当に楽しい」」
『僕のヒーローアカデミア』の人気の実情や理由を詳しく知りたい人は、以下の記事も参照してください。
ビデオゲームから始まり、アニメ、カードゲームなど多数のコンテンツを展開しています。ポケモンIPによる総収益は921億ドル(13兆円8千億円※2024年12月5日時点のドル円レートで計算)で世界一です。
テレビアニメは、192の国と地域で放送されています。また、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』はアメリカでの週間興行ランキングで初登場1位を記録しました。
近年では『ポケモンGO』『Pokémon Sleep』などのスマホアプリも話題です。特徴的なゲーム形式(育成・収集・対戦)が受け入れられたことと、地域に合わせたローカライズが人気の理由とされています。
参照:TITLEMAX「The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time」
参照:ポケモン株式会社「数字でみるポケモン」
参照:日刊スポーツ「「鬼滅の刃」全米興行1位、ポケモン「ミュウツーの逆襲」以来22年ぶり」
人気の実情や理由を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしましょう。
『スラムダンク』はアジアを中心に人気があり、映画も驚異的なヒットを記録している作品です。とくに人気のある中国、韓国では、1990年代にアニメが放送された際にファンになった世代が人気を下支えしています。
努力や青春をテーマにした共感が得られやすいストーリー、個性的な登場人物などが人気の要因です。他の海外人気の高い日本アニメについても、本記事を参考に把握しておきましょう。
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